HOME>いらっしゃ〜い!!>真っ白なスプリングコート
オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!

 真っ白なスプリングコート
春も本番を迎え、お花見シーズンがやってきましたが皆さんお元気ですか?
長かった冬が終わり、きっと今の時期はあちこちで行楽お花見などを楽しまれていることと思います。

でも、こんな今の時期は季節の変わり目でいくら天気が良いからといっても薄着で花見とかに行くと陽が落ちてから寒い思いをしたり、数日暖かかった後に急に冷え込んだりしますよね。
そこで、今月はそんな時のために1着あって便利なスプリングコートをご紹介したいと思います。

最近は薄手でウール地でないスプリングコートは花粉が付きにくいこともあって結構注目されていますから皆さんも是非参考にしてください。

そして、今回ご登場頂くのはIさん
当店とはかれこれ5年来のおつき合いで、スーツからシャツ、コートに靴まで...と色々ご贔屓いただいている40代前半のとてもお洒落な方です。
そんなIさんから今回私にどんな指令を出されたかというと・・・
 それは >>> 真っ白なスプリングコート でした。 
真っ白なスプリングコートですか!!
白のジャケット同様 格好イイな〜と思いつつも、白のコートは汚れがどうしても目立ちますから普通の方は二の足を踏みますよね...
でも、そこを狙って注文されるとは!さすがIさんホントお洒落さんです。

Iさん、何でも出張の時とかに着られたいとか、、、
しかも色目は純白でなくちゃダメだそうで、、、そこがこだわりなんだそうです。
おいおい、、、どんな出張や?などと思わず突っ込みたくなってちゃいますよね。

でも、この真っ白スプリングコート、洒落た物というのは概して得る物も大きいけれど失う物もあるのが常で、Iさんからのご相談、実はそうやすやすとお受けできる物ではありませんでした。
ちなみにどんなところが問題か?というと...こんな所が問題でした。

■ いきなり出てくる問題点 ■

問題点1:メンズの白は難しい。

一口に白と言っても実は色は本当に難しく、メンズの白とレディースの白では色目が全然違います。

どこが違うか?というと、白の色目が全く違うのです。
画像をご覧下さい。

私が肩に掛けている白の生地、スプリングコートとしてはなかなか綺麗なですよね。
ウン、白のコートって普通はこんな感じです!!
でも、これは厳密な色で言うとオフホワイト〜ベージュの間の色目で白ではありません。

続いて、こちらの画像の白はどうですか?
と比べるともっと白く、純白です。

白というならこちらの方が圧倒的に白いですが、どことなく女性的過ぎて、鈴木その子じゃあるまいし(←古すぎ!!)白ければ良いってモンじゃありませんよね。
暮れになると矢沢永吉コンサート用の通称「永ちゃんスーツ」が売れるようになりますがこの時も最初皆さん『純白で!』と言われるんですが最後には少しクリームがかったメンズの白に決まります。

これが1つ目問題点、メンズの白は難しい!ということなんです。

ですが、、、Iさんの場合は、後ほど紹介しますが一筋縄でいかず純白に近い色目(画像一番下)で決まりました。
通常のメンズの白(最初の画像ぐらいの色)は上から2・3番目ぐらいの白さを言いますからこうやって比較してみると一番下は純白です。


問題点2:白は汚れが大変!!

続いて、白となると問題になるのが汚れなどの問題
万が一にでもコーヒーでも掛けたら、白は一発でアウト!!
白に限らず、トレンドカラーのライトグレイなどの淡色生地はは非常に気を遣う色目です。
特にスーツにしたときのパンツなどはトイレが要注意
コートでもお花見で焼きそばを食べて落としたりしたら一発で汚れが付いちゃいますから...

そして、それを少しでも軽減するにはどうすれば良いか?
それは、最近の技術革新で進化したナノテク加工 の撥水加工や撥油加工、防汚加工等を利用することなんです。
     ナノテク加工:1億分の1mの粒子単位で塗布する加工

これですと、汚れが完全に付かない訳ではありませんが、万が一の時も付く汚れが少なくて済みますし、例えば花粉などの付着もある程度防げるため、最近はゼニアのミクロンスフィアーなど花粉症予防にも注目されている素材の一つです。(Men's Ex 4月号P.110に少し掲載されています。)

そこで、今回Iさんには日本が誇るハイテク技術を駆使したナノテク加工の生地をオススメすることにいたしました。(サンプル外商品です)

問題点3:白はは透ける

まだ白の問題点は続きます。
白の問題点その3は、白は透けるということ。
薄手の表地でそれが透けるのはある程度止むナシなのですが、ここで気になるのはスーツやコートの裏側の裏地。

スーツでもコートでも表地が白なら、裏地も白または淡色にするのが筋ですよね。
でも、淡色の裏地って、どうしても透けてしまうことがあるんです。
画像で見るとこんな感じ。
上の裏地の方は中に隠した茶色いボタンが丸見えですよね。
女性が白いパンツ(ズボン)の時インナーが透けるのを敬遠し、ベージュの下着を履くのと同じ論理で、白×白だと逆に目立ってしまうんです。

スーツやコートの場合は、何が目立つかというと、例えばポケット地や芯地、それぞれの生地の端の解れなどこの辺が丸見えになってしまってはさすがに仕立てる側としても恥ずかしい

そこで、Iさんへは事情をお伝えし、画像右側のベージュ系のやや肉のある裏地にしてもらうことになりました。これなら透けません。

皆さんも白の生地でオーダーするときには気を付けてくださいね。(まともなお店ならこの弊害もアナウンスすると思いますが)

、、、ということで随分紙面を割いてしまいましたが、Iさんのスプリングコート、生地の色が純白と言うだけでこれだけ色々と問題がありました。

で、ご来店の際にこういった点をご案内して、ご注文の方はこんな感じに決まりました。

■ Iさんのご注文内容 ■
生地 
>>> ナノテク撥水加工付きコットン100%素材
生地は画像内左下の純白。
スプリングコート向け素材がサンプル帳に掲載していないためメーカーサンプルからお選びいただきました。

基本デザイン 
>>> シングルチェスターフィールドコート
スプリングコートは一般的にはチェスターよりステンカラー的な軽い雰囲気が好まれます。
この辺もIさんのこだわりです。

着丈  
>>> 99cm
普通スプリングコートは軽快感を出すため着丈は短めにするんですが、、、
Iさん贅沢に見せたいそうなんです。
まぁ、お気に召さなかったら後から切っても構いませんし、これはこれでOKとしました。

前立て  
>>> 打ち抜き(ボタンが外から見えるタイプ)

袖仕立て 
>>> 本切羽4つボタン(チェスターフィールドは基本はボタン留めです!)

裏仕立て 
>>> 七分裏 
普通はコートは総裏で仕立てますが、Iさんのご注文は着丈が長いため少しでも軽く仕立てられるよう裏地を短く七分丈(通称七分裏)で仕立てることにしました。

ウエスト絞りをギュギュッ
>>> これまたIさんならではなんですが、ウエスト絞りを出来るだけギュッと絞って、裾は思いっきりフレアにして欲しいとのご依頼でした。
う〜ん、Aラインっぽい色気あるシルエットがご希望なんです。
・・・が、実際にはウエストを絞ってその分ヒップを必要以上に出すと、その部分が単に縦にシワになるだけですので、これはある程度抑えていただくことにしました。
でも、ウエストの絞りはかなり強調してサイジングしましたから出来上がりを楽しみにしていて下さいね。

★☆★ SHOPMASTERより ちょっと一言・・・ ★☆★

ウエスト絞りの強いコートをオーダーする際のポイント

Iさんのご注文でもそうでしたが、
コートの絞りをタイトにされたい方は、まずご自身の中で上着を着た上でコートを着るか?、それとも上着なしで着るか?、を考えてから相談した方が良いと思います。

つまり、通常のコートは上着を着た上で出来上がり寸法を考えますから、どうしてもある程度大きく作らざるを得ません。
一方で、この上着のゆとり相当分が無くなればかなりギュギュッと絞ることが可能になるのです。

また、こういったシルエットを希望の方は当然ながら全体もタイト目にしたいと思います。
その際に気になるのが袖丈アームホールですが、これも同様に上着の有無によって自ずとその太さが決まってきますから、細身のコートを考える方はまずはご自身のインナー(ジャケットなのか、セーターなのか?)この辺を考えられると失敗しないオーダーになると思います。

小物類は?
>>> 白のコートとなると困るのはボタンやベルトのバックルなどの小物類
試しで、手持ちの白ボタンで試してみたものの...純白希望のIさんの希望を満たさず断念。
こちらは別途付属屋さんから取り寄せることに。

そして決めたのがこのボタンバックル
う〜ん、白い...デスね。

さてさて、
こんな純白スプリングコート、裏地の色目を含めてどんな仕上がりになるのでしょうか?
そしてIさんってどんな人?
どんなコーディネートするの?

疑問?興味?などなど好奇心ある人には楽しみな出来上がりになりそうです。
それでは出来上がりは次回改めてご紹介したいと思います。

どうぞお楽しみに〜