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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!

 身体の補正
 湿気が多く、どんよりとした空気感が何とも言えない梅雨の雰囲気ですがいかがお過ごしでしょうか?

クセっ毛の私は、この時期頻繁に髪を切ってもらってます。

さて、そんな梅雨の時期に引きこもって髪をくるんくるんとさせながら原稿を書いている私(高岡)ですが、爽やかな好青年のスーツを仕立てる機会がありましたので、ご紹介させていただきます。

詳細は出来上がりのご紹介を行う際に...ということで、顔や具体的な詳細はご紹介できませんが、今回は身体の補正を中心にご紹介させていただきたいと思います。

遡るところ、6月上旬。
その日は、勢いよく雨が降っておりジメジメとした一日でした。

「初めまして。宜しくお願いします。」と、私。
「初めまして。本日は宜しくお願いします。」と、礼儀正しく爽やかな好青年のN君

人当たりの良さもさることながら、どこか芯を持った所が垣間見え、好青年だなぁなんて思いながら、時間もあまり無かったので早速採寸に取りかかりました。

今回のご注文は、通常のオーダーと少し異なり、とあるコンテスト用のスーツを仕立てる目的でした。
その詳細もまだ公開できないのですが、前日は髪を切りに行ったり、打ち合わせ等でとても大変なようです。

そのN君は、現在大学生ということもあり、オーダーの内容はタイトな雰囲気を希望されておりましたので、上着、スラックスと共にタイト目なサイズ感・ゆとり感にて採寸。

若い方特有?の無駄な贅肉がなく、細いながらも筋肉体質で、実はオーダー屋泣かせな体型のN君
身体の補正もゴシゴシと入れなければいけませんでした。

そこで、オーダースーツにとって最も重要なのが「補正」「サイジング」ということで、主に補正を中心にご紹介させて頂きたいと思います。

■ 補正のポイント ■

【肩】
今回オーダーしたN君撫で肩の体型でした。
もう少し専門的に説明すると通常の肩線というのは大体首の付け根(第七頸椎)から肩先にかけての傾斜が大きいか少ないかです。
基本的には、5センチ前後が標準とされるのですが、N君は8センチほど傾斜があり、撫で肩と判断。
数値上では難しいのですが、今回着ているN君のシャツをご覧下さい。
赤線で表示しているように肩が標準で設定されているシャツに対して、肩先が落ちている分シャツが下がって皺になっています。
スーツを着ても同様の皺が出ています。

撫で肩や、怒り肩の肩線の補正については、肩の傾斜を修正して補正しています。

この肩線について、
実はもう2つポイントがあります。
それは、肩の下がり肩が左右異なる場合があるということ、そして腕の長さが異なる可能性があるということです。
テニスやバレー、野球、卓球...など様々なスポーツがありますが、体験してきたスポーツや、日々の暮らしの中で左右の肩下がりや腕の長さが変わってくることも多々あります。

今回のN君は、「右肩下がり・右腕長い」体型でした。
画像を確認していただくと、右肩の付け根が下に、そして袖先については親指の高さが右の方が下にきているのが確認できます。
イージーオーダーでは、左右の肩下がり線を変えることはできないため、「肩パット」の厚さを調整することにより左右の肩線をできる限り合わせるようにし、袖の長さについては左右に差を付けて工場へ指示しています。

【姿勢】
姿勢とジャンル分けをしましたが、分かりやすく言うと姿勢が良い人を「反身」、少し前屈みの人を「屈身」と分けています。
今回オーダー頂いたN君は姿勢が良く、「反身」体型でした。
横に一本線(赤線)を入れているのですが、サンプルゲージのウエストラインは、その線よりもフロントが高く後ろが低くなっている事で見分けられます。

では、反身体の方に標準の上着を着せると前が上がり、後ろが下がるだけなのか?というと、実はその他の部分で色々と問題が出てくるのです。
反身体型故の起こり得る現象は次の通りです。

・ストライプのスーツが正面から見てストライプの線がYの字になる。
・ツキ皺がでやすい。(後ほどご紹介しています。)
・ベントが開きやすくなる。

先程の画像にタテの基本線(赤線)を加え、反身体型の方がどうなっているのか緑線として加えました。
上部(首の方)では、外側に(→の方向)押されるためツキ皺がでやすくなり、お尻部分ではフロント方向(←の方向)に押されてしまうため、詰まってベントが開きやすくなります。

正面から見ると必然的に肩周り(上部→部分)の距離が足りず、引っ張られる形で、ストライプなどの柄はYの字に見えてしまいます。

この補正では、上部(首周り)の→分をフロントで長くし、背中分を短くして緑の線を赤線に戻すような補正が反身補正です。

※この辺りは本当に難しいところで、鏡の前に立つと姿勢が良くなる方が多いんです。
リラックスした状態で採寸するのがベストだと思います。
(もちろん、身体測定ではないので、お腹をへっこませるのも気持ちはわかりますが、NGでお願いします...)


【ツキ皺】
そして、肩のラインにも共通する部分ですが、背中の首の付け根部分に出る皺
これがツキ皺です(紫字→)

ここは、複雑な部分で色々な複合補正になりますから、一概にはいえませんが、主な原因としては、前肩(肩が前に出ている)や、怒り肩(今回のN君の撫で肩とは逆の肩線が上がっている体型)、反身の方に出やすい皺です。

その他には、細めをご希望の方も出やすいです。

N君の場合、前肩が強い為(青字ライン)、上着が前肩に引っ張られて幅が足りなくなり、皺になってしまいます。(赤字ライン)
また、反身(緑字ライン)のため、上着の首の付け根部分が外に押し出されてツキ皺になっています。
その他の要因としては、シャツの下に着るTシャツ。
これはなかなか盲点ですが、シャツの下にTシャツを着ているとTシャツのリブ部分が首の後ろに跡となってスーツに浮き出てきます。

以上が、今回のオーダーの補正ポイントです。実際は上記以外の補正も入れないといけない部分も多々ありましたが今回は一部ご紹介させていただきました。

もちろんこういった「体型補正」は、オーダーされる方に応じて対応しています。
当社では、基本的に「採寸」を行えるようになるのが大体研修を終え早くて約半年後。

採寸士としてデビューするまではこのような寸法採りから体型補正まで勉強を重ねて行き身にしていってますから何か分からないことがありましたら、お気軽にスタッフへご相談下さい。

私のクセっ毛も補正で直れば良いのですが...