服地の本場大阪谷町で生まれ、東京神田の生地屋街で育ち...はや

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お客様いらっしゃ~い

2018年9月10日更新

REAL British

先日大阪を始め、各地に甚大な被害を及ぼした台風21号ですが、皆さま、ご無事でいらっしゃいますでしょうか。
幸いにも私の自宅は数時間停電した程度で済みましたが、先輩宅(大阪市港区)はどこからか飛んできた木の棒がベランダのガラスを突き破った上に停電、復旧したと思えばアンテナが吹き飛ばされていてテレビ見れず,,,,
友人(高槻在住)は家のドアが吹き飛び、室内びしょびしょ
いつも行くワインショップの店員に至っては、昨晩の時点で98%停電が解消している地域の残り2%に入っているらしく、コンビニで氷を買って洗面器に入れ、それを団扇で仰いで涼を取るという、まるで昭和初期のような生活をしております。
完全に元の生活に戻るまで大変かと思いますが、どうか気を落とさずに頑張って頂きたいと思います。

さて今回は台風の翌日に引き上げたヴィンテージ生地の中から非常に貴重なブランドの生地が見つかり、たまたまグッドなタイミングでご来店&即オーダーに繋がったO様の〝REAL British″なスリーピースをご紹介したいと思います。

その生地ブランドとは、〝生地のロールスロイス″との形容詞が付く〝FINTEX of LONDON″(フィンテックスオブロンドン)
簡単にそのブランド経歴をご紹介致しますと、1881年ロンドンで創業のマーチャント
ブランド名の由来は、FINE=素晴らしい、TEXTURE=織物、とを組み合わせた造語です。
常に最高品質の原料を使用し、他のブランドより優れた生地であるということから名付けられました。
特に王侯貴族から愛された故に、〝生地のロールスロイス″と呼ばれるようになった説ともう一つ、1920年代にロールスロイスが実際にFINTEXを生地を内装に使用したことから、そう呼ばれるようになったとも言われております。
コレクション内容は至って保守的で、イタリアブランドのような華やかな色柄の物は一切無く、それこそ無地、ベーシックなストライプ、ヘリンボーン柄etc
見る分には面白みは無いかもしれませんが、逆に普遍的であるが故にFINTEXの地位が確立されているといって過言ではありません。
もちろん現在でもコレクションを展開しており、Super150's・Super180'sクラスの極細番手の糸を使用した〝FINEST OF THE FINE ENGLISH FINTEX″
Super130's+シルクを使用した〝EXCELLENT ENGLISH FINTEX″
がありますが、当店でご紹介するのは通常グレードの〝ENGLISH FINTEX″
なんだ、一番下のグレードか、なんて切り捨てるのは尚早です。
今回お譲り頂いた生地が織られた時期はほぼ昭和末期、その当時は今のような細番手の糸を紡ぐ技術も無く、当時ではSuper100'sが最高品質でした。
実際これ位の番手の方が打ち込みがしっかりしているので、仕立て上がりの縦のラインも綺麗に出ますから私個人的にはお薦めです。

それでは今回のご注文内容をご紹介してまいりたいと思います。

☆デザイン
☆ジャケットデザイン
基本デザイン

シングル2B+ロープドショルダー

衿型

ノッチドラペル 衿幅8.5cm

ベント

サイドベンツ

腰ポケット

フタ付 角度無

袖仕様

本切羽4Bキッシング

裏地

胴裏 LI2522(ダマスク柄 ワイン)

Oさんからのイメージ的リクエストは007のBONDスーツ
ただ完璧にcopyするのでは無く、エッセンスだけを入れてあくまでライクにとのこと。
BONDスーツを仕立てるにあたってキモとなるのは、ディテールよりサイジングですので、ここは採寸を担当した私の腕の見せ所です。
Oさんは当店のご利用が初めての上、オーダー経験値もかなり高いので、プレッシャーは半端無いですが、〝もうこの店のスーツでないとダメ″と言われるように気合を入れて臨みたいと思います。

☆パンツ
タック

IN1タック

サイドポケット

ナナメ

裾仕様

シングル モーニングカット

持ち出し

有り 小丸ヘッド(British)

ベルトループ

有り

サスペンダーボタン

有り

通常、BONDスーツの場合はノータックで、ベルトループ無、サイド尾錠付、というのが一つお約束的な仕様となっておりますが、今回のOさんはこの点についてはGoingMyway、ご自身の好みを優先させることとなりました。
もちろんアレンジ力の高さがオーダーの最大の魅力ですから、Oさんのブレない心意気は称賛に値しますね。

☆ベスト
基本デザイン

シングル6×5

尾錠

背裏地

LI2521(ダマスク柄 黒)

アルバートチェーンホール

有り

通常、ベストの背裏地はジャケットの胴裏と同一にした方がもちろん一体感は出ますが、ベストの背を表地と異なる系統の色目にすると、面積が大きくなる分、かなりインパクトのある仕上がりとなってしまいます。
職場によってはそれがNGな方も多いので、ジャケットの裏地は派手目にするが、ベストの背は表地と同系色で大人しい仕上がりにされる方も多いです。
正にOさんもそのクチでいらっしゃったのですが、一つひねりが欲しいとrecommendをお求めになられたので、私は異なった色を使用するが同じダマスク柄でのご提案を差し上げたところ、見事採用に至ったという次第です。
またOさんは懐中時計を普段お使いになられるので、それを繋ぎとめるアルバートチェーンを通すホールをリクエストされました。
ホール箇所は第3ボタンと第4ボタンの間、縦にお入れする事となりました。


以上、今回がこのような内容にて進めることとなりました。
次回、画像を交えながら仕上がり具合をご紹介したいと思います。
どうぞ楽しみにお待ちください。

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