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控えめなスーツ?
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近年の温暖化に伴い早い春が予想されましたが何とも言えない天候が続き、4月に入りようやく本格的な春到来と言ったところですね。 暖かな春の到来を待ちこがれていた方も多いのではないでしょうか? そこで今回は今春夏のトレンドでもあるライトグレーのスーツのご注文を頂きましたのでご紹介したいと思います。 当社では個性的なスーツをお求めになる方も多いのですが今回は派手さはないもののさり気ないこだわりを感じる1着としてご紹介いたします。 ご注文いただいたのはいつもフルオーダーでご注文いただいているHさんなのですが、オーダーいただく物は控えめなデザインながら随所にHさんのこだわりが感じられることから気を抜くことが出来ず我々も真剣勝負です。 ご来店されての最初の一言目が |
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ライトグレーでも軽すぎずに色気と重厚感のある、 分かる人が見れば一目で“やるな”と分かるスーツを仕立てたい。 |
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・・・との事でした。
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この言葉を聞いて私も「う〜ん。難しそう...」と思いつつも戦闘モード突入です。 |
スーツ屋魂に火がついたところで早速、生地選びです。 当社でも今年のトレンドと言うことからイタリア、英国、国産と例年に無いほどライトグレーを多く展開しているのですが今回はしなやかさと色合いが絶妙な(伊)キャノニコ社のG6101に決定しました。 SUPER120'Sならではの滑らかなドレープ感はさすがの一言です。 Hさんのご注文には正にピッタリの生地ですね。 |
■ デザインは・・・? ■ さぁ、生地が決まれば今度はデザインです。 Hさんがライトグレーの生地でお仕立てされるに辺り、一番気になさっていたのはご体型がガッチリなさっていることから膨張色でもあるグレーをいかに細く見せられるかということでした。 そこで私も一瞬考えましたが次のようにお勧めしました。 |
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「スーツのセオリーから考えますとHさんは胸囲があるので2つボタンの様なVゾーンが広いデザインの方がお似合いですがここは敢えていつもの2つボタンではなく釦位置を若干上げた3つボタンの中掛けで行きましょう。」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この様にご提案したのはいくつか理由が有ります。 胸囲のある方はVゾーンを狭くしますと胸回りが窮屈になり動きにくくなるため、あまり釦位置は上げない方が良いのですが、幸い今回はフルオーダーでのご注文ですので仮縫いの際に動きづらくならない範囲で釦位置を調整し、且つ見た目も仮縫い時に確認できることからご提案いたしました。 また、若干ながらVゾーンが狭くなりますとシャツやタイなどのコーディネートではっきりとした色使いが出来るようになり表地の薄さをインナーで補うことが出来ると考えたことも要因です。 Vゾーンが狭い物ですとロンドンストライプのシャツなど思い切ってコーディネートすることが出来ますね。 当社では3つボタンのスーツは初めてのご注文でしたがこの様なご提案をしたことでHさんにもご了解を得られました。 後は細かな仕様を決めていくだけとなりましたが今回は下記の内容で決まりました。 |
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・・・と上記の仕様に決まりました。 これと言った派手さはないのですがしっかりとポイントを抑えた仕様ですね。 そこで今回のポイントとなる仕様をいくつかご紹介しましょう。 ・ゴージライン:高めB(1cm標準より上げる) >>> 当社ではゴージラインを標準仕様でも高めに設定していますが更に上げることで胸回りの立体感をより強く出すことが出来ます。 これはその方の体型にもよるのでいたずらに上げてしまうと胸が浮きすぎてしまうのですがHさんには有効と思われる為、試みることにしました。 (ゴージ位置の調整は通常のイージーオーダーでも可能です。) |
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・カッタウェイフロント >>> イタリアのスーツによく見られるデザインですが軽快感を出すことが出来ると共に重心を上げる効果が有ることから美脚パンツをより美しく見せる効果があります。 着丈を若干短くなさればより効果的です。 足を長く見せたい方にはオススメの仕様です。画像内LGカットがカッタウエイフロントです。 |
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・チケットポケット及びパンツのサイドポケットを両玉縁カーブ仕様で >>> これもフルオーダーならではの技ですが玉縁ポケットをカーブさせてお仕立てします。 こういったディテールを作るには、技術もさることながら生地に適度な湿度と圧力を掛け、じっくり丁寧にアイロンワークをしないと出来ない仕事です。 一見すると意味の無いように思われますが胸や腰骨の丸みに添いますのでバルカポケットの様な役割を果たします。 |
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・裏地:Z494−13(紺色) >>> 通常紺の裏地と言えば地味な印象がありますが今回のようなライトグレーでは表地と裏地のメリハリが利き、地味な印象はありません。 有りそうで無い組み合わせですので個性的な1着となり、オススメです。 他にはライトブラウンの表地にダークブラウンの裏地など相性がよいですね。 今回はポイントステッチを白にすることで夏らしい涼しさも演出しています。 |
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・美脚パンツ >>> 近年、膝位置を高く設定し且つ細く縛った美脚パンツに注目が集まっていますがHさんも美脚パンツでのご注文です。 美脚パンツでは膝位置を通常の位置から5センチ上で設定しますが、Hさんは更に3センチ上の8センチの位置で絞ります。 これにより膝下が長く見えますので足を長く見せたい方はご相談下さい。 但し、これはその方の足の太さが大きく影響いたしますので5センチのままの方が良い場合や膝をあまり絞らない方が良い場合もございます。 画像は通常のラインのパンツを美脚パンツにした場合どうなるかをトレースしてみました。(タックや股上は無視しています。) 画像内の黄色線は通常のシルエット。 一方で美脚パンツにした場合のシルエットがピンク線です。 ヒザ位置を上げて、、、高い位置で絞ることで、黄色とピンクの隙間部分がスッキリします。 |
以上の5項目が今回のご注文の大きなポイントとなりますが、さて仕上がりはどうなるでしょうか? 私も楽しみです。 そんな中、いち早く仮縫いの状態に仕上がってきましたので仕上がり前にこそっとお見せしましょう。 まだ仮縫いの段階なのでイメージがつかみづらいかも知れませんがとても良い雰囲気になっていますね。 Hさん楽しみにしていて下さい!! 仮縫いの模様と仕上がりは次回にご紹介いたします。 それではお楽しみに〜!! □ おまけの話 □ 今年のトレンドは既に各種専門誌で色々と紹介されていますが私なりにまとめてみました。 この業界で働いている友人に聞いたりショップをリサーチした結果、最近は大きく2極化しているのではとないかと感じます。 一つは、イタリアンテイストの英国回帰と言いますか、従来のクラシコイタリアより英国の雰囲気を多く出してきているショップが多くなったということ。 これはセレクトを中心とした各ショップが、従来中心的だったクラシコイタリアの雰囲気が捨てがたく、軸足を依然としてイタリア物に残しつつ『イタリアから見た英国』を表現したいのではないかと思います。 どちらかというとこれはやや保守的な傾向なのかもしれません。 もう一つが、>ポールスミスやリチャード・ジェームスを初めとするデザイナーズ系でネオモッズを彷彿とさせるデザインが採りあげられ、より細く、よりシャープな物にも人気が集まってきたという感じ。 そう言った意味ではより英国的ですね。 当社でも人気の高いハッキングポケットなどはセレクトショップではあまりお目に掛かりませんがポールスミスなどは俄然多いスタイルです。 今回のHさんのご注文はどちらかというとセレクトショップ的なラインでしょうか。 皆さんもそれぞれお好みが有ると思いますが、プレタのお店はこんな風に見てみると意外と楽しいですよ。 春ですから休日にはウインドーショッピングでも楽しんでください。 |