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仕上がりはパンパンです
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今月のお客様は、京都にお住まいのKさんです。 実はKさんよりご注文頂いたのは昨年の12月末だったのですが、これがなかなか興味深いご注文内容でしたので機会があればWebで皆さんにもご紹介したいと前々から思っていました。 もちろん、このコーナーで取り上げるくらいですから単なるスーツではなく、強烈な思い入れタップリの内容でしたので、そのご注文の経緯と併せて出来上がりをとくとご覧下さいませ。 それでは、まずは最初のお問い合せのメールから。。。 |
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件名:Vightexサンプル請求フォーム | |
1.サンプル種類: 紳士秋冬物 2.お名前: ●●●● 3.メールアドレス: ×××@ops.dti.ne.jp 4-1.〒: 600-**** 4-2.ご住所: 京都府京都市****町○○ 5.TEL: 090-****-**** 6.連絡事項: ヨシムラさま。はじめてメールさせていただきます。 今回、以下のようなスーツを作っていただきたいと思っているのですが・・・ ・『太陽にほえろ!』でマカロニ刑事(萩原健一)が着用していたようなイメージのスーツ ・3ボタンのスリーピース ・全体的にタイト ・腰はシェイプ ・腕まわりタイト ・袖はフレア ・ラペル広め ・ジャケット丈長め ・パンツはパンタロン このような感じです。いかがでしょうか? とりあえずイメージできるような画像を後日送付させていただいてもよろしいでしょうか? 結構前からこういう感じのスーツが欲しいとは思っていたのですが、当然現在売っているハズもなく諦めていたところにヨシムラ様のHPを発見し、御社なら何とかしていただけるかも!と思った次第です。 多少無謀な注文かも知れませんが・・・ どうぞ、よろしくお願いいたしますm(__)m 7.オーダー方法: 直接採寸希望 8.ご年齢: 31〜35歳 |
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
『 義を見てせざるは勇なきなり 』は私のトレードマーク。 任せてくださいこの私めにと、しばしあのころに思いを馳せながら大丈夫と胸を叩きたかったのですが、はたと考えると私は『太陽にほえろ!』」は一度も見たことがない! ただ、よくしたもので偶然地元U局にて只今再再再・・・放映中とのことで、早速家内へ録画の手配。 『よっしゃ、これならなんとかなる!!』 ・・・という訳で、Kさんにはサンプル請求のお礼方々、このようなご返事をしました。 |
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件名:サンプル帳のご請求有り難うございました。 | |
(一部抜粋) ご連絡事項への書き込みありがとうございました。 私も世代からいえばショーケン世代なのですが、残念ながら「太陽にほえろ」は余り見たことがありません。 ただ、スチールでショーケンが白っぽいスーツを着ていたことは覚えていますので具体的なイメージさえわかれば、ソックリとまではいかなくても近いイメージには出来るかと思います。 よろしければ一度イメージ画像をお送り下さい。 それでは、よろしくお願いいたします。 大阪SHOPMASTER 清水康男 |
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
そして、その数日後Kさんよりご来店のご予約のメールと、マカロニ刑事の画像を頂戴しましたが、何でもわざわざVTRからPCに画像を取り込んで頂いたようで、頂戴した画像は紛れもなく若かりし頃のショウケンでした。 私もその後「太陽にほえろ」について色々と調べてみましたが、とてもスゴイ番組ですね。 昭和47年〜62年まで足かけ15年にわたり730回の放映 しかも今は亡き石原裕次郎(懐かしい!)が主演で、今や渋いオッチャン役の萩原健一もハツラツとマカロニ刑事を演じ人気を博したようです。 ジーパン刑事やマカロニ刑事、リーゼント刑事(コレは違う?)に海パン刑事(コレも違う?)など有名なキャラクターを生み出しているようで、昨今のドラマのように半年であっと言う間にENDとは、ちと値打ちが違いますね。 (そして、それをただの一度も見たことがない私もスゴイかな。。。) そして、その数日後Kさんはご来店されたのですが、年の頃にして30代前半の方で恐らく「太陽にほえろ!」をリアルタイムで見られた最後の世代のようです。 生地の方は事前に候補に挙げていただいていた数種類の生地の中からお選びいただき、次は肝心のデザインの詰め及びサイズに移ります。 Kさんの思い入れの基本的なコンセプトは、マカロニ刑事さながらなにしろタイトです。 肩幅、胸回り、アームホール(袖周り)、袖幅おまけにベストなどなど、それは「太陽にほえろ!」を見れば一目瞭然。 昭和40年代のスーツは今から見れば文字通りパンパンの作りで、そのくせ袖口や裾口は今より広くフレアーがかかっています。 ただ、お好みとはいえ作り上げる上で出来ないことと出来ることはキチンと説明しご納得を頂きつぎのようなご注文となりました。 ■ 生地・・・G4058(Vightexオリジナル)濃紺に杉綾の地模様。 ● ジャケット ・2ツ釦>> その当時2ツボタンは当たり前で3ツ釦は IVY のみでした ・衿・・・セミノッチでハイゴージ。衿幅11cm >> 今の標準がだいたい8cm〜9cmですからかなり太めですね ・ベント・・・センターベントで深さ29cm >> こちらは結構深め!ちなみに標準は23cm~26cmです ・袖口・・・フレアー>>袖口が広いですが、普通はテーパードに先細りです ・肩・・・パット厚く>>一番厚いタイプを付けてかっちりと |
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● パンツ ・前立て・・・ボタンフライ>>これに関しては当時も、もはや少なかったですね ・タック・・・ノータック>>あの時代は老若問わずみんなこれで決まりです ・ポケットL型>>横切りのウエスタンタイプです ・裾口・・・シングルモーニングカット>>裾口の後ろが気持ち長くなるようナナメにカットします ・股上・・・24.5cm>>かなり浅い!普通は26cm〜28cmぐらいです。 ・シルエット・・・ベルボトム>>その当時はパンタロンと呼んでいました。 ● ベスト ・ボタン6ツボタン5ツ掛け ・ポケット・・・4個>>腰と胸で計4個のクラシックなデザインです。 デザインはこのように決まりましたが、最後まで頭を悩ませたのは、どこまでタイトにしてKさんの思いを表現できるかという点でした。 肝心の細かいサイズの落とし込みなどの最後の詰めは、マカロニ刑事の画像を前に、書いては消し消しては書きの作業が続きました。 結果、Kさんのサイズは着られる極限までタイトにしましたが、実はKさん暮れから新春にかけ3キロばかり肥えたとのことで、よりいっそうイメージに近づいたとパンパン感を喜んで頂けました。 |
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これで残るはワイシャツとネクタイですね。 衿腰の高いロングポイントシャツにワイド幅の花柄タイで、コーディネートはバッチリイカした「太陽にほえろ!」仕様の出来上がりです。 そして苦しんだ甲斐あって、サイズ面でも無事Kさんに合格点を頂けました。 |
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
今回のKさんのポイントは何と言ってもコレです。 それはそう11cm幅の衿若い人が見ればトリビアものですが、一般的にはベリードラペルと言い、またかつて業界ではこの衿のことをイカ衿と呼んでいました。 今見れば何たる存在感、45才以上の方には「そういえばこんなのだった」バージョンの青春時代の懐かしい広さです! Kさんのご試着は夜ということもありはっきりとは分かりづらいですが、ヨシムラ版マカロニ刑事いかがですか?? |