|
|
(大阪編)ファッションの楽しみ方
|
立春を過ぎたとはいえ、春まだ遠きを思わせるような今日この頃ですが、それでも春の息吹はそこかしこに感じられます。 我々の商売から言えば、ここに来て目立ったご注文としてレディースの方でお受験用や入学式用のスーツ、そしてまたメンズではウエディング関連、新郎や列席者の方などがその代表です。 春は胸弾む出会いの季節であると同時に惜別の思い断ちがたい、別れ行く巣立ち行く季節でもありますね。 そこで、今回は巣立ちゆく教え子のために精一杯の気持ちをスーツに託した某高校教員のOさんとご友人の結婚式を心から祝福しようとするKさんのお二人をご紹介したいと思います。 それでは初めに高校教員のOさんから頂いたメールをご紹介します。 |
|
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
なるほど卒業式の為にありきたりの礼服ではなく、こだわりの衣装をとお考えのようですね。 高校時代の卒業式となると、私の場合は夢幻のごとく昔の話ですが、思い出してみれば当時の先生方の服装はどの学校も黒の礼服に白いネクタイと相場は決まっていましたね。 恐らくそのあたりは今でもさほど変わっていないのでは無いかと思いますが、何か卒業にあたり心に残るようなパフォーマンスをとお考えなのかも知れないです。 文面を拝見する限りでは、恐らくこんな感じの上着をお考えなのではないか...考え、今回は最近新たにメール担当に加わった一野に次のように返信させました。(う〜ん、私も偉くなった?) |
|
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
よしよし、一野、頑張っとるな〜、気張っていけよ〜 ...などとキーボードを叩くのが遅いことを言い訳にメール返信を押しつけてしまいましたが、私の本職は実際にお客様が来られた際の対応。 こっちは自分がしっかりやらねば... そして、ご案内通りの2月の第1週にOさんご来店になられました。 メールの自己紹介のとおり剣道をやられているとの事で、胸襟の発達が凄い体型です。 胸襟の発達と言えば前回のマッチョなお客様(別のOさん)を彷彿させますが、こちらのOさんは日本古来?のがっちり形です。 早速生地のご相談とデザインの打ち合わせに入りました。 |
私: | なぜ普通の礼服ではなく、こだわりの礼服にしようと思われたのですか? | |
Oさん: | 普通の礼服は職業柄持っていますが、実は今年初めて3年生を受け持ち、その担任した生徒を初めて送り出すんです、ですからそれにちなんで何か生徒の思い出に残る卒業式にしたいのです。 | |
私: | なるほど式に対する思い入れを、それにこだわった服装で表したいとの事ですね... |
そこで まず生地はというと、こちらは一般的な礼服地で良いとの事でそれほど問題にならず、こだわりはやはりデザイン面でのご相談でした。 Oさんのおっしゃるにはイメージとしては、昔私が学生時代着ていた「中ラン」です。 つまり割と細身で、上着丈も長く、パンツは裾へ行くに従ってすぼまる感じ。 そして最終的には次のように決まりました。 ○生地 BF306 CYBERBLACK
|
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
ご注文を通じてOさんと色々お話しできましたが、今でこそ教職の身のOさんですが、かつてはヤンチャな青春時代を過ごされていたようです。 それだけに、何かと扱いの難しい生徒さんに対してより愛情もひとしおで、今回初めての担任として手がけた生徒達を送り出すにあたって是非なにか思い出に残る式を挙げたいとの事でした。 デザイン自体はさほど珍しいものではないのですが、今回は門出を祝う衣装としていつも以上に思いを込めてお作りさせて頂きたいと思います。 Oさん、どうぞ出来上がりを楽しみにしていて下さいね〜。 |
そして続きましてのご登場は、ご友人の結婚式に当たり自分の祝福の気持ちをスーツに表そうとされたKさん。 Kさんはこんなご相談から始まります。 |
|
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |||||||||||
Kさんは実はOさんのご注文よりも前からご相談を頂いておりましたが、こちらの方は同じお祝いの場用のスーツでもフロックコートライクではなくタキシードのご相談です。 ・・・と、当初このようなメールでしたので普通のタキシードがご希望かと思い、Kさんがご来店された際には、『タキシードたるものかくかくじかじかで・・・』とばかりご説明差し上げたのですが、どうもこれが芳しくない。 Kさんのご要望に合わなさそうなのです。 そこでもう少し掘り下げてKさんからお話をお聞きするとどうやら『タキシードとは言えオーダーらしく他では見られないようなこだわりのスタイルにして欲しい!』とのことでした。 そこで違和感のない範囲で、こだわりを最大限に出そうと言うことで次のようなスタイルでご注文頂きました。 ○G7012 SUPER100S ハニーテックス
|
|
|
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
そういえば、この秋冬の注目ファッションアイテムとして、ドレスダウンしたタキシードライクなスタイルが人気でしたね。 スーツでもピークラペルや1ツボタン、あるいはラペルに拝絹使用のタキシードタイプのジャケットに、パンツにはカジュアルなジーンズなどを合わせ、ミスマッチを逆手に取ったスタイルは痛快そのものです。 そういえば画像のような、ベルベットを使ったタキシードライクジャケットもWebでご紹介しましたっけ。 今回は、そこまでは外してないのですが、Kさんのタキシードも折角のオーダーなので当たり前じゃつまらないの精神があふれています。 我が国ではアフター6の正式洋礼装はタキシードとばかりに決まっているようですが、本場の欧米では今やタキシードスタイルはよほどオフィシャルな場のみで、それを象徴するかのようにTVで見かける華やかな映画の授賞式など昔と違いタキシードを着ているのは日本人ばかりで、それ以外は普通のダークスーツ(といってもゼニアかロロピアーナでしょうが、)姿が圧倒的でした。 案外洋服に対し、一番かたくなに保守的なのは日本人かも知れないですね。 例え礼服であろうと本場のあちらではなんでもありかも知れません。 (そもそもタキシードたるものは...とばかり正論ぶっているお店は我田引水も甚だしく、今回のお客さまを是非参考にして欲しいものですね。) ◎ 今回のご注文で得た教訓は >>> ファッションを楽しむ、ファッションで楽しむ、いずれも理屈などいらないということでしょうか。 皆さんもどうぞあまり堅苦しくお考えにならないよう・・・ |