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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!
 ポールスミス的彩りとは? 
秋は日毎に深まり一雨毎に肌寒くなってくる10月末ですが皆さんいかがお過ごしですか?
陽が落ちるのも早くなり、そろそろ物悲しさを感じさせる季節になりましたね。

さて
そんな今の時期は私達ファッション業界では冬物注文の最盛期です。
色んなお客様と触れあうことで私達自身も感性が磨かれ次のトレンドへのきっかけを発見するものです。
そこで、今月はこれからちょっと注目のブランドとしてポールスミスを挙げ、その彩りの巧みさについてお客様を交えながらご紹介したいと思います。
ポールスミスのカラーリングの良さは決して今に始まった事ではありませんが、ご存じない方もいらっしゃると思いますので一度こんな鮮やかなスーツも考えてみて下さいね。

そして、今回ご登場いただくお客様は都内にお住まいのMさん。
ご注文は今回が2着目でリピーターの方ですがまだ当サイトの全てをご覧になられた訳ではなく、他ブランドやWebで色んな情報を同時に得て次のスーツのご注文(ご相談)されました。

それでは頂いたオーダーシートから早速ご紹介。

06.10.18 件名:オーダーシートパターン表
1.お名前 = T.M
4.生地番号 = 4048 (or 4076 or 4073)
5.基本デザイン = シングル3つボタン(中掛)
6ベント = サイドベンツ 7.袖口 = 本切羽(+2,000円) 8.袖ボタン = 4つ
9.ポケット = ハッキング10.裏仕立て = 総裏丸台場 13.サイドポケット = ナナメ
14.ピスポケット = 両玉  15.ズボンの裾 = シングル
17.オプション = クラシコ仕様
18.連絡事項 =

春にオーダーをお願いしたMです。
前回仕立てて頂いたスーツが大変気に入りましたので、今回は冬物2着をお願いします。
前回と同じく、3ツボタン中掛けのクラシコ仕様でお願いします。

生地はまだ目移りしてしまっていますので、大きな生地を見て決めさせてください。
また、ウェストサイズが多少変わりましたので、採寸をお願いします。
今週金曜の午後にお店にお伺いできますがよろしいでしょうか?

裏地のご相談ですが、添付画像のように前身頃と後ろ身頃の裏地を替えたいのですが、可能でしょうか。
また、可能でしたら、お値段はお幾らくらいになりますでしょうか。
・前身頃=紺 or 黒  ・内ポケット玉縁=クリーム色
・後ろ身頃=エンジ or 茶色

★☆★ 東京SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

よくこのお客様いらっしゃ〜いコーナーで掲載されるオーダーシートパターン表。
皆さんどんな風にお感じですか?
選択項目がたった17項目で少ない? ・・・そうかも知れませんね。
でも、選択項目が多すぎると今度は難解になってしまい逆に分かりにくくなってしまうかも知れない。と私達は考えています。

オーダーシートパターン表では限界がある。だからこそMさんのように色んなご質問やご相談事を書いていただけるように備考欄を大きく取っているのです。

またオーダーシートパターン表を送ったからといってそれが購入義務になる訳ではありませんから、ご利用は気軽にご相談事なども遠慮なく書いてくださいね。

〜〜〜のっけから、話が逸れました。スミマセン...

さて、Mさんから頂いたご相談部分ですが、どうやらヤフオクに出品されたポールスミス(英Paul Smith)の画像のようでした。
そこで早速こんなお返事をいたしました。

06.10.18 件名:オーダーシートの送信有り難うございました。
Mさん
おはようございます。オーダースーツのヨシムラ(吉村)です。
ここのところ秋晴れの好天が続きますがいかがお過ごしでしょうか?
一年中で一番良い季節になりましたね。

さて、
昨夜はWebを通じてオーダーシートをお送りいただき有り難うございました。
早速、ご依頼のお見積と仕様書のご確認をお送りいたします。
ご注文に当たってはMさんは今週金曜日に再採寸を兼ねてご来店頂けるとのことですので、生地を含めてその時最終お決めいただければと思います。
ですので以下はそれまでのご参考としてご覧頂ければ幸甚です。

【お見積】(省略)
【仕様のご確認】
以下はオーダーシートパターン表の写しですが一部にご提案事項やご質問へのお答えを記入いたしました。大切なご注文ですので念のためご確認下さい。

4.生地番号 = 4048 (or 4076 or 4073)
>>>生地の方はご来店時にお決め頂けるとのこと、ありがとうございます。
せっかくご来店いただくのですから私もその方が良いと思います。

5.基本デザイン = シングル3つボタン(中掛)
>>>基本のデザインは従来の3つ釦中掛けですね。了解です。
頂いた画像(ポールスミス:以下PS)

1)
2ツ釦でかなりのタイト目
2)
下衿を直線的にカットしてシャープさを増しているのと、
3)
フロントカットをカッタウエイフロントにしているところが特徴的で


この3点が前回のMさんの仕立てと若干違う点です。
デザイン的にもPS風がよろしければご来店時にご指示ください。

6.〜17.まで省略

18.連絡事項 =
春にオーダーをお願いしたMです。
前回仕立てて頂いたスーツが大変気に入りましたので、今回は冬物2着をお願いします。

>>>ありがとうございます。2着目のオーダーシートは間違いのないよう本メールの後、ご返信いたします。

前回と同じく、3ツボタン中掛けのクラシコ仕様でお願いします。
生地はまだ目移りしてしまっていますので、大きな生地を見て決めさせてください。

>>>かしこまりました。もちろんご来店Welcomeですし、せっかくご来店いただくのに生地をご覧頂かない訳にはいきません。ありがとうございます。

また、ウェストサイズが多少変わりましたので、採寸をお願いします。
今週金曜の午後にお店にお伺いできますがよろしいでしょうか?

>>>かしこまりました。当日は私が出張中の身のため外の者のご対応となりますが、心得ておきますのでご安心ください。

裏地のご相談ですが、添付画像のように前身頃と後ろ身頃の裏地を替えたいのですが、可能でしょうか。
また、可能でしたら、お値段はお幾らくらいになりますでしょうか。
・前身頃=紺 or 黒  ・内ポケット玉縁=クリーム色
・後ろ身頃=エンジ or 茶色



>>>ポールスミスらしい逸品ですね。 当店ではこれまで袖裏と見頃の裏地を別々にする事や内ポケットの玉縁部分を別生地にすることはありましたが、裏地の前身頃側と後ろ身頃側で分けると言うことはこれまでいたしませんでした。

これは技術的な事というより作り手の作業を考慮した上でのことだったのですがそれもそろそろ「作り手の身勝手」になってきたようです。
今回はここまでハッキリご要望いただきましたので私共もここらで年貢の治め時。
折角ですのでご依頼通り分けてお仕立ていたしたいと思います。

また具体的色目ですが、生地も画像の物と微妙に違うと思いますので全てを真似する必要は無いかと思いますが、私は、前身頃(黒か濃紺)、後ろ身頃(Z494-7濃茶)、内ポケット玉縁&袖裏(Z494-12薄ベージュ)が良いかと思います。
この辺もご来店時に案内させてください。

そして追加費用ですが、何分にも裏地に随分ムダが出てしまいますのでクラシコ仕様に2100円分キュプラ裏地が入っていますがプラス2100円のご負担をお願いいたします。


以上
長くなりましたが、なかなか個性的なお洒落な仕上がりになりそうですね。
私も楽しみですし、これが当社のオプションになれば他のお客様もきっと喜ばれると思います。
仕上がり時には是非Webで紹介させてください!

それではご確認の方何卒よろしくお願いいたします。
また、ご不明の点は何なりとお申し付け頂ければ幸いです。ご注文有り難うございました。

オーダースーツのヨシムラ SHOPMASTER_吉村_雅隆

★☆★ 東京SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

いかがですか?画像をご覧になられて・・・
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが実は大昔当店でもポールスミスに模したスーツをお仕立てしたことがあります。

>>> ご参照:新着情報 ポールスミス風インディビジュアルオーダーとは?

う〜ん、今から思えば当時書いた新着情報は稚拙に思えて仕方ありませんが、当時ポールスミスならではの仕様として挙げられていたのがボタンホール糸色変更や独自カラーリングでのパイピングや内ポケット玉縁作りなど。
その後既製品やオーダースーツでもこれを模す物が多く出回るようになり今ではそれほど珍しい物ではなくなりましたが、本家本元の現在は画像のような物に進化したようですね。

ちなみに、Mさんからは2着目用の画像としてこんな物まで頂きました。


こちらもポールスミスですが、こちらは表地と裏地を同系色にしてパイピングと玉縁を目立たせる手法に出ていますね。
これはこれで先の画像よりシックですがお洒落です。

さてさて...

こんなスーツ当社に出来るのでしょうか?
結論は  出来ます!!

Mさん宛のコメントにも書きましたが物理的にはそれほど問題なく作業は可能です。(ポールスミスが出来るんだから出来て当たり前?)

でも、これまではお客様へは袖裏と胴裏で違う色を使うことはあっても胴裏自体で複数色使うことはお断りしてきました。

何故かって?
...それは、既製品でしたらどんな複雑な企画でも一度仕様書が出来てしまえば、同じ事の繰り返しですから生産性は上がるのですが、私達オーダーでこれをやってしまうと非〜常に生産効率が下がってしまうため、ご注文を受ける当社は良くても、実際に縫製している工場のことを思うと、お願いしづらかったのです。

でも、今回はお客様も問題の核心に画像付きでストレートにご相談されましたし、正直これもある種時代の流れかと思い、工場に確認を取りつつ前向きにご相談をお受けすることに致しました。
(こういった点で今回はMさんに私自身の背中を押して頂き、感謝しております。)

そして...
Mさんは去る10月20日(金)にご来店いただきました。
当日は私は出張帰りの日だったため直接ご対応できるか微妙でしたが大阪での仕事が早く終わったので何とか直接ご対応できました。(*^_^*)

そうしてご相談を頂きながら次の点をポイントにご注文を受けました。

■ 外見的なデザイン ■

前述掲載のポールスミスの画像は外見的には『ポールスミスだけのオリジナルデザイン!』という物ではなく、いわゆる今風のスタイリッシュなデザインでした。
ですから今風の2つボタンで、メールでご提案いたしました通り、ゴージラインや下衿のシャープさ、フロントカットをカッタウエイにする点などをメインに決めていきました。

イメージとしては細身のシルエットの中にシャープさと、軽快さを取り入れたといった所でしょうか。
■ スーツの内側は・・・ ■

そして今回の一番のポイントはスーツの内側。
『どこまで頂いた画像通りに出来るか!』これが大変だったのですが、
ここはオリジナル通りに...する部分とそれでは当社らしくないのでアレンジを加える部分に分けてみました。

そして最終的には、前身頃と後身頃は画像のような濃紺と茶のコントラストで。
でも、それだけでは真似っ子なので、当社オリジナルとして内ポケット玉縁は色目は近いですが素材にユニークさを加えてスエード(ベージュ)を使ってみることに。
更に、袖裏は人気のストライプ裏地に。

...こんな感じでオリジナルの完成度を崩さない範囲でオーダースーツのヨシムラ的遊び心も入れてみました。

さてどんな仕上がりになりますか?楽しみですね。

Mさんのご注文はただ今縫製作業中です。
工場の女工さん達は泣いている?怒っている?楽しんでいる?か、分かりませんが仕上がりの暁には工場の人にも苦労話を聞かせて貰いたいものですね。
それでは来月の仕上がりをお楽しみに !!