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オーダースーツのヨシムラ
お客様！いらっしゃ〜い！
　礼服でひと工夫
９月に入り秋風が吹いてきましたが、皆さんお元気でしょうか？
今年は夏が厳しくありませんでしたから夏バテにならず助かった人も多いのではないでしょうか。
そろそろ実りの秋を満喫できる良い季節になってきました。

さて
そんな気候も穏やかなこの時期は６月に次ぎ結婚式などのお祝い事が多い時期です。
読者の皆さんも友人知人、部下、親戚の結婚式の招待状を手にされている方も多いのではないですか？

そこで、今月は久しぶりにフォーマルについて皆さんにご紹介いたしたいと思います。

登場されるのはリピーターのＮさん
Ｎさんは50代で、お仕事は教師をおやりになられています。
そんなＮさんからご相談いただいたのはこんな内容でした。

09.08.27　件名：お世話になっています。
吉村さん
こんにちは。いつもお世話になっています。
10月にも甥の結婚式があり、礼服の新調を考えています。
黒はもちろん持っているのですが、慶事と弔事が同じ服であることに疑問を持っていたところ、ディレクターズスーツというものがあることを知りました。
また、コートもいいものを一つ欲しいと思っています。
28日の午前中に伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします。（杉並区　Ｎ）

☆★☆東京SHOPMASTERより一言･･･☆★☆

いつもありがとうございます！！
Ｎさんは私がいつもご担当しているリピーターの方ですが、お仕事が教師ということであまりスーツの需要はなく、これまではもっぱらジャケット＋パンツのオーダーが多かったです。
そうそう、昨年は人気の高かったゼニアのヘリンボーン柄（トロフェオカシミヤ）でジャケットのご注文を頂きましたね...
その節はありがとうございました。

そして、Ｎさんのマメなところはご注文の前に伊勢丹メンズ館へ行かれて下準備（予習）してから来られること。
この辺、さすが！先生！！といった感じですね。
ちなみにご相談いただいているディレクターズスーツがどんな物をいうかと言いますとこんな感じの礼服です。

特徴は､､､
・ 上着はシンプルな礼服（ノッチドラペルでもピークドラペルでもＯＫ）
・ ベストは明るいグレイのベスト（弔事では黒）
・ ボトムはコールズボンといって専用の縞柄パンツ

用途は､､､
用途は昼の準礼装です。ですから夜のパーティーなどではＮＧです。

実際にはどんな人が着る？
ディレクターズスーツの正式な位置付けは昼の準礼装というだけですが、日本人の感覚で言うと、例えば、結婚式なら友人席に座る気軽な礼装ではなく主賓席、あるいは家族席で一段格上でお祝いをする立場、そんな雰囲気です。
ですから、年齢的にも20〜30代には正直似合わず（この世代はタキシードがベスト！）40代後半ぐらい〜の大人が似合うフォーマルです。
20〜30代ぐらい方が洒落たフォーマルにしたい場合は右の画像のようなタキシードが最適です。（タキシードは正式には夜の礼装ですが昨今は昼からならＯＫです。）

ちなみに、ディレクターズスーツは華やかな印象のため一般的に慶事を中心にイメージしますが、弔事に着て失礼という訳ではありません。
ただし弔事の場合は、ベストとタイを黒にして着用します。
そして、Ｎさんは翌日来られ、次のような事を仰られました。
Ｎさん： 吉村さん、昨日のメールの通り普通の礼服はもう持っているので慶事用にディレクターズスーツが良いと思うんだけどどうかな？
私： よろしいんではないですか？
ディレクターズスーツなら昼の準礼装ですし、Ｎさんの教師のお仕事柄、卒入学式などでもお召し頂けますから...
Ｎさん： デザイン的にはディレクターズスーツってどんなもんだろう...？
私： ディレクターズスーツはタキシードと違って（上着は）特殊な生地は使いません。
普通のフォーマル用の黒無地です。
ただ、ベストが明るいグレイのベスト、パンツがコールズボンと言ってモーニングで履かれるような縞柄のパンツになるだけです。
Ｎさん： そうか、、、上着は普通なんだね。
襟はノッチドラペルとピークドラペルどちらが多いの？
私： 襟はノッチでもピークでもどちらでも大丈夫ですよ。
ただ、ノッチにするとそれこそ普通の礼服となんら変わらなくなりますから。

あれっ、Ｎさん、当店で以前礼服仕立てられているじゃないですか!?
それでしたらその上着を流用できますよ。
デザイン的には全く同じで大丈夫ですから...
Ｎさん： そんなことして大丈夫なの？
私： えぇ、問題はありません。
問題は･･･Ｎさんがダイエットに成功し細くなったところ位ですかね。（笑)
いたずらに新しい物を作っても仕方ありませんから、上着を作らない分余った予算で前の礼服のお直しをいたしましょう!!
Ｎさん： そうだね。
･･･ということになりました。
そして､､､ご来店の際にお持ちいただいた以前の礼服をお預かりしてサイズのチェック。
すると、こんなにサイズが違うことが判明...
以前のサイズ
今のサイズ
バスト
106.0
105.0
中胴
97.0
　→　 91.0 ◎
ヒップ
103.0
103.0
ウエスト
91.0
→　87.0 ◎
ワタリ幅
37.0
35.5
ヒザ幅
25.5
25.0
◎印を付けたところが大きく変動していますね。
ちなみに中胴とはお腹の一番出ている部分を差します。
Ｎさんの場合ここが6.0cmもダウンし、一方でヒップなどがあまり変わっていないというのは、無駄な脂肪だけが落ちて痩せていますので非常に良い痩せ方と言えます。
意外に思われるかも知れませんが、私達テーラーは定期的にお客様の採寸をすることでお客様が良い痩せ方・太り方をしているかどうか？分かるんです。
そして、パンツの方はお腹がへこんだ分少しスッキリさせて太股部分（ワタリ幅）〜ヒザまでを少しずつ削るようにいたしました。

さてさて
こんなＮさんの今回のご注文、どれ位のお金が掛かったでしょうか？
こんな感じです。
画像は一番上がグレイベスト用で、下３つがコールパンツ専用生地です。
ディレクターズスーツ用
　グレイベスト 15,000円
　コールパンツ 25,000円
　お直し（上下） 10,500円
　合計 50,500円
ちなみにディレクターズスーツ一式ですとだいたい上中下で9〜10万円前後ですからＮさんにとって結構お買い得だったのではないでしょうか？

消費者として新しい物を欲しくなる気持ちは分かりますが、ある物を使い回していくのも賢い消費者だと思います。
そろそろ40代となって部下の結婚式に呼ばれるようになったアナタ！！
傍らでは住宅ローンを抱えているアナタ！（あぁ、私の世代ですね､､､）
是非、賢くお洒落してください！！

それでは次回、Ｎさんの仕上がりをご紹介したいと思います。