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ブリティシュでアヴァンギャルドなスーツ!? |
皆さん、こんにちは、大阪店オーダー担当の南浦です。
今までWebでは ウォームビズも英国調 や 秋冬Special Selection などでスポット参戦しておりましたが、今回、満を持して(?)のWebデビューとなりました。 どうぞ宜しくお願いいたします。 記念すべき私のデビュー作は日頃から非常に懇意にして頂いているFさんの『大阪人らしく?』、しかもトレンドである『ブリテッシュテイスト』を加味した凄いスーツをご紹介したいと思います。 ....そのご注文は、ある火曜日の昼下がり1本の電話から突如始まりました。 |
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と、短いやりとりを終え、約30分後、ショウルームで待っているとFさんがご来店されました。
ここでFさんのプロフィールを簡単にご紹介しますと、Fさんはお若いながらも会社を経営されている社長さんであります。 いつも身に付けておられるのは一流品ばかり。 当日も前回ご注文頂いたロロピアーナのスーツに、 “ブリオーニ”のシルクのステンカラーコートを羽織り 更にその手には“エルメス”のブリーフケースをお持ちでした。 (お値段は怖くて聞けませんでした。) そして何よりスタイルも良く、何を着てもお似合いになる素敵な方です。 また、 スーツに対する拘りも人一倍お持ちで、ボタンホールの糸色変更やストライプ裏地は当たり前、カラークロス(上衿の裏側に貼り付けてある生地です)やボタンにまでととにかくオンリーワンのスーツをお求めになる貪欲さには敬服するばかりです。 ...と、Fさんのプロフィールはこれぐらいにして、ご相談事とは何ぞやとお尋ねすると... |
何とFさんがお持ちになられたのはコチラ →
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今まで、私自身、内ポケットの玉縁やパイピングには使用したことはありますが、裏地の全面に貼り付けてくれと言われたのは今回が初めて。
念の為、縫製工場に確認を取ると、大丈夫との嬉しい?返事が、ただスカーフ1枚分だとジャケットの左右見開き部分しか取れませんよ、とのこと。 これはFさんに了承頂き、早速、生地とデザインの打ち合わせに入りました。 |
まず、生地はFさんが前々から目を付けていたと言う“グアベロ ロイヤルフランネル”のチャコールグレーストライプで早々と決まりました。(これは最後の1着でした)
続いて、デザインはというと、Fさんからこんなご要望が...
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と、Fさんにお見せしたスーツがこれ ↓
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Fさん:お〜っ、これ、これっ!この仕様でよろしく! さすが、Fさん! 今シーズンのトレンドのロープドショルダ−に目を付けられるとは、ぬかりがないですね〜 今回のようにインパクトのある裏仕立ての場合、バブル時に流行したソフトスーツだと余りにも時代遅れの感が否めません。 トレンドを意識しつつ、ご自分の拘りの部分には妥協せず、ベストな一着を追い求める姿勢は私達も見習わなくてはなりませんね。 |
☆★☆ ロープドショルダーとは? ☆★☆ | |||
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□今回の仕様をまとめますと...□ | |
○コンセプトは...見た目はトレンドを意識したシャープな印象のブリティッシュスタイル、裏仕様はバブルの華やかりし頃を彷彿とさせるエルメスのシルクスカーフを使用したアヴァンギャルドな雰囲気とのコラボで。
○基本デザイン・・・シングル1つボタン >>> こちらは何と嬉しい事に ウォームビズも英国調 でご紹介させて頂いた私のグレンチェックジャケットを見てお決め頂きました!Fさん、ありがとうございます! ○ラ ペ ル・・・ピークドラペル >>> これも今年らしく細め8センチのストレート仕上げでシャープさを強調。 ○フロントカット・・・カッタウェイフロント >>> 着丈は標準より2センチ短くし、軽快感と脚長効果を表現。 ○ベ ン ト・・・サイドベント >>> こちらはやや深めの26センチでお仕立て。 短めの着丈とやや高めの腰ポケット位置とのシナジー効果でスタイルの良さを更に強調。 ○腰ポケット・・・ハッキング >>> ブリティッシュと言えば、ハッキングポケット!これは外せませんよね。 傾斜角度は度を超えますとモード色が強くなりますので、標準値の±1.5センチで。 また、ハッキングポケットは視覚的にウエストの絞りを強調し、バスト回りにボリュームを持たせますので、ボタン位置をやや高めに設定し、ウエストの絞りもタイト目に。 ○裏仕様・・・総裏丸台場 >>>裏仕様はスカーフ柄がより強調され、ゴージャスに、立体的に魅せるよう丸大場で。 この場合、ショップタグ、ブランドタグ、タバコポケットは柄いきをより良く見せる為に取り外します。 ○ 裾 ・・・シングルモーニングカット ○タック・・・ノータック と、こんな内容でご注文がまとまりました。 今回のご注文、ネオブリティッシュスーツとでも申しましょうか? はてさて、どのような雰囲気で仕上がってくるのでしょう? 次回、ご紹介したいと思いますので、皆さんどうぞお楽しみに!(Fさんもね) |
打ち合わせも終わり、フッ〜と一息ついたところでFさんと談笑していると、またまた、突然Fさんからビックリ仰天のご要望が... |
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クラシコイタリアを代表するかの“ブリオーニ”のコートに柄物裏地を貼り付ける? そんなの簡単に出来るんじゃないの?と思われるかもしれませんが、とんでもない! 最初から総裏で裏地を取り替えるのとは訳が違います。 袖、前身頃、後身頃を全て解き、各パーツを平置きにした状態で裏地を裁断し、縫い合わせていかなければならないので、とてつもない労力と時間、お値段が掛かってしまいます。 故に本来であれば、危険極まりないお修理となりますので、まず絶対と言っていいほどお断りするのですが(何せあのブリオーニですし)、普段からFさんには懇意にして頂いており、多くのお知り合いの方をご紹介頂いておりますので無下にお断りするのもどうかと思い、お受けすることに...なりました。 裏地に使用する生地は私にお任せして頂きましたので、早速、倉庫をガサガサあさっていると、ジオメトリック柄(幾何学模様)のFさん好みの生地が見つかりました〜 その生地がこちら →→→ どうですか?色といい、柄といい、良い感じでしょう?(営業のOさん、Kさん、この生地、絶対売れますよ!) これならFさんも喜ぶだろうと、早速、デジカメにて撮影し、画像をメールでお送りしたところ、直ぐさま、“おぉ〜っ”という叫び声と共にOK!の返事を頂き、コートと共にお修理屋さんの元へ旅立って行きました。 さて、こちらの仕上がりはどうなるのでしょうね〜? はたして、上手く出来上がるのか? しばらくは落ち着かない日々を過ごしそうです。 こちらの仕上がりも次回合わせてご紹介いたしま〜す! |