お客様、いらっしゃ〜い!!: クラシカルなスリーシーズン用スーツ
今年の梅雨は長いようですが、雨が降ったり降りそうだったり、着ていくモノも迷ってしまう時期ですね。
カラッとした日差しが待ち遠しいこの頃です。
さて、
そんな中、今回ご紹介させて頂くのは、、、
今年はジャケットパンツしか私自身作成していなかったのですが、生地を熱望して機屋(はたや:生地を織っている所)に作成してしもらった経緯もあり、自身の作成したスーツをご紹介させていただきます。
この場を借りてすみません...が、是非参考にしてみてください。
仕立てるに当たってのポイントは、
・年中着たい
・クラシカルな雰囲気
・汎用性の高さ
、、、です。 なかなかわがままなポイントです。(笑)
基本的に年間通して着用できる生地としては、「合い物(あいもの)」と呼ばれており、秋冬物の中でも薄目・軽めの目付(※1)240g前後のものです。
夏物は、平織り(ひらおり)というタテ糸ヨコ糸が定期的に織られている薄い物が多く、合い物は少ないのですが、今回ご紹介する生地は、モヘヤ混ではありつつも「合い物」として着用できる素材。
※1:目付とは、「生地1m当たりの重量」であり、生地の厚さ等を主に比べる“基準”みたいなものです。
そこで目を付けた商品、それが「○ーメル社のオリジナルト○ック」。
私の要望である「年間を通して着たい」、「クラシックな雰囲気」、「汎用性の高さ」を実現するため、一昨年、機屋である「葛利毛織」の社長に直訴し、「高岡さんおもしろい生地あるよ?」と昨年早速作ってくれました。
私の第一印象「
ただモノではない雰囲気」を漂わせ、なんども鈍い底光りのする光沢感を持ち合わせた素材に仕上がっておりました。
ほんとに鈍い!光沢感が最近の柔らかい光沢感とは、異なり本当にクラシック!
糸も太い番手を使用し、ウール59%+モヘヤ41%とモヘヤ高混率。
しかもその生地の目付は、、、415g。
レジェンドである赤峰先生も昔のMEN'S EXにて、
「モヘヤは、380g位の目付はほしいなぁ」と、430g程の目付のモヘヤ混スーツを秋冬でも大いに活用されているようです。
最近では、ト○ックでも糸番手が細くなり、モヘヤ率も下がり、柔らかさ・しなやかさが良いとされている時代。
しなやかさがある素材も良いですが、似たような商品が増えてくると、チョイとオリジナリティを出してみたいと思うのがおもしろいところですね。
オーセンティックな素材にここ数年取り憑かれている私は、どちらかというと「クラシック」な方にも目がいってしまいます。
...っと、デザインの紹介を行う前に、
モヘヤ、モヘヤと言っても、実際の所モヘヤってどういう特徴なの?という疑問が沸く方も多いと思いますので、改めてモヘヤについてご紹介させていただきます。
■ モヘヤの特徴 ■
美しい光沢感と、サラッとした感触が特徴で、アンゴラ山羊の毛。
「モヘヤ」・「モヘア」どっちが正しいの?とたまに問い合わせられることがあるのですが、原則「モヘヤ」だと間違いないです。
これは、家庭用品品質表示法で定められているため、モヘヤと書いておりますが、言い方としては、「MOHAIR」をモヘヤ、モヘアどちらで読んでも良いと私は思っています。
<特徴>
・スケール(毛の表面のウロコ)が小さいので、滑らかでありコットンより優れた「吸湿性(水分を気化する際に、涼しくなる効果)」があり、独特の「光沢」が特徴。
>>>独特の滑りというよりも、妖しい光沢感を漂わせます。
また、糸番手を太くすると、重厚感のある艶が出てきます。
吸湿性があることから、日本では夏メインですが、しっかり織られているモヘヤ混であれば、年中着られる素材として活用できます。
・クリンプ(毛の縮れ)が少ない為、弾力性に優れている。
>>>弾力があるため、皺になりにくい、ヒザなどがヌケづらいことから、ビシッとした印象にスーツとして仕上がります。
また、ハリ・コシがあり、伸縮性は少ないものの、ドレープ感が生まれ、洋服好きを魅了してしまうのもモヘヤファンが多い理由の一つです。
ハリ・コシがある為、摩擦の面で弱い所がありますので、連続での着用はウール以上にオススメできません。
アンゴラ山羊 なかなか、かわいいですね。
でも、一頭につき、2kgほどしかとれず希少性が高いことから、高級素材として扱われております。
さてさて、素材につきましてご紹介させていただきましたが、どのようなデザインで仕立てたのか、ご紹介させていただきます。
ポイントは、クラシック。
以上です。
素材の良さを味わうには、シンプルが一番!
それでは、ディティールをご紹介させていただきます。
<生地> 2015年春夏物サンプル帳 P.13 G3063(葛利毛織/グレー/ウール59%、モヘヤ41%/目付415g)
|
<ジャケット> |
フロント |
シングル3つ釦中掛け(3×1) |
ベント |
サイドベンツ |
脇ポケット |
両玉/フタ無し |
胸ポケット |
バルカポケット |
裏仕立て |
丸台場 |
釦 |
本水牛釦/焦げ茶×艶無し |
<スラックス> |
タック |
1タック |
脇ポケット |
ナナメ |
ピスポケット |
左ポケット無し+右は両玉ポケット |
備考 |
ベルトループ無し+脇尾錠 |
<ベスト> |
フロント |
シングル6釦 |
胸ポケット |
左付き |
尾錠 |
付き |
備考 |
衿付き、ベスト釦位置高め(Vゾーン狭く) |
こちらが、クラシックかつベーシックなデザインで仕立てたデザインです。
最近、ブリティッシュスタイルが多くなって参りました。。。
それでは、仕上がりは8月中旬になるかと思いますが、出来上がり次第「合い物」としてご紹介させていただきたいと思います!
「こだわりある合い物」をお求めの方は、是非一度手にとってご覧下さい♪