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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!

 お客さまいらっしゃ〜い〜大阪編〜:正義の味方もおしゃれです 
 最近ではスーツでもテーラー襟や普通の襟では物足りず、マオカラーやバルカラーなどの変形型を好まれる方が多いのですが、これらのデザインは既に数着持っていてもっともっと新しい物を求められるお客さんも中にはおります。
こだわり派のお客さまにもそれぞれタイプがあり、見た目からして凝ったデザインを好まれる方と、見た目オーソドックスながらも釦ホールやパイピングの色などのあまり目立たない部分にこだわりを見せる方がおられるのですが、今月のお客さまIさんはまさに典型的な前者のタイプになります。

その方のご職業はというと、知る人ぞ知る大阪弁護士会の重鎮で「弁護士会にこの人有り」と詠われるI先生です。
I先生の白髪で堂々たる体格はいつ見ても貫禄十分で、一見怖そうな感じなのですが、その印象を覆すような満弁の笑みに外見とのギャップを感じつつも心なごまされます。
そんなIさんは着る物にもとても気を使ってらっしゃり、お年に似合わずというと失礼なのですが、お仕事もさることながらスーツに対してもチャレンジ精神の持ち主です。
ですので、

何か新しいもんないか〜? 』が毎度の口ぐせだったりするんです。

この「何か」というのは、生地はもちろんのこと、デザインに於いてもしかり。
バルカラー(左)マオカラー(右)はとっくの昔に挑戦済み、と言うよりもむしろ新しいデザインの実験台としていつも活躍していただいております。

「近い内にお店の方へ顔を出します」との連絡を受けた時点で、果たして今度のデザインはどうしようか?と、過去のデータを基にあれこれ色々と考えてみたのですが、ほとんどのありとあらゆるデザインはお試し済み・・・
『ウ〜ンそれならば・・・よし、アレでいこ!

数日後、いつもの笑顔でIさんはいらっしゃいました


Iさん この間のマオカラー良かったで〜。中国へ着ていったら評判が良かったわ、本場で誉められてもうたわ、ハッハッハッ
清水 それはどうもありがとうございます!相変わらず東奔西走でアジアを股にかけるご活躍ですね
Iさん そうやねん、又近々中国に行かなあかんねんけど、あっちは寒いから冬物でなんか新しいもんないか〜?
清水 そうですね〜生地はスーパー100'Sシリーズ等色々とありますが、肝心のデザインがね〜・・・どうしましょ?
Iさん マオカラーばっかりゆうのも芸が無いからなぁ...
清水 ...と、おっしゃると思ってました!それならば比翼(ひよく)でいきましょ!
Iさん 何やそれ、比翼て?
清水 比翼というのは前のボタンをコートのように隠してあるタイプのやつです。
この頃では婦人のスーツでもトレンドの一環としてよく取り入れられていますし、結構お洒落ですよ!
Iさん おうおう、あれを比翼って言うんやな。何かおもしろそうやし、よしそれでいこ!

☆★☆ 大阪SHOPMASTERより一言・・・
と、このような感じで毎回Iさんは即決です。
生地もデザインもこちらがお勧めするものに対しては気持ちがよい程、快諾いただけます。
今回私がおすすめした比翼ボタンは、表からはボタンやボタンホールが見えないので、それがかえって新鮮に映ってくると思います。
それに、比翼仕立てはジャケットの打ち合わせの前端部分が二重構造になっているので、何事にも積極的なIさんにはもってこいのデザインです。
今まであまり比翼仕立てのご注文をうけたことはないのですが、見た目にスッキリとしていて上品な感じがするので、ミドルエイジの方にも抵抗無くお召しいただけるデザインなのです。

Iさん だいたい、我々の弁護士業界は着てるもんは地味な背広と相場は決まってるけど、やっぱり時代を反映すことも大事やし感性は磨かなあかん。何事も挑戦やな!
清水 我々も弁護士さんというと、むずかしいというイメージがありますがIさんは異色ですか?
Iさん そんなことはない、正義の味方や。そやけど服は別やなハッハッハ
一回でも変わったデザイン着てもうたら、逢う人に次はどんなんかと期待されてな、ツライわ
清水 でもその分女性にも評判ええでしょ?
Iさん そやな、それが狙い目やったりしてハッハッハ

そうしてIさんのスーツは完成し、無事お納めすることができました。

相変わらずお仕事でお忙しいようで、Iさんからはその後連絡はないのですが、きっと今頃は中国大陸を比翼スーツで飛び回っていらっしゃることだと思います。

私もIさんのパワフルな行動力に負けじと、ええもん作らんとな〜