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オーダースーツのヨシムラ
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 春夏新作スーツ仕立てました。(東京:高岡)


4月もそろそろ...という季節ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
新生活を迎えられる方は、準備も一段落(..?)、新しい環境に向けて不安や期待が入り交じる時期ですね。

気温もようやく春らしい陽気になる日も増えて参りましたが、まだまだ朝晩と冷え込む日もございますので、体調管理に気を付けて、新しい年度を迎えましょう。

さて、そんな春めいた季節、ここで紹介するのも忍びないのですが、春夏物でスーツを仕立てましたので、ご紹介させていただきます。
春夏物の参考までにご覧下さい。

■ 生地 ■
G9045(葛利毛織社製/グレンチェック/3PLY)

葛利毛織は、現代の高速織機の流れに乗らず、「質」に対してとてもストイックにプライドを持って生地を織る機屋です。
なぜ、高速織機ではなく、ションヘル織機という一日に半反程しか織れない機械を使っているのか... 画像をご覧下さい。
...よく分からないという方がほとんどだと思いますので、ご説明させていただきます。

画像左(ションヘル織機)の経(タテ)糸の上下運動が大きい状態で織られる為、生地に織り上がった時に柔らかい印象になります。
その理由は、横糸を通すときに経(タテ)糸へかかる「テンション」による違いによるもの。
物理的に生地50mを織り上げる際に使用する経(タテ)糸の使用量は、高速織機57m位なのですが、ションヘル織機の場合61mも使用しています。
その50mの内の4m分が上記画像の様に上下運動(柔らかい印象)に反映されています。

葛利毛織ファンが根付いている一つの要因をご紹介させていただきました。

私も葛利ファンの一人として、毎シーズンと言っていいほど葛利毛織でスーツを仕立てているのですが、今回決定した生地はこのグレンチェック柄。

実は、この生地、
葛利毛織の社長に直接イメージを伝えて0から織ってもらった生地なんです。
そりゃ愛着も沸いてきますよね。。。
愛着が沸く生地が多く、財布が心配ですが実際に自分で作ってお客様に良さを伝えていけば報われる!とポジティブに考えてお仕立てしました。

今回仕立てた生地はこちら。
G9045(葛利毛織社製/グレンチェック/3PLY 目付400g)
春夏生地で目付400g?!...と思われた方は、生地に詳しい方です。
実際、春夏物は240g前後が主流ですが、3PLYといことで糸自体が太くなっています。

ただ、多孔性織りということで、とても通気性が良い素材となっておりますから非常に夏向きな素材ですから、一度手にとってその冷ややかな質感と清涼感をお試し下さい。

■ デザイン ■
今回は、久しぶりに夏物スリーピースにて仕立ててみました。
入社後初めて仕立てた春夏物スーツは三揃いで仕立てたものの...なかなか着用することが無かったため、夏物ではあまりベストを仕立てていませんでした。
ただ、夏以外の春・秋を中心に着回す為にと思い、今回思い切ってスリーピースにて仕立ててみました。
それでは、デザインのご紹介です。
【ジャケット】
・フロント 3つボタン中掛け
・衿型
ノッチドラペル(ハイゴージ/衿幅8.5センチ)
・ベント
サイドベンツ
・脇ポケット ナナメハッキング(±1.5センチ)チェンジポケット付き
・胸ポケット バルカポケット
・見返し 総裏/一枚台場
・袖ボタン 本切羽/4つボタンくっつき
・備考  ビルドアップショルダー
【ベスト】
・フロント 衿付きシングル6つボタン
・Vゾーン 高め
・尾錠 あり
【スラックス】
・タック ノータック
・脇ポケット ナナメ
・ピスポケット 左ポケット無し
・裾口 ダブル4.5センチ幅
・備考  脇尾錠付き、ベルトループ無し

上記が今回仕立てた春夏物スーツのデザインです。

最近、イタリア調のスーツから英国調のスーツに切り替わりつつありますが、正統的なブリティッシュスタイルで仕立てました。
の部分がブリティッシュスタイルらしい部分です。
詳細は出来上がり時にご紹介しますね。

私自身オーダースーツは、最初は先輩に仕立ててもらい、その後自分であれやこれやと試行錯誤しながらデザインやサイズ感を調整して参りましたが、5着目あたりから何となく「この感じ、いいなぁ」と思うことが出てきました。
その積み重ねが今に至るのですが、まだまだ終着点ではなく、進化していきたいと思います♪
その自ら仕立ててきた経験を皆さんへも提供できるよう積極的に試そうと思います。
(財布の相談をしながらですが...独り身でいる限りは大丈夫かな?汗)


こちらは、タテ糸を一本一本手で準備しているところ。(葛利毛織)