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オーダースーツのヨシムラ
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 モードを意識したオーダースーツ
「UMIT BENAN(ウミット・ベナン)」

1980年ドイツ生まれ。
ミラノやロンドン、アメリカで洋服のデザインやテキスタイルを勉強し、まだまだ若いデザイナーではありますが、国内でもセレクトショップで取り扱われ、クラシックの要素を交えながら、そのシルエットセンスは抜群です。
素材にも力をいれているところから、今後も期待したいブランドの一つですね。

今回、この「UNIT BENAN」をテーマに仕立てるのは、私のブログでもよく登場する川戸氏
普段着ている物も、マルタンマルジェラやヴェロニクブランキーノ等々、「モード」をこよなく愛す生地部門のCOOLなエース?です。

「今回のこだわりポイントはシルエット」
・ジャケット→肩幅狭め、着丈短めの最近のトレンドに合わせたタイトシルエット
・スラックス→ワンタックを入れ、ワタリ(モモの付け根部分)をゆったりとしつつ、裾にいくほどタイトなテーパードパンツ、股下は短めでノークッションで、、、とのこと。
ささっとデザイン画を書いてもらいました。

ただ、今回の「UMIT BENAN」は80'Sをインスピレーションしているため、ゴージラインは低く、角度も現在のトレンドとはをいく急な角度で幅も広めでデザインされておりますが、川戸氏はここが受け入れられないとのこと。(特にゴージラインの低さ)

トレンドの発信はこの受け入れられない(見慣れない)デザインが世間に広まり、目も慣れた頃から本格的な流行となるため、今後80年代のようなローゲージ・幅広襟などのスタイルになっていくのか、、、
と二人で雑談しながら、やっぱりここは今のトレンドをいくゴージライン高めにして、シルエットを重視ということで打ち合わせになりました。

この辺りは、自分の好みの所(シルエット)を選び、デザインで、受け入れられない所を捨てていくという、まさにデザイナー的要素ですね。

□□□ 基本ディティール □□□
□ ジャケット □
 ダブルブレスト
6×2(ボタン位置高め)
 襟
ピークドラペル・ハイゴージ
 ベント 
サイドベンツ
 袖口
くっつき4つ釦
 脇ポケット フタ付き玉縁
 裏仕立て 総裏
 キュプラ裏地 持ち込み
 釦 くるみ釦
□ ベスト □
 フロント シングル6×5
 襟 衿無し
 バック 尾錠付き
□ スラックス □
 タック ワンタック
 脇ポケット ストレート
 ピスポケット 両玉ポケット
 裾 ダブル
 股上 26センチ
 裾幅 18センチ
上記の仕様を見て、特にこれといった変わったディティールはありませんが、シルエットに重視したデザインでのご注文です。なかなかイージーオーダーでは一発勝負の所もあるため、採寸は念入りに、、、
重要な釦位置の確認。

□□□ ポイント □□□
ジャケットは、ダブルブレストで80年代を演出し、シルエットでは肩幅狭め、釦位置を高めにし、胴回りも適度なゆとりを入れつつタイトに、そしてゴージラインを高く、衿幅広め。
肩幅を狭く&胸回りのゆとりを小さくすることにより縦のラインが細く始まり、第一印象でぴたっと身体に合った印象を与えます。
胸回りのゆとりはオーダーでは、非常に敏感なところでゆとりが2センチ前後するだけでも、着心地には大きく影響していくので、サイズを詰めていくのは腕の見せ所、、、
デザインでは、くるみ釦を使用することによってちょっと遊び心を演出しております。

ベストは特に変わったディティールはありませんが、このように全体的なシルエットでアクセントを取る場合はクラシックにベストで引き締めると全体的にまとまりも出てきますので、今回のご注文ではとても重要なアイテムとなります。

スラックスは理想のシルエットを作るためワタリ周りに通常より多めにゆとりを入れて、裾へのテーパードを強調、タイト目な上着とのシルエットでの協調性を持たせます。股下の長さもノークッションで極力短めに。(通常より3センチ短く)
今回は股上も26センチと川戸氏の身長・ウエストに対しては深めに設定し、現在のトレンドとは反した80年代をイメージ。
デザインやディティールについては、上記のようになりました。

□□□ 着るシチュエーション □□□
どのような時に着るの?

友人の結婚式に!とのこと。
川戸さんは文化服装学院(服飾専門学校)を卒業しており、その卒業生が集まるということで、服にこだわりを出したり、「個性」を打ち出し、他との差別化を求める人たちが多いのですが、川戸さん自身もちょっと意識しているんではないでしょうか。

今回は少々大胆なシルエットではありますが、通常のオーダーでも自分の身体に合った物を仕立てるだけでも既製とは大きく違ってきます。
(もちろん既製が丁度合う方もいらっしゃいますが、、、)

あとは、自分の好みに合わせたスーツを探し求め、掘り下げることにより、1着目より2着目、2着目よりも3着目というように時間と手間をかけ、より自分の身体に合った、自分の好みのスーツが出来上がりますので、このイージーオーダーの魅力を沢山の方に味わって頂けたらと思います。

今回は、モードを意識したオーダースーツ。ということで取り上げてきましたが、仕上がりの際はまたご紹介させて頂きます!
お楽しみに!  
参考:2011-12 A/W ミラノコレクション