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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!
 凄いぞ!フルオーダー! 
長い秋雨も上がりようやく秋風が吹いてきましたが皆さん衣替えはお済みですか?
この冬はウォームビズが注目されていることもあり、ベストがいつも以上に人気が出そうな2005年秋冬トレンドですが皆さんの周りではいかがでしょうか?
さて...
今月は、9月から開始しました当店のフルオーダーでご注文頂いたお客様から何人かを抜粋してご紹介したいと思います。
本当は、個別のお客様を深く掘り下げるのが本コーナーの良いところなのですが、今回はフルオーダーとイージーオーダーはどう違うのか?どこが違うのか?などを具体的にご紹介したいため、それぞれのお客様の特徴的な箇所をご紹介し、それに対してフルオーダーではどう対処したか、についてご紹介したいと思います。

それでは、早速 お客様をご紹介〜!とは思うのですが、当店はイージーオーダー中心にこれまでWebにてご紹介しておりましたので、最近フルオーダーをやり始めたからといっても読者の皆さんが全てそれをご理解いただいているとは限りません。
そこでイージーオーダーとフルオーダーの違いを改めてご紹介したいと思います。
フルオーダーと言えば皆さん一度は...と憧れますが、どれだけの価値があるかは どれだけ違うかをご理解頂けなければ無意味になってしまいますからね。

■ フルオーダーとイージーオーダーの違い ■
イージーオーダー
パターンについて
イージーオーダーでは、沢山のサイズパターンの中からお客様のサイズに一番あった物を選び、そこに個別のお客様の凸凹を調整として加減していきます。
サイズ調整について
このため、パターンオーダーでは縦方向の調整(着丈・袖丈等)を中心にしかサイズ調整できませんが、イージーオーダーでは横方向(肩幅 ・バスト ・お腹周り ・ヒップ ・袖幅 ・腕幅)等も含めて2次元的にサイズ調整が出来ます。
補正精度について
お客様毎の体型補正は基本的には全て可能ですが精度としては5ミリ単位の物が多く、決められた補正ルールに従って補正を入れることが多いです。
上述はあくまでも一般論です。当店では日頃から↑以上の事をしていると思いますし、他店もまた真面目なお店では同様と思います。
フルオーダー
パターンについて
フルオーダーでは、個別の>お客様毎に型紙を起こします
ただし、個別に作成すると言っても全くゼロから行うのではなく、ある程度外見的なデザインの型紙は用意されているのが一般的です。
このため当店では外見的なデザインは今回のフルオーダー導入により大きく変更しないよう(=トレンド性のあるデザインを維持しよう)努めています。
仮縫いについて
フルオーダーでは本縫い前に仮縫いを行います。
そして仮縫いの補正で、デザイン的な最終決定 ・微妙な体型補正を行います。
体型補正について 
仮縫いの際には、決められた企画に従ったデザイン調整や体型補正ではなく、それぞれの作業でお客様の希望を伺いながら、無数にピンを打ちながら詳細を決めていきます。
特に体型補正は、○ミリの補正といった機械的な補正ではなく『必要な量の補正を施す』という非常に感覚的なものとなります。
作業工程について
縫製作業工程としては、ある程度基準化されたイージーオーダーと比べると比較にならないほど時間を掛け一つ一つの作業を行います。(イージーオーダーの4〜5倍位の時間を掛けます)
この結果、イージーオーダーでは二次元な要素を残しつつ妥協していた部分が、たっぷりと時間を掛けていせ込み等行うことで3次元的な仕上がりになっていくのです。
もちろん手付けのボタンホールなどディテールにもこだわっています。

■ お客様のご登場 ■
さて、大変前置きが長くなってしまいましたが、ようやくここからはお客様のご登場です。

誰にご登場いただこうかな ・ ・ ・? 今回は非〜常に悩みました。
それは、9月から約1ヶ月弱の期間で10名ほどのお客様からご注文を頂きましたが、皆さんそれぞれ色んな体型的な問題を抱えてのご注文だったからです。(お客様いらっしゃ〜いが10個書けそうな内容だからです。)

そこで10名のお客様の中から特にフルオーダーのメリットを受けたそんな特徴的なお客様数名とご感想メールを頂いたお客様数名をご紹介したいと思います。

まずは ・ ・ ・
□ 横浜市にお住いのEさん □
簡単にプロフィールを...
Eさんは50代位で社会的にも高いお立場にあるリピーターのお客様。
もちろんフルオーダーは経験済みで、見る目もシビアです。(^^;)
そんなEさんは体型的に特徴があり、反身体といって身体が後ろに反っています。
反身体とは...
身体が反り身になっている体型。
太めの方でお腹が出ているとそれを引っ張り上げるため自然と反り身になったり、若い人など姿勢が良い(良すぎる)タイプの人に多い体型的特徴。かくいう、私 吉村もこの体型です。

そしてこういった人は整体(標準体)のスーツを着ると、前身頃が拝み(重なり)フロントが綺麗に真っ直ぐ下に落ちません。(またツキジワが出やすくなります)
画像は、反身体と全く逆の体型である清水氏のスーツを私が着用したもの(画像右)と比較のため清水氏にして貰ったもの。(画像左)
フロントの開き具合が本来は清水氏の状態(画像左)が最適なのですが、私の方はフロントがやや重なっていますよね。これを拝みと言います。

そしてこんなEさんのような体型の方には、イージーオーダーでも(詳細は割愛しますが)反身補正という補正を加えフロントの拝みが出ない補正をします。(この辺が一般的イージーオーダーの限界
....が、しかしEさんの場合は仮縫いでこの補正(前後8ミリずつ)ピンで補正しても、ツキジワは綺麗になくなるもののフロントの拝みがどうしても全ては解消できませんでした。

これ以上補正を加えると今度は別の部分でおかしなところが出てくるし 。 。 。(この辺が当店のイージーオーダーの限界) どうしようか?と、悩んでいたところ、工場長の吉井がこう言いました。
『 それでは、生地を型紙からズラして型を抜きましょう 』

つまりこれは、通常型紙は生地の柄に対して垂直に型を抜いていくのが当たり前なのですが、それを敢えて柄をズラして型抜き(裁断)しようと言うのです。

私はこの言葉にビックリ!
だって、柄に合わせて生地を裁断するのは基本中の基本です。
それを敢えてわずかですが、柄をズラして裁断(型抜き)するなんて!
考えたこともありませんでした。
この辺がフルオーダーの凄いところです。

そして出来上がったのがこちら。
参考までに拝むと赤線のようにフロントが重なるところが、違和感なく仕上がりました。
う〜ん、吉井工場長恐るべし!
続いて ・ ・ ・
□ 武蔵野市にお住いのKさん □
Kさんは、今回が当店で初めてのお客様でしたが、スーツ大好き人間で見本服として持ち込んだスーツは某有名テーラーが作ったドーメル社のビンテージファブリックでした。
そして、Kさんはご体型的には30才前後とお若いのでそれほど特徴的な所はないのですが、逆に以下に格好良いスーツにするかと言うことでウエスト絞りやディテールにこだわった方でした。

特徴的なこととしては ・ ・ ・
 <ウエスト絞り >
この辺はもちろんイージーオーダーでも同じ事はできますが、何せ仮縫いがあれば仕上がりのイメージも湧きますし、絞るピンを打つのもその針の量が圧倒的に多いので絞り具合がより具体的に分かります。
う〜ん、かなりドレッシーな仕上がりになりそうです。(内ポケットにあまり物を入れないで下さいね

 < 真似の出来ないディテール >
上述しましたが、Kさんスーツ好きならではというか、縫製のどこが難しいか良く知ってます。

『ズボンの腰ポケットとかチケットポケットを緩やかにカーブさせられますか?』...こんなこと言われました。
原稿作成時点ではまだ仕上がっていないので画像で説明できないのですが、つまりこんな感じです。
画像は普通のチケットポケットですが、これをピンクで書いたようにラウンドさせるのです。

縦横だけの組織から出来ている生地を丸くして使うというのは、皆さんにはあまりお分かりになられないと思いますがとても難しい技術を要します。
簡単に言うと、カーブさせる箇所を通常のように生地を縦横で使うとナナメの力に耐えられず生地が歪みます。
だからこのような場合は生地をナナメに取って使うんですが、それもこう微妙にラウンドしているとそれも難しいのです。
もちろんこんなワザ、イージーオーダーでは無理です。
・ ・ ・と、ディテールやスタイルにこだわりを持つ強敵Kさんでした。
次のお客様は...
□ 熊谷市にお住いのYさん □
続いてのYさんも上でご紹介したKさんと同様、ご年齢が30歳前後とフルオーダーとしては若いお客様でしたが、こちらはまた体型的な特徴が色濃く表れている方でした。
どんなところが特徴的だったかというと ・ ・ ・

 < 肩胛骨の張り具合が左右で違う >
若くて筋肉が偏りがちなスポーツ(野球 ・弓道など球技)をする人に多いのですが、背中に筋肉が多く付いていると、まれに背中の肩胛骨の辺りが左右で盛り上がりが違う人がいらっしゃいます。
Yさんもこんな方で、左の肩胛骨の張りが右と比べ大きく、それが原因でスーツの後ろ姿に変な皺が出ていました。

こういった方は左右のバランスを綺麗に見せるためフルオーダーでは張りの少ない方の肩に特製肩パットを背中側に補強で付けます。
こうすることで背中のシルエットの左右バランスを整えていくのです。
Yさんは 仮縫い時にこのアンバランスさが発見でき対処したのですが、私がその時画像を撮り損ねたため比較できず、スミマセン。
そこで参考までに、補強で付ける吉井工場長特製肩パッドをご紹介。
(手に持って上から重ねようとしているのが特製小型パッドです。)

最後は ・ ・ ・
□ 遠路はるばるお越し頂いた仙台のTさん □
Tさんは、なんと遠く仙台からわざわざご来店いただいたお客様。
以前から何度もご注文頂くリピーターのお客様ですが、今回はわざわざお土産までご持参いただき、本当に恐縮です。ありがとうございます。
(→お土産はお店では頂かず工場スタッフで頂戴いたしました
そんなTさんからは特徴的なこととして肩周りがやはりあったのですが、一部他のお客様と重複する内容ですのでここは割愛して、フルオーダーならではの面白いところをご紹介

< 袖位置の決め方 >
腕の位置というのは皆さんあまり意識されませんが、人それぞれ実は微妙に違っています。
良くあるのは、太った人はお腹が出ているため(先述したような)反身体になり、結果手を後ろに置く癖があったり、逆に猫背の人は概して手が前に付いていたりします。
イージーオーダーではこの辺は明らかに異常(普通でない)場合は袖付け位置等を変更することがありますが、それでもこの補正を加えるのは全体の1割にも満たないと思います。

一方で、フルオーダーでは最初からそこは個別に決める箇所!と考えておりますから仮縫いの時にお客様に自然な立ち姿になっていただき、このようにピンを打って袖付け位置を決めていきます。
どうですか、こんな所まで...仮縫いがどれだけピンを沢山使うか何となく分かるでしょ!
(画像内の赤丸部分が袖位置を決めるために見頃側にピンを打った部分)
こうして、ただ今当店ではフルオーダーの皆さんのご注文をお仕立て中です。
ところで↑ではお客様のご紹介はするものの、お客様の生の声が分からないですね。
そこで、お客様から頂いたメール数通も折角ですのでご紹介いたします。
今回ご紹介した以外のお客さまからのメールが多いですが、他の皆さんは仮縫いをこのように受け止められているようです。
■ 長野から単身赴任中のNさん ■
Nさんは、長野から平日は単身赴任中のため、週末の仮縫いデーにどうしてもご来店いただけませんでした。
そこで、色々とご相談して 、 、 、なんと!!練馬の工場へ直接仮縫いに行っていただくことに ・ ・ ・
以下はその後のご感想メールです。
05.10.11 件名:Re:仮縫いはいかがでしたか?
 吉村社長 殿
お世話になっております。
先日の仮縫いでのフィッティング、非常に有意義な時間を過ごさせて頂きました。
基本的には他店では、ある意味営業といいますか、店舗スタッフが仮縫いのフィッティングを行うので、修正の範囲の技術的限界の判断にスタッフの力量が出ると思いますが、実際に作製にあたる方(今回の場合は吉井工場長)が行うと、限界点を熟知しているわけですから、非常に的確な提案を頂戴しました。

実際に着てみて、クラシコの仕様を勝手に変更してしまったのですが今回はちょっとだけ遊んで、3BのVゾーンを若干広げ、襟に若干のスイーツカーブを入れるなど、少しだけ2B+レトロ3B的な要素を入れたディテールに変更です。

社長には”トロフェオで遊ぶなと言われそう(笑)”な御願いですが、快くお引き受けいただきました。
そう言う意味でも、やはり仮縫いをするとイメージが更に増すという利点も今回は感じました。

ところで、最終フィッティングの予定ですが、目下の所スケジュールが立ちません。
具体的な日程は、仕上がりのメールを頂戴してからになりますが、来週後半が海外出張のため、しばらく連絡不可能になると思います。

以上、宜しくお願い申し上げます。

★☆★ 東京SHOPMASTERより一言 ・ ・ ・ ★☆★

Nさん、ご感想ありがとうございました。
ひょっとして、私の説明じゃダメだったってことですか〜 (T_T)

でも、自分で非を認めてはいけませんが、私達(オーダースーツのヨシムラ)はあくまで販売者であり作り手ではありませんので、どうしても少なからずの温度差等は出てくると思います。
今回のフルオーダー取り扱い&工場スタッフによる接客というのはこの辺の解消もその狙いですので、これはこれで結構なことではないでしょうか?

将来的には人事交流等を通じて「オーダースーツのヨシムラ」の販売者も物作り現場から育てたいと思います。
次は ・ ・
■ 埼玉県にお住いのIさん ■
Iさんはあんまり良いお話ではありません。
何故かって?それは仮縫いが一度で済まなかったからです。
ご体型的に難しい場合や、仮縫いに明らかなミスが発生した場合などは再仮縫いを行うこともあります。
05.09.17 件名:こんばんは。
こんばんは。
本日はありがとうございました。仕上がりを楽しみにしてます。

ただ、今日の仮縫いでかなり補正が出ていたでもう一度仮縫いをした方が良いのではないかと思ってますが、どうなんでしょうか?
ボタン数も違っておりましたし、いまいち最終の確認が出来ていないと考えております。
来週の24日でしたら時間は自由になりますので、そちらでご相談いただいて上、必要であれば私の方は構いませんのでよろしく御願いします。
また、今日で十分であればよろしいのですが。
それと、裾をもう少し丸みを大きくしたいなと思います。
ではよろしく御願いします。(埼玉県 I)

★☆★ 東京SHOPMASTERより一言 ・ ・ ・ ★☆★

実は...Iさんが最初の仮縫いからお帰りになった後、吉井工場長がこう言いました。

『Iさんのは仮縫いで使用したパターンに誤りがあった。このまま仕立てるのは無理矢理納める事になりかねない。再仮縫いをした方が良い。』

正直、私は吉井工場長の仮縫いは接客も含めパーフェクト!と思っていただけにこの言葉には驚きました。
でも、現実がそうであるなら仕方ありません。
そこで週明け(仮縫いは土曜日)に私から再仮縫いの申し出をしようと2人で話し合っていたところ、土曜日の晩にIさんの方からメールを貰ってしまいました。
こういった時は非常にバツが悪い... (-_-;)

画像は1回目のIさんの仮縫いシーンから。
背中 ・肩etcピン打ちだらけになってしまいました。
補正もココまで行くと、根本からやり直さなくてはいけないようです。

■ 最後はまたまた登場!! 仙台のTさん ■
お土産の効果?という訳ではありませんが、Tさんは仕上がりもお納め済みですので仕上がりのご感想を頂きましたのでご紹介。

実はTさん、仕上がりの時に吉井に一つお願いをされまして 、 、 、
それは...『工場長、これまでヨシムラさんで仕立てたスーツのお直しをお願いできますか?』といったもの。
でのTさんのご紹介は袖付けに付いてですが、実はTさんもその前にご紹介したYさん同様、肩作りのため特製ミニ肩パッドを作っていて、その着心地がとても良かったので、おねだりされたようです。

工場長の方も「喜んで♪」ということになり、有償ですがお直しをお受けすることになりました。
もう、こうなるとお直しではなくてスーツのチューンナップですね!
そして、ご感想メールはこんな感じです。
05.10.12 件名:期待どおりの良い仕立で、大変喜んでおります。
吉村さん
めっきり秋らしく肌寒い日となりました。
土曜日はちょうどお客さまのピーク時にぶつかり、お忙しい中ご丁寧に対応していただきありがとうございました。
期待どおりの良い仕立で、大変喜んでおります。早く着用するのを楽しみにしています。
是非感想等をあらためてメールしたいと考えています。

さて、報告書をご送付いただきありがとうございます。興味深く読ませていただきました。
WEBでの紹介の件も了解いたしました。他のお客さまの参考になれば幸いと思います。

また、直しについては、吉井さんに詳しく解説していただきありがとうございました。
なお、料金についてご連絡いただきましたが、送料含みでしょうか。お知らせください。
確認後、いつものとおり銀行振り込みいたします。
それではよろしくお願いします。 (仙台市 T)

以上
今回はいつになく長〜いお客様いらっしゃ〜いとなりましたが、次回はこの皆さんのスーツの仕上がりをじっくりご紹介いたしたいと思います。
お楽しみに〜。