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ポールスミス的彩りとは?
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秋は日毎に深まり一雨毎に肌寒くなってくる10月末ですが皆さんいかがお過ごしですか? 陽が落ちるのも早くなり、そろそろ物悲しさを感じさせる季節になりましたね。 さて そんな今の時期は私達ファッション業界では冬物注文の最盛期です。 色んなお客様と触れあうことで私達自身も感性が磨かれ次のトレンドへのきっかけを発見するものです。 そこで、今月はこれからちょっと注目のブランドとして英ポールスミスを挙げ、その彩りの巧みさについてお客様を交えながらご紹介したいと思います。 ポールスミスのカラーリングの良さは決して今に始まった事ではありませんが、ご存じない方もいらっしゃると思いますので一度こんな鮮やかなスーツも考えてみて下さいね。 そして、今回ご登場いただくお客様は都内にお住まいのMさん。 ご注文は今回が2着目でリピーターの方ですがまだ当サイトの全てをご覧になられた訳ではなく、他ブランドやWebで色んな情報を同時に得て次のスーツのご注文(ご相談)されました。 それでは頂いたオーダーシートから早速ご紹介。 |
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よくこのお客様いらっしゃ〜いコーナーで掲載されるオーダーシートパターン表。 皆さんどんな風にお感じですか? 選択項目がたった17項目で少ない? ・・・そうかも知れませんね。 でも、選択項目が多すぎると今度は難解になってしまい逆に分かりにくくなってしまうかも知れない。と私達は考えています。 オーダーシートパターン表では限界がある。だからこそMさんのように色んなご質問やご相談事を書いていただけるように備考欄を大きく取っているのです。 またオーダーシートパターン表を送ったからといってそれが購入義務になる訳ではありませんから、ご利用は気軽にご相談事なども遠慮なく書いてくださいね。 〜〜〜のっけから、話が逸れました。スミマセン... さて、Mさんから頂いたご相談部分ですが、どうやらヤフオクに出品されたポールスミス(英Paul Smith)の画像のようでした。 そこで早速こんなお返事をいたしました。 |
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いかがですか?画像をご覧になられて・・・ ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが実は大昔当店でもポールスミスに模したスーツをお仕立てしたことがあります。 >>> ご参照:新着情報 ポールスミス風インディビジュアルオーダーとは? う〜ん、今から思えば当時書いた新着情報は稚拙に思えて仕方ありませんが、当時ポールスミスならではの仕様として挙げられていたのがボタンホール糸色変更や独自カラーリングでのパイピングや内ポケット玉縁作りなど。 その後既製品やオーダースーツでもこれを模す物が多く出回るようになり今ではそれほど珍しい物ではなくなりましたが、本家本元の現在は↑画像のような物に進化したようですね。 ちなみに、Mさんからは2着目用の画像としてこんな物まで頂きました。
こちらもポールスミスですが、こちらは表地と裏地を同系色にしてパイピングと玉縁を目立たせる手法に出ていますね。 これはこれで先の画像よりシックですがお洒落です。 さてさて...
Mさん宛のコメントにも書きましたが物理的にはそれほど問題なく作業は可能です。(ポールスミスが出来るんだから出来て当たり前?) でも、これまではお客様へは袖裏と胴裏で違う色を使うことはあっても胴裏自体で複数色使うことはお断りしてきました。 何故かって? ...それは、既製品でしたらどんな複雑な企画でも一度仕様書が出来てしまえば、同じ事の繰り返しですから生産性は上がるのですが、私達オーダーでこれをやってしまうと非〜常に生産効率が下がってしまうため、ご注文を受ける当社は良くても、実際に縫製している工場のことを思うと、お願いしづらかったのです。 でも、今回はお客様も問題の核心に画像付きでストレートにご相談されましたし、正直これもある種時代の流れかと思い、工場に確認を取りつつ前向きにご相談をお受けすることに致しました。 (こういった点で今回はMさんに私自身の背中を押して頂き、感謝しております。) そして... Mさんは去る10月20日(金)にご来店いただきました。 当日は私は出張帰りの日だったため直接ご対応できるか微妙でしたが大阪での仕事が早く終わったので何とか直接ご対応できました。(*^_^*) そうしてご相談を頂きながら次の点をポイントにご注文を受けました。 |
前述掲載のポールスミスの画像は外見的には『ポールスミスだけのオリジナルデザイン!』という物ではなく、いわゆる今風のスタイリッシュなデザインでした。 ですから今風の2つボタンで、メールでご提案いたしました通り、ゴージラインや下衿のシャープさ、フロントカットをカッタウエイにする点などをメインに決めていきました。 イメージとしては細身のシルエットの中にシャープさと、軽快さを取り入れたといった所でしょうか。 |
そして今回の一番のポイントはスーツの内側。 『どこまで頂いた画像通りに出来るか!』これが大変だったのですが、 ここはオリジナル通りに...する部分とそれでは当社らしくないのでアレンジを加える部分に分けてみました。 そして最終的には、前身頃と後身頃は画像のような濃紺と茶のコントラストで。 でも、それだけでは真似っ子なので、当社オリジナルとして内ポケット玉縁は色目は近いですが素材にユニークさを加えてスエード(ベージュ)を使ってみることに。 更に、袖裏は人気のストライプ裏地に。 ...こんな感じでオリジナルの完成度を崩さない範囲でオーダースーツのヨシムラ的遊び心も入れてみました。 さてどんな仕上がりになりますか?楽しみですね。 Mさんのご注文はただ今縫製作業中です。 工場の女工さん達は泣いている?怒っている?楽しんでいる?か、分かりませんが仕上がりの暁には工場の人にも苦労話を聞かせて貰いたいものですね。 それでは来月の仕上がりをお楽しみに !! |