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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!
 (大阪編)真夏のハリスと晩夏のカシミア 
朝夕に秋の訪れを感じる頃になりましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか?
さすがに猛威を振るったあの猛暑も今となっては懐かしい思い出ですが、それにしても記録ずくめの暑さでしたね。
特に夜の寝苦しさも格別で、体調を狂わせた方も多かったのではないでしょうか。

さてさて、そんな猛暑の最中に一足早い冬の便りのようなメールを頂きましたので、早速ご紹介したいと思います。
ここ大阪では最も暑いと言われている天神祭りのお囃子も遠くに聞こえる頃、ハリスツィードのお問い合わせをいただいたのがそのメールです。
04.07.24  件名:ハリスツイードのお見積もりのお願い
はじめまして、兵庫県在住のAと申します。
生地サンプルのオーダーフォームからなぜか送信できませんでしたので、こちらからメール申し上げます。(スミマセン、リニューアル前はサーバーが不安定でご迷惑をお掛けしました。By Shimizu)
下記の生地の在庫があれば生地サンプルは不要です。

当方アウトドアでも実用的なハリスツィードジャケットを検討中です。
御社ホームページにありますSHOPMASTER仕様の生地と、基本的仕様(ばりばりノーフォーク)でお願いしたいのですが、生地の在庫はいかがでしょうか。
なお、用途としては街着というよりも秋冬のバードウォッチングでの着用を考えております。
従いまして、セーターの上からでもざっくり着られる寸法、そしてわがままが実現できるのならば、寒いときに立ててもそれなりにさまになり、実用にもなる襟や、比翼の前立て、図鑑がすっぽり入るマチ付ポケット(腰または内ポケット)のようなものができればいいなと考えておりますが、無理なら無理と気軽に言ってくださって結構です。

採寸は大阪店への来店が可能で、8月初めなら平日でもOKです。
以上、よろしくお願いします。(兵庫県:A)
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
夏休みの予定もまだ決まらないこんな時期に真冬用のハリス?...と、あわてて生地の入荷をチェックする始末です。
ただ、Aさんのようなハッキリとした目的買いのお客さまは、時期や金額などにはさほどこだわらずにお求めになるタイプが多いようですね。
そこで、ハリスの反物の入荷状況をご確認の上(ちょうど入って来たところでした!!)ご返事を差し上げたところ、Aさんから早速ご来店の上ご注文頂きました。
この辺りの顛末は"大阪SHOPMASTERの日記帳でも触れています。
その時のご注文の内容は以下の通りです。(特徴的なところだけ案内します。)

素材・・・ハリスツィード グリーン地にウインドペーン柄(品番:HT7822)
>>>伝統的なハリスのチェック柄で、バードウオッチングなどのフィールドでは風景にとけ込む保護色のような目立たぬ色合いです。

ノーフォーク仕様(=狩猟用)
>>>こちらは当社お馴染みのアウトドアテイスト溢れる代表的な人気のスタイルですが、簡単にいうとこのような感じです。
背中の脇の下のあたりとアウトポケットの部分までプリーツを...
肩あて(銃身を肩で固定するための補強)&肘あて(アウトドアでは肘を汚すので交換できるようにするため)にはスエードを使用
背中はヨーク&背バンド付き

こだわりその1・・・ネームはずばり「BIRD-LAND」う〜ん納得です。

こだわりその2・・・大きめのポケット
>>>ポケットに分厚い野鳥図鑑を入れたいとのご希望で、普通サイズよりタテ・ヨコいずれも標準よりも2cm大きく、さらにアクションプリーツ入り(マチ入り)で、物を入れても大丈夫なようにふくらみを持たせたアウトポケットになりました。
(後日談ですが、双眼鏡を入れても大丈夫とのことです)

こだわりその3・・・サイズ
>>>厳寒の時期にも対応出来るよう厚手のインナーも想定し、ワンサイズ大きめのご希望です。
当社のハリスは日本の暖冬向けにFEATHER WEIGHTを使用していますがヘビーデューティな質感はタップリです。
★☆★ちょっと一言・・・ハリスツイードの目付について・・・★☆★
『昔ハリスのジャケットを着てた時は随分ゴツイと感じたんだけどな。。。』・・・こんな風に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実はハリスツイードには3種類の目付(重量・肉厚感)があり、当社をはじめ昨今日本市場に入っているものはその中で一番薄手のFEATHER WEIGHTが殆どです。
なぜ薄手ばかりが人気かといえば、
1.ハリスの本拠地アイルランド北部と比べると日本は総じて暖かいため。
2.昨今の暖冬により肉厚な物が流行らないため
3.ハリスに街着としての軽快さを求めるため。だと思われます。
伝統を重んじるハリスでも、我々のような素材を扱う料理人が少しずつアレンジを加えることで現代流にアレンジした物を提供することができるのです。
。。。とご注文はこのようなところですが、8月4日のご注文でお盆休みを挟んだ上でも、残暑もキツイ8月の後半には早くも仕上がりを迎えました。
そこで、仕上がりのメールをお入れしたところこのような嬉しいご返事を頂きました。
04.09.08 件名:Re:ご来店お待ちしております。
こんばんは、Aです。ご連絡ありがとうございます。
            (中略)
それから新装になった貴店のサイト拝見しましたが、とても見やすく整理され、さらにコンテンツも基礎知識やFAQが充実しましたね。
読んでいて勉強になりますし、随所にヨシムラさんの思いや主張が表れているのがまた良いですね。
ついでに大阪店長の日記に私がオーダーしたジャケットを発見して嬉しくなりました。
(←恐縮です!By Shimizu)
イメージどおりの好みの色のジャケットに仕上がっており、引き取りに行くのがより楽しみになりました。

ところで、好みの色ということでご相談があります。
秋冬物商品のページで最初に紹介されている
ゼニアのカシミヤジャケット・コート地も、茶系統大好きの私には好みの色です。
もしできたら昔見かけて気になっていた以下のようなコートを作りたいなと思います。
この生地で妥当かどうかご意見願います。

基本はチェスターコート(多分)だが、丈はやや短めでカジュアルっぽい雰囲気あり
ウェストはやや絞り気味(多分)
センターベント(多分)
シングル
襟はピークラベルでないことは確かで幅は広め
生地が茶系でカジュアルっぽいのに、上襟がこげ茶の別珍?仕立て(ここが印象的だった)
胸ポケットあり
腰ポケット斜め
チェンジポケット片側にあり

記憶が曖昧であまり自信がないのですが、それは変だ反則だというご意見もあればあわせてお願いします。
以上、よろしくお願いします。  (兵庫県:A)

そしてAさんには9月に入ってご来店・ご試着頂き、ハリスツウィードのジャケットはみごと合格点を頂きました。(*^_^*)
そこで、今度はメールでのご相談通りカシミアのコートのご注文を頂きました。
現物のカシミアを前に、Aさんはかつてお持ちのコートの記憶をたどりながらのディティールのご相談です。

最終的にはこのような内容になりました。

素材 ・・・ゼニア ピュアカシミヤ ジャケット地(生地:BL7200)
>>>Webで事前にご覧頂いていたようで、ゼニアのブラウン杉綾にすんなり決まりました。
あまりにも甘くそして軽い(コート1着分で約800グラム、普通のカシミアは約1,200グラム)このカシミアは、仕上がりもマイルドに洗練されかつクラシックな雰囲気に仕上がります。

基本デザイン ・・・シングルチェスターコート
>>>ウエストシェイプの都会的なシルエットがお好みだそうです。
ただ。。。Aさんのウエストサイズも結構ご立派で、ここいらはシルエットをどう表現するか?私の腕の見せ所です。

こだわりその1・・・スエードの生地を使用
>>>上襟を別生地にということで、ハリスに使った人工スエードを上襟に使用する事になりました。

こだわりその2・・・ネームの色
>>>Aさんはコートのどこかにグリーン色を入れたいとこだわっておられました。
そこで裏地をグリーンでとも考えましたが、ネームの色をグリーンにすることで落ち着きました。

こだわりその3・・・ポケット&コート丈
>>>腰ポケットはチェンジハッキング、更にコート丈はショートではなくロングでもなしの、俗に言うところの7分丈(97センチ)に収まりました。
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
8月にハリスツウィードのご注文も有り難いですが、9月にカシミアもうれしい限りです。
いずれも趣味やかつて愛用したグッズを甦らせたいとの思いが感じられるご注文ですが、是非お役に立てられたらと思うと同時に、なぜか羨ましいと思えるご注文となりそうです。
9月末の仕上がりを私も楽しみに待ちたいと思います。
< お知らせ >
ハリスツイードのサンプルは只今鋭意制作中です。
申し訳ありませんがもう少々お待ち下さい。(10月初旬頃完成予定
もちろん、東京・大阪の両実店舗では現物25色を全てご覧になれますのでどうぞお越し下さい。
★☆★ おまけ★☆★
Aさんからは後日改めてジャケットの嬉しいご感想を頂きました。
04.0913 件名:ハリスジャケットありがとうございました
こんばんは、ハリスツィードのジャケットでお世話になったAです。
土曜日はいろいろと丁寧に話を聞いて下さりありがとうございました。

家に帰り改めてジャケットを眺めていましたが、本当に存在感のあるしっかりした作りのジャケットに仕上がっており嬉しく思います。
例の特大ポケットに試しに双眼鏡を入れてみたらすっぽり入ってしまいました。
型崩れの関係で服屋さんはお勧めしたくないでしょうが色々入れてしまいそうです。

サイズ的にも厚手ウールのシャツ+厚手セーターの上からはおれますし、目がしっかり詰まっているので冬のアウトドアで威力を発揮してくれることと思います。
この手の物は海外のアウトドア衣料メーカーでしか手に入らないと思っていただけに、国内でしかも自分好みに仕立てることができ嬉しい限りです。)
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
なるほどそうですか...双眼鏡とは言われてみれば野鳥観察には必需品ですね。
私などの野鳥とはまったく関係ない人間には、紅白歌合戦での野鳥の会の皆さんのシーンが目に浮かびます。
ジャケットを着込んで双眼鏡を覗くAさんの様子が目に浮かぶようです。
この原稿がUpされる頃は行楽の秋ですから、どうぞ有意義に使ってくださいね。