2015年10月16日更新

お客様、いらっしゃ〜い!!: ブラウンスーツの魅力

 先日、鮨屋の友人から“南ちゃん、来年のおせち、どうする?”と営業?押し売り?メールが来ました。
“ついこの間、買ったやん!”と言いかけましたが、気が付けばもう11月。
もうそんな時期なんですね、本当に時が経つのは早いですよね...
お正月のおせちをどうするか考える前に、毎年恒例12月の怒濤の忘年会ラッシュでの出費に今からアタマを痛めている大阪店ShopMaster_南浦です。(昨年は12月だけでお客様から計11回の忘年会にお誘い頂きました_苦笑)

 さて、今回ご紹介するのはビジネススーツシーンに於いて、名脇役的な色目、ブラウンカラーのスーツをご注文頂きましたSさんのオーダーをご紹介したいと思います。

このところのビジネススーツシーンではネイビー、グレーの二大巨頭がその年、シーズン毎に主役の座を争うような流れを繰り広げてまいりました。
それは現時点でも引き続いておりますが、やはりお洒落好き、スーツ好きの諸兄にはその2色だけでは物足らないことかと察します。
(2色と言えど、グレーはチャコール〜ミディアム〜ライト、ネイビーはダーク〜ブルーと、決して一括りには出来ない奥深さがあります)
そこでお薦め致しますのが、今回ご紹介するブラウンです。
かの石津謙介氏※は『大人のお洒落』という著書の中で、“茶系統は旅行着、スポーツ服、お遊び着としてだけ、オフィスでは通用しない”と書いております。

※石津謙介氏・・・・1960年代“アイビールック”を流行させ、現在のメンズファッションの礎を気付いたブランド“ヴァンヂャケット”の創業者。雑誌“MEN'S CLUB ”はこのアイビーを基に現在もトラディショナルなファッションスタイルを提唱しております。
 確かにポイントとしてのブラウン(ネクタイやベルト、シューズ)の使い方はもはやビジネスシーンに深く浸透しておりますが、メインのスーツ地としては上記の2色にブラックを追加した4番手の位置付であることは否めません。
また主役級の扱いを受けないということは、ブラウンの持つイメージがその他の3色よりカジュアルな印象を与えることが主な原因かと思われます。
ただ昨今、ビジネスカジュアル化が進む日本のビジネスシーン於いては、このブラウンがライバルとの差を付けるには正に打ってつけの色目であると言えます。
もちろん業界によっては、いまだにスーツの色目、要はドレスコードに制約があろうかと思いますが、許されるので有れば是非今シーズンチャレンジして頂きたいと思い、今回のご紹介に至った次第です。
(私、南浦も今年の春夏にブラウンの幅広ピンストライプでダブルの4×1スーツを仕立てました←私の中ではダブルはもう6×2から4×1にシフトしていると考えております、現にゼニアのコレクションも4×1が主流です)

それでは今回Sさんからオーダー頂きました内容とポイントについてのご紹介をさせて頂きたいと思います。

<生地> G7147 (Loro Piana ブラウンオルタネートストライプ)
【ジャケット】
基本デザイン シングル3B段返り
>>>元々、3B段返りはブルックスブラザースが起源と言われております。
いわゆるⅠ型と呼ばれるアメリカントラッドスタイルではシングル3B段返り、ドロップショルダー、フロントダーツ無し、フックベント、ミシンダブルステッチetcが標準仕様となります。
イタリアブランドでもこの3B段返りスタイルが見受けられるのは、アメリカのテーラーで働いていた職人が帰国した際に伝えたからであり、その証拠に英国スタイルではこの段返りを見かけることはございません。
今回Sさんがお選びになられた生地はロロピアーナのSuper130's。
軽い仕立てのスーツが主流である昨今、素材の特性を最大限に生かしたナポリスタイルを表現致します。
ラペル
デザイン
セミノッチドラペル
>>>ピークドラペルだとビジネスユースには使いづらいし、かと言ってノッチドラペルだといつもと変わり映えしないし...と言う方にはこのセミノッチドラペルがお薦めです。
最近のプレタブランドではゴージラインの低いセミノッチが見受けられるようになってきました。
胸ポケット バルカ+α
>>>+アルファは仕上がりまでのお楽しみということで...
ベント サイドベンツ
ウエストポケット ハッキング
袖仕様 本切羽4B重ね
裏地 LI-2502
【パンツ】
タック ノータック
裾仕様 ダブル カブラ巾3.5cm

>>>カブラ巾(折り返し)はパンツのシルエットとご身長によって変わります。
例えば、ご身長が190cmと170cmの方ですと、カブラ巾が同じ4cmでも見え方が全く異なりますので、前者の場合4.5cmか5cm程度で厚めにするとバランス良くまとまります。
またパンツのシルエットをテーパード(裾に掛けてシェイプされたシルエット)にする場合はカブラ巾は厚めに、逆にストレートの場合は少し細目に、これがお約束です。



以上が今回のブラウンスーツのオーダーポイントとなります。
生地だけで見るとなかなか手が出しづらいブラウンですが、仕上がりを見るとよりイメージし易いかと思います。
どうぞ仕上がりをお楽しみにお待ちください。