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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!
 〜大阪編〜 薩摩ボタンってご存じですか?  
天高く馬肥ゆる秋 ...の言葉通り、今年は秋の訪れも順調なようで、10月に入ればさすがにお客様からのお問い合せも目立って多くなってきました。

ウォームビズあり、コートありと嬉しい悲鳴ですが、今月はその中から私がもっとも興味を引いたお客様をご紹介したいと思います。

それはファッションへの造詣では私も顔負け、玄人はだしのTさんからのご相談メールで始まりました。
Tさんは以前にも「この春はカラフルな装いで」でご登場頂いていますが、中年とは思えぬバイタリティの持ち主。
野球にゴルフにテニス、スノボとスポーツ万能でフットワークも軽い、ちょい悪オヤジを地で行っているようなお客様です。

06.09.02 件名:こんにちは(ご相談)
清水さま
早々にサンプル帳送付いただき有難うございました。
早速いろいろと考えさせて頂きましたので、アドバイスお願い致します。
申し上げましたように、
紺ブレと言うのが今回のお願いで。

  <中略 >

という訳で 候補選手が、「BL4313(上着)とBL4311(パンツ)」です。 とりあえず、ベーシックに着こなす色合せとしては、まずまずでしょうか?
チャコールのパンツはそれなりに揃ってますので、チョッと薄めの色で。
イメージは、『
トラッド好きオヤジ ユーロテイスト』て感じでしょうか。
3つ釦の段返りとフックベント、ラペルのダブルステッチは必要かと考えますが、流石に昔の寸胴シルエットは如何な物かと。
昔ほど厚い胸板では有りませんので、少し絞りを入れたほうが、すっきりするかと思うのですが。
ハイゴージでパンツの前タックも一本入れるつもりです。

また、ポケットはパッチか蓋付にするか、最近はどうなっているのでしょうか。
釦は、シルバーのメタルを考えております。(2年後には付け替えてるかも?)
基本的には背抜きの台場で裏地はz505-1(長く着ると、汚れと焼けで…?)か、z505-2,z509-1、z508-1、514-1、z494-4 辺りで悩んでいます。
忌憚の無いご意見を。

右袖釦のステッチ、一つだけ遊んでみようかな〜。
(少しだけ、余り目立たない程度で、裏地との兼ね合いも…)

考え出したら夜も寝られない(笑 (京都市:T)

★☆★ 大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

Tさん、紺ブレのご相談ありがとうございます。
Tさんから見れば紺ブレなど入門編、何に何をどう合わせるかなど公式も全て承知されている上でのご相談です。
このメールの文面を見てもプロさながらのうんちくがちりばめられています。
私のアドバイスなど些かおこがましいのですが、こちらもこれでメシを食っていますのではりきってご返事差し上げました。

・・・と、ここまではよくあるパターンでしたが、この後頂いたメールで予想外な方向へ展開してゆきました。

06.09.09  件名:またまたご相談です
清水さん こんにちは。
明日は雨でしょうか?(悲)
またまたWヘッダーで、野球、テニスの予定ですが・・・

とりあえず、G4181に傾いては来ましたが、相変わらずボタンにこだわっています。
右の先端(刺繍色変更予定)の1個だけ、薩摩ボタンにしてみようかな〜。
以前から興味が有ったのですが、アロハなんかにつけるものかと思ってました。
余り派手な物はNGとしても、面白いアイデアではないでしょうか?
シルバー系(白&藍)の薩摩ボタンに、赤かブルーのステッチ、いいかも…(笑)
でも、裏にも補強ボタンが必要なようですので、無理な時は無理と言って下さい。
他のボタンは今のところご連絡通り、シルバーの無地(ヘアライン仕上げ)を考えております。

そこで、標準のボタンのサイズをご教授下さい。
自作も諦めていません。
身頃は21ミリ、袖口は15ミリぐらいでしょうか?

それでは、よろしくお願いいたします。 (京都市:T)

★☆★ 大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

薩摩ボタン??? う〜ん、どこやらで聞いた事があるような...

あっ!思い出した!
今を去ることウン十年前、某テーラーのオヤジさんから「実際に見たことはないけど、陶器で作られたえらい高いボタンがあるそうや」と聞いた事があったっけ?

早速インターネットで調べますと、陶器で作られた主に輸出用のボタンで、幕末当時の薩摩藩が主に外貨獲得の為に製造した事に由来してこの名が付いたそうです。
古伊万里などと同じく、幕末当時に作られたボタンは骨董品の収集家には垂涎の的。
今では高値で取引されていると聞きます。
もちろん現在では復刻版で作られているようですが、それでもかなり高価なようです。
ひょっとするとあの西郷さんも当時は手に取ったかも知れませんね。
私も見た事は無い幻の薩摩ボタン、これは商売そっちのけでぜひ見てみたいです!

そこで、Tさんにはボタン見たさに(すいません!)細かい点はご来店時にご相談させて下さいとお願いしました。
そして、数日後早速Tさんがご来店され、席に着くなり,やわらポケットから取り出されたのがこのボタンです。
画像ではちょっと分かりにくいですが、よく見れば、紺色の地に歌麿風の美女が描かれています。
裏側を見ればお茶碗みたいで、陶器とよくわかります。
なるほどこれが薩摩ボタンですか?価格は?とお聞きしますと、袖用の小ボタン1個で2千円余り、2個で都合5千円なりとさすがのお値段。

お客様から思い出の詰まったボタンなどを持ち込まれるのはそう珍しい事ではありません。
ただ、今回はモノがモノだけにより丁寧にお預かりしました。
興味はもっぱらボタンへ集中ですが、悩まれていた肝心の紺ブレのお仕立てはご相談の結果このようになりました。

生地・・・ゼニアトラベラー紺無地(G4181)
>>>大人のネイビーブレザーとして、イタ物でありながらブリティッシュな素材感を持つ高級素材です。
3ツボタン段返り
センターベント
衿とフロントには7ミリのミシンステッチ
裏地はワインベースのストライプ
袖の一番先へあの薩摩ボタンを左右に取り付けます。

さぁ、これでひとまずはTさんの紺ブレの内容が確定しました。
なにせ陶器だけに、プレスや接触で割れる・欠けるはもってのほか。
工場へはその旨厳重注意してくださいと職出ししました。

ご注文は定番としてのお馴染みの大人の紺ブレですが、袖先のボタンひとつでどう変わるんでしょうか?
さぞやオリエンタルムード溢れる仕上がりになるのではないかと期待しています。

■ おまけの話・・・紺ブレはボタンが命??

トラッドからヨーロピアンまで、どんなスタイルにもキレイ目にまとめる万能ジャケットとしてトレンドに返り咲いたのがネイビーのブレザー、略して紺ブレです。
紺ブレは過去に何回も取り上げていますので、今回は紺ブレにつけるボタン選びについてご案内してみたいと思います。

スポーツクラブ系の紺ブレ
・・・ ゴールドで表面が盛り上がったタイプ、別名学生ボタンで若さを強調します。
シンプルな印象ですが、元をただせばこれがメタルボタンのルーツです。

アメカジ系の紺ブレには
・・・ ゴールドもしくはシルバーですが、トレンドとしては表面にはまったく加工のないプレーンなシルバーなどが人気が高いようです。
このタイプが主流で付けるボタンも様々ですが、水牛の鼈甲色ボタンでも落ち着いた上品なイメージとお勧めしています。

ヨーロピアンセレブ系の紺ブレには
・・・ 真ん中が鏡面タイプや素材が貝ボタンなど、生地に負けない高級感がよく似合います。
ゼニアやダンヒルなどボタンひとつでよりゴージャス感が広がります。

いかがでしょう。
当社のサイトをご覧になる方はありきたりの紺ブレではご満足しないはず。
そろそろ一度ボタンについて考えてみてはいかがでしょうか?