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コートいろいろ共同購入
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今年は残暑が厳しく暖冬の装いですが、それでも12月が近づくとさすがに寒くなりますね。 丁度この原稿を書いている11/28(日)は、前夜荒井君と上越の苗場まで初滑りに行って来た位ですからやはり冬は確実に近づいているのを実感します。 さて... そんな真冬を目前に控え今回は久し振りに季節商品のコートを沢山のお客様と共にご紹介しようと思い、先日実施しました共同購入のお客様を中心にご紹介いたします。 ちょっと宣伝めいた部分もありますが、コートをオーダーする際に生地の質感とデザインの相関関係について考えたいと思いますので是非ご覧下さい。 まず共同購入の企画や商品についてご説明すると・・・ |
■ 共同購入について ■ | |
当店は楽天市場に支店を持っていますが、そちらで数ヶ月に一度実施しているサービス企画です。 だいたいシーズン中に3回程実施して、シーズンはじめとシーズン晩期はスーツを、真ん中でジャケットやコートなどのやや特殊な素材を題材にご提供しています。 内容は、一定期間の開催期間の中で、ご注文が集まれば集まるほど値段が下がる、といった企画で楽天では共同購入、ネットプライス等ではギャザリングと言っているサービス企画です。 そして、当店の特徴は >>> 凄まじい早さで売れること。 過去の実績では2〜3分で完売というのが珍しくありません。(今回もリピーター枠は2分完売!) それ故、新規のお客様が様子見をしている内にリピーターの方がお買い求め → 品切れとなってしまうため最近は新規のお客様枠を作ったりもしています。 |
そして今回取り上げたジャケット・コート用の素材はこんな商材でした。 |
□ 今回の取扱商品 □ | |
1. アンゴラ100%ジャケット(orコート) | |
>>> 最終価格 39,800円(税抜) アンゴラとはアンゴララビット つまり兎の毛ですが、昔からアンゴラは軽さはウールの1/3、暖かさはウールの3倍と言われる位素材が軽くて柔らかく暖かいのが特徴。 今回の素材はそんな中でも撚りに工夫を凝らし、特に柔らかく仕上げた生地です。 画像は横糸を少し引っ張ってみました。撚りが甘いのでほぐれやすいですね。 |
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2. 伊ロロピアーナ社製100%カシミヤコート | |
>>> 最終価格 98,000円(税抜) こちらはご存じロロピアーナ社のピュアカシミヤ。 同社は古くから稀少動物保護に力を注いでいることもあり、幻の獣毛ビキューナをはじめ超高級獣毛素材の取り扱いを得意としています。 今回のカシミヤ地も目付は500g/m前後と非常に肉厚でしっかりした素材、更に同社ならではの最上質のカシミヤで、お世辞抜きで400,000円で販売してもおかしくない質感の物ですからこの値段でも格安大放出商品です。 |
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さて、 そんな中で今回2つのアイテムに絞りご紹介しましたが、実はこの2商品、同じコート用の生地ではありますがその素材感・風合いがあまりにも好対照なために、ご注文を受けるにあたり色々と苦しむことになります。 それを説明する前に少々脱線して、肌触りの柔らかい生地はどこにその柔らかさの源があるのかを少しご案内することにします。 |
★☆★東京SHOPMASTERより一言:肌触りの柔らかさについて★☆★ | |
肌触りの柔らかい素材ってこれからの時期本当に嬉しい存在。 ところでそんな触感の柔らかさってどこから来るものなのでしょうか? 一般にはあまり知れていませんが次の3つが考えられます。 1.柔らかい原料を使うこと >>> 例えばカシミヤやアンゴラなどがそうです。 今回の2商品はこの点ではどちらも普通のコート地と比べると格段に柔らかい素材を使用しています。 2.織りを甘くすること >>> 婦人物の生地は特にそうですが、生地の縦横糸の密度を緩くすることで柔らかさを出します。 薄手のマフラーなどが良い例ですが、逆に言うと生地全体がヨレやすくなります。 今回の生地はどちらも織りという点ではしっかりとした生地でした。 3.糸の撚りを甘くすること >>> 糸は何本かの糸を撚って1本の糸にしていますがその撚りをキツクするとしっかりした生地になり、緩くすると柔らかくなります。 ・・・と、実は意外と知られていないこととして、触感の違いは素材の違いによるものだけではなく織りの強さや糸の撚りの強さも大きく影響しているのです。 今回の2商品を比較すると、1(素材)2(織りの強さ)は似たようなものですが一番大きく違っていたのが3(糸の撚り)でした。 カシミヤはしっかりと撚りを加えておりましたが、アンゴラは非常に甘〜い撚りで、それが主要因でとろけそうな触感・風合いを醸し出していたのです。 |
■ Tさんからのご相談メール ■ | |||
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★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
うん、Tさんは当社でコートだけで今回が3着目のヘビーユーザーですから説明しなくても良くお分かりです。 生地を触って『これはロング丈のチェスターコート向け!』と分かるところ流石ですね。 ちなみに補足しますと、チェスターコートはスーツライクなデザインですからウエスト絞りがキツ目な雰囲気、スーツライク故に本切羽なども似合うデザインのコートです。 またお台場仕上げは確かに厚ぼったくなってしまうデメリットはありますがチェスターの重厚さには似合いますので個人的にはオススメです。 (画像は私の同じ生地でのシングルチェスターコートです。) |
そして次はKさん、こちらはアルスターコートをご希望でした。 | |||
■ Kさんからのご相談メール ■ | |||
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★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
Kさんはアルスターコートをご希望です。 アルスターコートとは画像のような衿の大きいコートのことですが、このアルスターコートというのはちょっとクセ者でこれまで当社で受けたご注文ですとラグラン袖でショート丈の物が多く、どちらかというとレディース的なデザインでした。 それ故、ロロピアーナのしっかりした生地にはイメージがどうしても合わず、何度も何度もKさんに確認することになりました。 誌面の都合で私からの返信は省きますが、Kさんに再三伺ったことはこの3つ。 ○メンズライクな力強いデザインか?(チェスターコートに近い物か?) ○丈はショートで良いか? ○袖はラグラン袖か?それともテーラー袖か? そして最後にはやはりこちらも衿はアルスターコートだけれどもイメージとしては軍服コートのチェスター的デザインということになりました。 (画像は以前レディースでお受けした数少ないカチッとしたアルスターです。) ふ〜、お店からのご提案は時としてお客様の意に反することを言わなければならないこともありますのでとてもデリケートですね。 |
最後はUさんからアンゴラコートのご相談です。 | |||
■ Uさんからのご相談メール ■ | |||
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★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
ウン、Uさんは何となくですが、アンゴラの生地サンプルを触ってやはりハーフコートの方にピンと来たようですね。 私も柔らかく薄手のアンゴラはロングだとヒラヒラして毛足がある分「お水系のコート」っぽくなるので反対です。 Uさんへはその後Uさんのモヤモヤを解消すべく、ショート丈でカジュアルとビジネス両方に使えるような兼用コートがベストということを私からも提案し、最終的に丈も87センチにすることにしました。 上のお二人が100センチ以上のロング丈なのと比べると随分違うのが数字だけでも分かりますよね。 |
さて、今回は素材感に合わせたデザイン提案と言うことで共同購入のお客様に的を絞ってご紹介しました。 それぞれ冬物コートを象徴するような素材の生地ですがどんな仕上がりになるのでしょう。 次回は出来上がり画像沢山で品評会でもしてみましょう。 どうぞお楽しみに〜 |