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追憶のハリスコート |
TVニュースなどで年賀状やお歳暮の話題が取り上げられるようになると、年も差し迫ってきた実感が湧いてきますが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
10月は比較的暖かい日が続いていたので、ジャケットをご注文される方が多かったのですが、やはり11月に入りますとチラホラとコートのご注文が舞い込んできます。 今回はその中でも昔見た記憶のある思い出のコートをご注文されたTさんをご紹介したいと思います。 Tさんは当社で初めてご注文されるご新規の方で9月の末にサンプル帳をご請求頂き、数日後、次のようなメールを頂戴しました。 |
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今回、Tさんは今までお持ちのスーツがきつくなり、またご職業柄お会いになる方に好印象を与える為にスーツをご新調されたいとのこと。 また併せてコートまでご注文頂けるとは...有り難い限りです! お送り頂いたメールを拝見致しますと、当社に対するTさんの期待の高さが伺えます。 これは否が応でも気合が入ります! ただ今回はスーツが主役ではなく、合わせてご注文頂いたコートが主役です。 それは当社のサンプル帳の中にTさんが昔ロンドンで一度だけ見たコートによく似た生地があり、それを見た瞬間、数十年前の記憶が鮮明に甦ったとのこと。 その生地とは...コチラ→ やっぱり!ハリスツィードです!! ロンドンで見た...と仰っておられたのでひょっとしてと思いましたが、ビンゴォでした! ハリスツィードといえば、スコットランド北西部のアウター・ヘブリディーズ諸島にあるハリス島で手織りされるツイードのことですから、ロンドンは正にハリスツィードの本場です。 おそらくTさんがご覧になられたコートもハリスツィードで間違い無いと思います。 そんな思い出深いコートをご注文頂けるとは...更にプレッシャーが重くのし掛かりますが、Tさんの期待と思い出を裏切る訳にはまいりません!何としてもお気に召して頂かなくては... そこでまずはTさんがどのようなデザインのコートをご希望なのかをお伺いするために次のようなお返事をいたしました。 |
ハリスツィードと一言で申しましても、デザインが異なれば印象を大きく変わってきます。 カッチリとした雰囲気であれば、チェスタータイプかボックスタイプが良いですし、逆にゆったりとしたシルエットをお求めでしたらラグランタイプがお薦めです。 |
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しかし、Tさんがお選びになられた生地はかなりカジュアル色の強いマルチチェック柄、素材の持つ雰囲気からすれば、ショート丈のカジュアルコートが良いのでは、とお薦めしましたが、Tさんからは少々、体型が変化しても長く着れるデザインが良いとのご希望でしたので、今回はボックスタイプのステンカラーコートをお薦めいたしました。 | |||
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□それでは今回の仕様をまとめますと...□ | ||
○生地...BL1330
>>>冬物のコートとなりますと、つい濃色系の色目を選んでしまいがちですが、コートは面積が大きくなりますので、濃い色目だと全体的に暗く沈んだ印象を与えてしまいます。 ですので、画像右側の明るい色目の方をお薦めしましたところ、今回はこちらの生地をお選びになられました。 ○基本デザイン...ボックスステンカラー >>>着丈はロングよりかはヒザ丈(ヒザ頭の少し上)の方が生地との相性も良いので、こちらをお薦めいたしました。 ○腰ポケット...ハコ型ナナメ ○ベント...センターベンツ釦ナシ ○フロント仕様...ブチヌキ >>>フロント仕様はヒヨクとブチヌキの2種類があり、一般的にボタンが表側に出ないヒヨクの方がフォーマル感があるのですが、今回Tさんご希望のハリスツィードは生地自体、非常にボリュームがあるため、比翼にすると前身頃の重なりが多くなるため膨らんでしまいます。 従って今回はボタンが表側に出るブチヌキにてお仕立てすることになりました。 さて、今回はこの様な感じでまとまりました。 Tさん長年の望みであるハリスコート、思い出の中にあるイメージで仕上がってくるのか? 次回、ご紹介いたしますのでどうぞお楽しみに!
今回、Tさんから頂いたご注文をホームページでご紹介させて頂けないかとお願いしましたところ、次のようなメールを頂戴いたしました。 |
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Tさん、ありがとうございます!!
お客様からのこういったお言葉は何にも代え難い励みになりますが、いくらご注文までの過程が良くても結果が悪ければ、全て水の泡です。 Tさんの期待を裏切らないためにしっかりとお仕立てしなければなりません! Tさん、気に入って頂けるよう頑張ってお仕立てしますので、どうぞ楽しみにお待ちください。 |
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執筆:南浦(大阪店)
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