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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!

 フロックコートが変身?
 地震で東日本は大変な事態になっておりますが、皆様の周りはいかがでしょうか?
当社はネットでオーダーを受けることも頻繁にあり、東北特に仙台はお客様も多くこの度の震災には大変心を痛めております。
本稿の始まりに当たりましてはまずは被災された皆様へお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。

さて
地震によって暗雲が立ちこめるこの春となりましたが、人間万事塞翁が馬という言葉がある通り、嫌なこと悪いことが後々にその人にとって変わるか、分かりません。
お亡くなりになる方もいらっしゃれば、生まれてくる命もある訳ですので、今回は気持ちを新たにこんな時期ですが敢えておめでたいお話を採り上げたいと思います。
私の発言をご不快に思う方もいらっしゃるかも知れませんがどうか容赦下さい。

それでは今月は努めて明るい話をと思い、今年の1月にご結婚されたリピーターのTさんからのご注文をご紹介したいと思います。

Tさんのプロフィールをちょっと紹介しますと、Tさんはこんな方...

サーファー
>>> Tさんは大変硬派なサーファー。顔は日焼けで年中黒く、白いシャツが似合うタイプ

体型は・・・
>>> ご体型はサーフィンの影響から非常に引き締まった体型。一言で言えばスーツが似合う体型

お好みは・・・
>>> お好みは『印象の強い柄』が好きな方。強めのストライプなどが大好きで、無地はNG!

...と言った方で、おまけ話ですが大変ご贔屓頂いていてご友人のKさんを始め、会社の取引先の皆さんも紹介して頂いて、Tさんを根っこに何人ものお客様の輪を作ってくださった方です。

ちなみに、画像はサーファー仲間のご友人Kさん
Kさんも以前お客様コーナーにご登場いただきました。
サーフィンやっているだけあってKさんも良い体格をしております。

そんな、Tさんからのご注文は...
ずばり! ご自身の結婚式で着るフロックコートのご注文でした。

ありがたいですね。。。 (*^_^*)
お客様の結婚式で当社のスーツをお召し頂けるなんて。仕立屋冥利に尽きます。
加えて、ご友人のKさんも披露宴に出られて、そのスーツも当社で仕立てられましたのでホントTさん様々です。

そしてその時のご注文の内容は・・・と言いますとこんな感じ。

■ Mさんのご注文内容 ■
生地は・・・
黒地にドビー織りというちょっとメンズでは珍しい織り方をした葛利毛織らしい凝った素材。
葛利フェアーで特別に仕入れた商品を使いました。
普通、新郎用の衣装って黒無地なのに、黒無地にせず、織り柄が入った生地にするところがTさんらしいところです。
デザインは・・・
 基本デザイン
デザインは襟をタキシードのような拝絹にしたロングタキシード?フロックコート?
最近の若い方に多いスタイルのロングタキシードでした。
 着丈
上着丈はロングタキシードというだけあって標準+17cm
 フロント釦
釦の数は1つ。シングル1つボタンの拝み合わせ釦です。
 腰ポケット 腰ポケットはタキシードはフラップなしの両玉縁です!

そして出来上がりはこんな感じ...
どうでしょう!かなりカッコイイでしょ?!
...ていうか、何故出来上がりをいきなり紹介なの?って感じですよね。お客様いらっしゃ〜いコーナーで前編なのに...

そうなんです。
今回はTさんのロングタキシードの出来上がり紹介ではありません!
そうではなく、ご注文時にTさんからリクエストされていた
結婚式が終わったら普通のタキシードに仕立て直せないか?
...ということをご紹介したいと思ったんです!

それで結婚式が1月に終わり、ようやく落ち着いてきた頃、次に自分がお呼ばれされる5月頃の事を考え、ご来店(ご注文)されたのです。
それではここからが今回の本題になります。

画像のようなロングタキシード、どんな仕立て直しをするかと言いますと...
簡単に言うと、上着丈を標準の長さに詰めるお直しをいたします。
でも、それってそれほど簡単なことではありません!色々と問題があるのです。
どんな問題があるかというと。。。

問題1:腰ポケットの位置
>>> 上着丈を詰めるというのは“下をチョンっと切るんでしょ?”と思われるかも知れませんが実はそんな簡単ではありません。
問題(ポイント)は腰ポケットなんです。
腰ポケットと上着丈は微妙な位置関係があり、着丈は適切でもポケット位置が下過ぎると全体に寸胴に見えてしまい、見た目に珍妙になってしまいます。
だからといって、一度仕立てて切り込みを入れた腰ポケットの位置を変える事なんて出来ませんから、そこは最初のお仕立ての際に、お直し後のことまで考えて腰ポケット位置を決めておりました。
全ては事前準備次第ですね...

問題2:ボタン位置
>>> 続いて大変なのがボタン位置。 通常、ボタン位置というのは上着の真ん中ぐらいに位置するのがバランス的に合っていますが、今回はお直し後の位置がバランス的に合うように、当初のロングタキシードで位置を調整しておりました。

問題3:フロントカットを作り直し。
>>> これも事前準備が大切で、タキシードのフロントはカッタウエイになるのが一般的ですが、そうなっても大丈夫なようにロングタキシードのフロントカットを少しスクエアー気味にいたしました。
削ることは出来ても出すことは出来ませんからね、、、
画像はロングタキシードを折り返して丈の確認をしているときの写真
左半身分だけ詰めてみました。
17cm詰めるってスゴイ長さでしょう?
単に折り曲げただけですとフロントカットがスクエアーになってしまいます。(^_^;)

さて、
こんなロングタキシードのリフォーム、どんな風に仕上がるのでしょうか?楽しみですね。

お若い方で結婚式用にロングタキシードを仕立てる方がいらっしゃいますが、新郎として引き立つロングタキシードも式が終わって、別の用途として考えるとちょっとフォーマルすぎですよね。
ロングタキシードやフロックコートのまま友人の結婚式やパーティーに参加したらどちらが主役か分からなくなってしまいますし、、、
そんな時はチョキンと切ってリフォームすることをオススメします。

それでは次回出来上がりをお楽しみに