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ハゲタカ |
いよいよ鬱陶しい時期になりましたが皆さんお元気でしょうか?
梅雨時はせっかくお洒落しても雨で台無しになることがありますから大変ですよね。 それでも7月に入るとあちこちでセールも始まりますから、この春夏で物を買わずに我慢した人もセールのかけ声で気持ちもぐらついている頃ではないでしょうか。 (えっ?!ヨシムラも今週から@セール?!はいはい、そういうフリです♪) さて そんな春夏シーズンの終盤ですが今月は今春ご紹介した007ボンドスーツが予想以上に好評でしたので今月は引き続き映画ネタをご紹介したいと思います。 最新の映画ネタ...といえば、NHKのドラマで人気を博したハゲタカですよね... さすがにトランスフォーマーじゃない!! 主人公の大森南朋演じる鷲津政彦・・・ 鷲津の元上司で盟友の芝野健夫(柴田恭平) 敵役の赤いハゲタカこと劉一華(玉山鉄二)などなど どの役者さんを見てもいかにも肩で風を切って“100億単位で勝負しているんだ!!”という感じで高級なスーツを身に纏い、着こなしもまたなかなかのものです。 ですから私もテーラーとして、『鷲津のようなカッコイイスーツが欲しい!!』という人誰か来ないかな?とかねてから思ってました。 そうしたところ... 丁度良いタイミングでご新規のAさんからこんなオーダーシートを頂きましたので今回はAさんのご注文を映画ハゲタカと絡めてご紹介したいと思います。 |
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Aさん、はじめまして・・・ 初めてでいきなり『ハゲタカ』ですか!!! 前回のジェームスボンドと比べると役者が日本人だけにイメージがつきやすいと言えばつきやすいのですが、逆に言うと007がシルエット先行なのに対し、私のイメージではハゲタカはイメージ先行で意外と具体的なディテールが浮かばないんですよね... つまりイメージとしてはこんな感じです。 ●やり手金融マン (But 地味目な都市銀行系にあらず外資系に近いイメージ) ○英国系のカチッとした雰囲気 ●生地は光沢感の強いいかにも高そう!といった感じの素材感 ○肉食動物系で攻撃的、やや筋肉質ながらも細身のシルエット う〜ん、そんなイメージのハゲタカスーツ。 NHKのドラマは全部見たけれど直近の映画は見ていないし、さて、どうしようか? ...そんなことを考えながらオーダーシートにお返事をしました。(こちらは事務的な確認事項ばかりでしたので内容は省略します。) すると、早速Aさんからハゲタカイメージの続報が届きました。 |
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な・る・ほ・ど・・・ 細かなディテールは別としてもどうやら私の持っているイメージとそうかけ離れていないようですね。 へ〜っ、映画ではヒューゴボスを使っているんですか? それなら私の好きなブランドですからイメージしやすいです。 よしよし、これなら後はご来店時に最終調整で大丈夫そうだ... Aさんこの分だと映画を見ているようだからパンフレットや資料なんか持ってきて貰えないかな〜? ...なんて事を申し上げたところ、早速Aさん@セール直前の6/27にご来店いただきました。 しかも私の期待通りに映画のパンフレットまで持ってきて下さって・・・ 私も事前にネットで色々と画像は見ていましたが、映画を見ていない私としてはホントありがたい資料でした。 そして、一通りパンフレットを読ませて頂いた後、お互いのイメージのすり合わせを行ない次のような方向性で鷲津スーツを作ることにいたしました。 ちなみに鷲津政彦のイメージはこんな感じです。(パンフレットの隣に置いた生地は今回のご注文素材です。) □ 生 地 □ >>> 今回の大きなポイントは生地の色柄です。 外資系金融マンのように主張の強いキツ目のストライプ柄で色目もダーク。 今回はロロピアーナの盛夏向け素材のジランダーから黒地に白のピンストライプ柄をチョイスしました。 う〜ん、かなりやり手の雰囲気が出るんじゃないでしょうか。 □ 基本デザイン:シングル2つボタン3つ揃え □ >>> 肩はカチッとした英国調の物かな?と思いましたが、実は画像を見ると主人公の鷲津政彦は役者の大森南朋がややなで肩なのか、意外と肩は怒っておらずややナチュラルショルダー気味でした。 でも、トラッドのようなナチュラルショルダーはイメージと違うということで、レギュラーのブリティッシュスタイルのシルエットにしました。 □ ベスト付き □ >>> 夏物なのに?と思われるかも知れませんが、やはり鷲津スーツのポイントはこのベスト。 当初Aさんはベスト「チョイ見せ」を希望していましたが2つボタンではそこそこベストが表に出ると言うことを説明したところ納得。 ベストがバーンと主張する3つ揃えにしました。 □ ディテール □ >>> シャープなイメージ、若々しく肉食系のイメージを付けるアイテムとしては ・ポケットのスラント ・お腹回りをややタイトに ・パンツはノータック などがあり、 高級なイメージを付けるアイテムとしては ・お台場仕立て ・本切羽 ・カラフルなキュプラ裏地 などがオススメです。 Aさんもこの辺はお考えになられたようでお台場仕立て・本切羽・キュプラ裏地等々がセットになったクラシコ仕様でまとめられました。 そして、いざ採寸.... この辺になると私も忙しく接客しているのであまり画像は撮れなかったのですが、画像はパンツのデザインを決めるところでパチリと撮ったもの。 何を悩んで下を向いているかというと、パンツの太さ。 普通にヒップから裾までテーパーを利かせただけではもっさりスーツになるし、逆に今風の美脚パンツまで絞ってしまうと、鷲津スーツとしては若々しくなりすぎる。 『ほどほどのタイトさはどの辺か?』 ということを色々議論しながらサイジングを決めました。(写真に登場している当社スタッフは市川氏) で、そんなこんなでサイジングも決まり、ようやく鷲津スーツの仕様が決まりました。 出来上がりは3週間先ですが、さてさてどんなスーツになるのでしょうか? 楽しみですね。 それでは次回は出来上がりを中心にご紹介したいと思います。 |
〜 鷲津(大森南朋)スーツと芝野(柴田恭平)スーツ 〜 今回期せずして鷲津スーツのご相談を頂きましたが、私としましては大森南朋よりも柴田恭平扮する芝野スーツにも大変興味を持ちました。 ...と言うのは、芝野(柴田恭平)は役柄では鷲津よりも年輩で、やや草食系のイメージ。 俳優も柴田恭平といえばひょろっとした細身の俳優ですよね。 そこで芝野(柴田恭平)のスーツも一緒に比較検討してみると、なんと芝野スーツは肩がコンケープドショルダー。(肩先がこんもり盛り上がっている) それを見たとき、私は作者(演出者)の2人の役柄に対する意図を強烈に感じました。 それは、、、 鷲津政彦は名字に肉食系の「鷲」が付いている通り、肉食系の力強いイメージ。 一方で真面目な元銀行員を捨てきれない芝野役は、首の長い柴田恭平の役柄に、その首の長さが強調されるかのようなコンケープドショルダーは、正に同じ鳥類でもおとなしい『鶴』のイメージなんです。 『鷲』と「鶴」か〜... なかなか面白い取り合わせだと思いません? ・・・なんて話しをAさんとしたところ、Aさんも納得。 007の時もそうでしたが映画を角度から見てみるのも面白いもので、今回のご注文ではAさんととても楽しい一時を過ごすことが出来ました。 |