オーダースーツのヨシムラ >> お客様いらっしゃ~い >> 復活の兆し有り!
2017年7月31日更新
いやぁ~暑い!
夏ですから当たり前なんですが、甲子園もまだ始まっていないのにこの暑さだと、一体8月はどこまで暑くなるのか、考えただけでもぞっとしますね。
水分補給も大切ですが、併せて塩分摂取もお忘れなく。
さて今回、皆さんにご紹介するお客様いらっしゃ~いですが、お題目だけでは何のことやら?をお感じになられることかと思いますが、今シーズン、大阪店では何故かシアサッカー※の問い合わせが非常に多いんです。
※シアサッカー(Seersucker)とは・・・・
表面にシボと呼ばれる凹凸が特徴的な生地。凹凸感も持たせることにより、肌への接地面が少なくなるので通気性がよくなり、涼しく着ることが出来る。コットンを用いることが多いですが、最近ではシルクやウールベースの物も見受けられるようになりました。
元々、関東では人気のある生地でしたが、関西では“パジャマみたい”と揶揄されることが多く、毛嫌いとまでは言いませんが、長く敬遠されていた生地です。
またこのシアサッカー、長い時間在庫をしておりますとその特徴であるシボがつぶれてしまうので、あまり多く仕入れることが出来ない仕立て屋泣かせの生地でもあります。
ただデメリットな部分だけではなく、それを補って余りあるメリットが“軽く、涼しい”という点です。
私自身はシアサッカーのジャケットは持ち合わせたことはありませんが、昔に一度、シャツを購入したことがありまして、その時に感じた涼しさは今でも鮮明に記憶にあります。
ただ一歩間違えると単にだらしなくしか見えないので、品良く着こなすには高い意識が必要です。
で、今回ご注文頂いたのは、長く、しかも定期的に食事を御一緒させて頂く程親しくお付き合いさせて頂いているUさん。
奥様からもご注文を頂いているご夫婦揃ってのBigCustomer笑です。
Uさんは以前からシアサッカーJKの構想を持っておられたらしいのですが、生地は店頭に見当たらないし、当店では仕立てるのは無理だと思ってらっしゃったとのこと。
そんなことは露ともしらず、先日お越し頂いた際の会話で、
私 :“最近、何故かシアサッカーの引き合いの多いんですよね、長らく全く人気無かったのに不思議ですわ~” Uさん:“えっ!?でも南浦さんのお店でシアサッカーのJKを仕立てるのは無理でしょ?” 私 :(しれっと)“いいえ、全然大丈夫ですよ!、この間も絶対に欲しい!ってお客さんに凄まれて、生地探して仕立てましたし、 ゼニアでめっちゃ良いのがあるんですよ” Uさん:“そんなんもっと早く行ってくださいよ~” |
てな事がございまして、今回も特別に生地をご用意して晴れて念願のシアサッカーJKを承ることと相成りました。
それでは今回、Uさんより頂戴したシアサッカーJKの詳細をご案内してまいりたいと思います。
ビジネスユースのジャケットですと通常シングル2Bですが、Uさんは完全にプライベートユースですので、よりジャケットライクなデザインである3B段返りに。
シアサッカーに毛芯を使用した仕立ては矛盾しますので、当然芯無し一枚仕立てで。
いかにシボを潰さずに凹凸感を生かして仕立てるのかがポイントです。
これも夏用ジャケットに於いてマストの仕様ですね。
夏ビジネス用ジャケットの人気生地であるフレスコ(ポーラ地)やホップサックの場合、裏仕様は半裏の方がお勧めです。
それはアンコン仕立ては見返し部分が表地になることにより、前身頃の重量が増すので前下がりが長くなってしまいます。
反面、シアサッカーは上記の素材と比べると非常に軽量なので今回はアンコン仕立てをお勧めしました。
これはどういうことかと申しますと、袖口から数えて3番目までのボタンホールを開け、4番目のみネムリ(穴を開けない)にするスタイルのことです。
これはジャケットを親から子へ引き継ぐ風習から考えられた仕様です。
子が自分より成長し腕が長くなった際、袖先の長さを出した上で4番目のボタンを袖先に移動させ、そこのボタンホールを開けて対応するという意味があります。
このボタンも夏用ジャケットには定番ですね。
ただ一つ気を付けないといけないのが、通常ボタンを留める糸はボタンの色目に合わせますが、カジュアルジャケットの場合、それをすると若干の野暮ったさが出てしまいます。
プレタブランドのカジュアルJKを見ると、この部分にもしっかりと意識がされていて、アクセントとなるように糸色が必ずと言って良いほど変更されています。
今回ももちろんUさんに提案し、生地のベースカラーにあるアイボリーの糸で留めることとしました。
ざっと、今回のシアサッカーJKのポイントをご紹介致しました。
次回のお客様ありがとうの際にはUさんよりお顔を映して良いとの回答を頂戴しておりますので、私との2ショット笑で仕上がり具合をご紹介したいと思います。
どうぞお楽しみに!