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こんな悩みの人いらっしゃいません?
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いや〜、今年の夏も残暑が厳しいですね。 ホントうんざりするような暑い日々が続きますが皆さんお元気でしょうか? こんな時は、スーツの話をするのも暑苦しく、原稿を書く手もなかなか進みませんので、ちょっと頭を切り換えて、暑いとき上着は着ないことが多いけれどズボンを脱ぐわけには行かないだろう...ということで、ズボン(パンツ)について考えてみたいと思います。 パンツと言えば、こんな悩みの方はいらっしゃいませんか? |
夏物のパンツは特に傷みが激しくて、
すぐ股ズレしてしまうんだよな... |
こういった人は概して体格がいい方(太ももが張っている方)に多いのですが、この様な人にとっては夏物のスーツというとスーツ上下+スペアパンツが必須になってしまい、それ故予算オーバーとなってしまう人も多いようです。 普通パンツはスーツ価格の35〜40%位がその値段ですからそれもそのはずですよね。 さて、 今月ご登場のAさんは、まさにこの様なお客さまでした。 スタイル(ご体型)は 、 、 、というとこんな感じ。 |
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それはさておき、こんなAさんは体型的なこともあって股ズレを起こしやすくスペアパンツ付きでないとどうしてもズボンが先に傷んでしまうため、これまではこんなご注文でした。 | |||||||||||||||||||||||||
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やはりスペアパンツがなければインポートの高級スーツが買えるのにスペアが足を引っ張ってしまうようですね。 しかし、そんなAさんでしたが突然 あるチャンスが訪れます。 それは ・ ・ ・ 当店恒例のサービス企画 !! 特定の商品を数量限定で格安に販売する企画ですが、これに当選されたのです。 そこでお仕立てになったのが、英John Foster社のスーツ。 普段がシングル上下価格で(税込)59,800円の物がその時だけ39,800円(税抜き)ですから、これにはAさんもきっと喜んでいただけたと思います。 ・ ・ ・と、思ったのもつかの間。 Aさん、今回はサービス企画が仇になったというか、これが原因で大きなトラブルに見舞われました。 それは、これまでの国産生地でしたら比較的耐久性が高い生地が多かったのですが、いきなり生地のグレードが上がり素材が柔らかくなってしまったため、あっという間に股ズレを起こしてしまったのです。 う〜ん、完全に穴が開いている・・・ 実はこのパンツをお預かりする前に、Aさんの奥様からこんなお電話を頂きました。(TEL相談は東京店:荒井君がお受けしました。) |
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・ ・ ・と、このような話でした。 |
★☆★ ちょっと一言 ・ ・ ・股ズレはどうして起こる?そしてその対処は? ★☆★ | |||
一般に股ズレというのは、股の付け根部分が 人間の汗(1)とパンツの内側(2)、外側(3)の摩擦により摩耗して時には毛玉になったり、酷くなるとこすれて生地が破れてしまうことを言います。 そこで、オーダースーツでは、(1)(2)の内側から起きる原因に対しては股シックという保護材を通常より大きくして保護したり、パンツを総裏にして同様に保護したりします。 一方で、(3)の外側からの摩擦については、これはパンツとしては外見上違和感を出すわけにいきませんので、施しようがありません。 だからこそ、スペアパンツをオススメして使用頻度を下げるしかないのです。 そして、実際、左の画像のようになってしまった場合、どうするか?...というと、フルオーダーの世界では、右の画像ので白いチョークで△印を付けた部分だけ生地を矧いで交換して対処することもありますが、イージーオーダーの世界ではそこまで行いません。
(仮に出来ても今回のケースでは範囲が広すぎて「矧ぐ」方法をするとその部分が外から見えてしまいます。) だからこそ作り替えしか手立てがなく、荒井君も↑のようなご案内をしたのです。 一応、Aさん(奥様)了解してくださったことだし、それでは新たに仕立て直すか ・ ・ ・ 荒井君も仕様書を作成し始めました。 ...が、どうも荒井君もそれを見守る私も今ひとつ乗り気でありません。 何故か ・ ・ ・? それはやはり今回これで仕立て直しても同じ事が将来的に起こってしまうことが分かりきっているからです。 私達も、別途Aさんの奥様と相談し、股部分が擦れにくくなるよう 1.股上を若干深く、2.ヒップに多少ゆとりを持たせる、3.太股部分のゆとりも大きく取る、4.ズボン総裏にする、よう改善策は施しましたが、上述のような状態にまでなってしまうAさんの履き方では、遅かれ早かれ同じ事が起きてしまうと思います。 それ故、なかなか縫製工場への職出しする事へのふんぎりが付かないでいたところ、思わぬ所から救世主が現れました!! それは、お直しを専門に行っている直し屋さん! いずれまた同じ事が起きたときのために相談しておこう!と思い、聞いて見たのですが、お直し屋曰く... 股ズレは内部からの汗や内部の摩擦の影響もあるけれど、一番は外部の摩擦の影響が多い だから、股シックを大きくするのは効果はあるけれど決定打にはならない。 一番良いのは股の部分を初めから2重に生地を重ね縫いして、いずれ股ズレが起きたとき外側の生地だけ交換するようにするのがBest。 う〜ん、なるほど...最初から2重に生地を張り合わせれば良いのか ・ ・ ・ 普段縫製工場へは色んな事で相談をする我々ですが、直し屋さんに聞くことは余り多くなく、この話はとても勉強になりました。 そこで、早速作り直しの了解を得た後でしたがAさん(奥様)へ次のようなメールをお出ししました。 |
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すると、Aさん(奥様)から次のようなメールが ・ ・ ・ | |||
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★☆★ 東京SHOPMASTERより一言 ・ ・ ・ ★☆★ | |
Aさん、奥さん、色々とありがとうございます。 何かWebに掲載してしまうと自慢話のような...くすぐったいような...お褒めの言葉まで頂き恐縮です。 今回のお直しはもちろん外から見て目立つようにはしませんので、仕上がりを楽しみにしていて下さいね。 画像は、前掲の画像を別アングルで撮ったもの。 このままですと、重ね縫いするとやはり後ろから見て目立ってしまいますね。 もっと小さくしなくては ・ ・ ・ 今回のAさんへの対処はある意味では実験です。 ですから、本当はお客さまを実験台にするような真似はしたくなかったのですが、方法が上から張り合わせるだけ(変なことになったら取り外せば良いだけで実害がない)ですし、お急ぎという事情もありましたので、あり敢えて実験台としてやらせていただきました。 だからこそ、無料にさせて頂いたのですが、何とかうまくいくと良いですね。いや、うまく仕上げてねば、お店の名が廃ります!! さてさて、どうなることやら。 うまく行けばひょっとすると股ズレで悩む方には朗報になりますよ!! 次回の仕上がりの見た目や感想をどうぞ楽しみにしていて下さい。 |