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不景気の今年は・・・ |
秋も深まって郊外では紅葉も見られるようになりましたが皆さんの周りはいかがでしょうか?
この時期になると関東では日光中禅寺湖とか箱根とかが紅葉の名所ですね。 さて そんな今の時期はファッション業界も正に最盛期で、どこのお店でも冬物商品販売で慌ただしくなるのですが... 今年は昨年からの不況感の中、どこも商売は厳しいようでファッション業界ではユニクロとシマムラを除いてどこも苦戦しているようです。 一番苦しんでいるのはアパレル(既製服)業界ですが、我々オーダー業界は元々中小規模が多いだけに吹けば飛びそうで青色吐息です××× とはいえ、こんな時期でもお客様が全くいらっしゃらないかというとそうではありません。 そこで今月は、ここ数ヶ月特にご相談が伸びているある傾向についてお客様にご登場いただきながら皆さんにご紹介したいと思います。 さて、そのある傾向とは・・・? それはお直しとパンツだけ注文なんです。 簡単に言いますと、それは... |
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・・・というロジック(論理)なのです。
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なるほど・・・、と思われている方も多いのではないでしょうか?
そこで今月は、そんなお客様の成功例・失敗例(ダメだった例)をご紹介いたしたいと思います。 |
■ 1人目のお客様 ■
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初めはこんなメールからご相談は始まりました。 | ||
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メールを頂き、早速顧客ファイルを調べてみると・・・ 何とSさん、該当するスーツのご注文時期は5年前。 う〜ん、、、さすがに5年も前の生地が残っているとは思えません。※1 まして調べてみると生地はインポート商品※2です。 〜 筆者注 〜 ※1:一般的なテーラーさんは(当社のような)生地屋から生地を1着1着仕入れているため、後から生地を仕入れるというのはかなり困難を要します。 何故ならファッション業界は毎年トレンドがあるのが常識で、つまり無地やベーシックな柄を除けば殆どの商品が年度をまたぐと入れ替わってしまうためです。 一方で当社は、生地屋も併設しているため、例えWeb上で品切れ表示をしていてもパンツ1本分とか上着分位は何かあった時のために敢えて残していることがあります。 このため当社は比較的こういった追加が見つかりやすい環境にあるといえます。 ※2:インポート商品は上述のトレンドで色柄が大きく変わることに加え、簡単に取り寄せが利かないこと、国内での流通が限られることなどからまず見つからないと考えた方が良いでしょう。 ファッションは人とは違う物を好みますから、ますます見つからなくなると言う訳です。 そして、Sさんの在庫もお調べしたのですが、やはり見つからずこんなご案内をいたしました。 |
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Sさんの場合は、生地がチャコールグレイの無地でしたので本来ならば定番色ですから在庫があっても良いような物だったのですが、定番とはいえメーカーも何年か毎にクオリティーを変えることがあり同じ物は当社にはありませんでした。 でも、チャコールグレイの無地なら他メーカーを含めれば色々ありますので、別メーカーでも色の差が気にならない物があるかもしれないということでこんなご案内になったのです。 こういった定番無地のスペアパンツをお探しの場合は、場合によっては似たような物が見つかる可能性もありますので、そんな方は上着をお店に持ってきて色合わせしてみてはいかがでしょうか? |
■ 2人目のお客様 ■
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1人目のお客様が中途半端な終わり方になってしまったため、2人目では成功例をご紹介しましょう。 こちらはNさん。 ここ4、5年程のリピーターの方なのですが、最近、パンツのシルエット を強く意識するようになり、新しい物を作ることもさることながら、お直しでトレンドに近いデザインをお直しされているお客様です。 そして、Nさんからはこんなメールを頂きました。 |
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う〜ん、画像を見る限り、ピスポケット(お尻のポケット)の玉縁部分の端がパンクしているのとその脇がすり切れていますね。 これは明らかにポケットの使いすぎで、特に厚いお財布(金属の縁取りのある物)などの使用頻度が高いとどうしてもこうなります。 こうなってしまうと・・・お直しとしては同じ生地を裏から差し込んでミシンでダダダッ、、、と叩いて誤魔化すやり方もありますが、それでは目立ってしまいますのでNG。 一方で、カケハギといって糸を一本一本差し込んで生地を復元するやり方もありますが、それではコスト的に割に合いません。 そこでNさんにはこんなお返事をいたしました。 |
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よし!これならOK!と思ったのですが、実は私が↑で「ゼニアの夏物」と申しましたが実はさにあらず。 画像の商品は、こちらもやはり品切れでした××× (もちろん顧客ファイルで過去のお買いあげヒストリーは見ているのですが画像だけですと時としてこういうこともあり得ます。(-_-;) ) ですが、、、 それならば!ということでNさんからは後日サイズ直しでご来店の際に、同様に痛み始めた別のスーツの事でご依頼いただきまして、そちらの在庫を調べたところ、こちらはOKでした!! そこで、在庫を調べて“在庫アリ”のご連絡を差し上げると早速Nさんからお返事が・・・ |
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ふ〜っ、お直しや昔の商品の追加などは個別性が強くてホント大変です... 特に、昔の商品に関しては倉庫の奥の奥まで調べなくてはいけませんし、こういった在庫はコンピュータ上の在庫だけでは判断が付かない※3ので1着1着調べないといけないのです。 ※3:当社では商品(生地)を10cm単位でコンピュータ上に在庫入力していますが、1着1着オーダーの際にわずか数cmでも余計に切っていると1反で見たとき大きな在庫のズレになります。 ですからコンピュータ上で在庫があるように表示されても実は品切れていたということは良くあることなのです。。 ...ということで、今回も仕事が終わった後、暗い倉庫でごそごそと生地を探していた私でした。でも、見つかってホント良かったです! |
■ 3人目のお客様 ■
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3人目のお客様Yさんも実はNGだった例。 「何だ3打数1安打かよ」なんてと言わないでください! Yさんからのご相談はこんなメールでした。 |
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Yさん、水洗いの方はともかく、上着の破れは随分派手にやりましたね。 これはもうゴメンナサイ!です。作り替えしかありません。 そこで...生地を調べたのですがこれがまたまた随分昔のご注文 なんと7年前のオーダーです。 それにしてもウチのスーツも良く保ちますね、、、 (^^;) さすがに、これは見つからないだろう、、、と思いつつも、困っているYさんを放っておけませんので調べてみたのですが、やはりダメ。 う〜ん、なかなか上手くいかないものです。 でも、水洗いの方はメンテナンスも含めて行っていますので簡単なお直しは無料でお直ししています。 例えば・・・ ボタン付け >>> 水牛ボタンは風合いは良いのですが如何せん堅いため欠けてしまうことが多々あります。特に袖を重ねボタンにするとこの傾向が強いのですが、こういったことはメンテナンスで一緒に直してしまいます。 上着の裾の解れ >>> これも結構多いのですが、上着の裾裏は軽くしか縫っておりませんので(他社製も含めて)結構解れやすいです。 こういったところも水洗いの際には気になったところは出来るだけ無料でお直ししています。 画像で爪に掛かっているところが濃色で、その下が明るめのベージュになっていること、ご覧頂けますか? 明るい色の方が今回水洗いメンテナンスで補修した所です。 ・・・とまぁ、今回はお客様にとってお役に立った話、立たなかった話と色々でしたが、今の時代、使える物は末長く使っていただきたいと私共も考えていますので、皆さんも是非パンツがダメになったから上着も捨てる!なんて言わず、何かお困りのことがあればお気軽にご相談下さい。 サイズ直しには、縫い代等の関係から物理的に出来ること・出来ないことはありますが、当店は技術的に難しいことでも技術でカバーできるのであれば、イージーオーダーの直しをハンドメイド工場で行うこともいたしておりますので対応範囲は広いと思います。 これからの時代、修繕やメンテナンスは住宅・車などの固定資産のみならず、衣料品でも行えるようにならなくては真の温暖化対策にはつながらないと思います。 小さな会社が大それた事を言うようですが、当社はこんな所も大切にしたいと考えております。 |