2018年12月13日更新
2018年&平成30年もあと残すところ20日程となりました。 毎年聞いてますが、皆さん、良い1年でしたか? 私、南浦は4回目の年男(犬)、さぞかし良い事があると信じて意気揚々と迎えましたが、特段良いニュースも無く、いつもの平凡な1年と言う感じでした。 ただ幸せとは欲しい物だけを手に入れることではなく、今ある物で満足することなのよ、と昔年上の彼女に言われたことを何故かふいに思い出しました。 これからの人生は出来る限り煩悩を持たず、世の為、人の為に生きなさい、という神のお告げなんでしょうか。 次の年男を迎える時は還暦、もういつ死んでもおかしくないので、1日1日無駄にせず健康で実りある時間を過ごしたい、どうか過ごせますように。
さてつい先日、以前渋いスーツをオーダーしてくれた友人のS藤から突然のLINEが。 嫌な予感がしつつ、開いてみると,,,,,
S藤
第一声:もうやだ、コイツ(笑)4Wayって何? 思わずLINEを消去した上にブロックして無かったことにしてしまおうかとも思いましたが、人の為に生きると決意したばかりですので、憤懣やるかたない気持ちを抑え、大らかな心で受けることに致しました。
そうとなれば、まずは生地選びからですが、上の4Wayの中で2のゴルフ用ジャケットと4のパーティ用がカジュアル、1と3がビジネスですので、この間にある素材感と色柄の物を探さねばなりません。 1,2,3なら迷わずフランネルですが、そうなると4にはそぐわないし、4に主眼を置くとロロピアーナのFourSeasonsのような光沢のあるウーステッドが良いのですが、逆にそうなると2には合わなくなります。 これまではディプロマット(生地サンプル帳)にある中からのセレクトでしたが、今ヨシムラでは〝ヴィンテージ″という強い味方がありますので、そちらの中からS藤のわがままリクエストを満たす生地として選んだのがコチラ。
DORMEUIL(ドーメル)〝CHIC″(シック)のプリンスオブウェールズ※
※プリンスオブウェールズとは・・・・英国皇太子のウェールズ公(のちのエドワード7世)が好んで着用していたことがその名の由来 元来、グレンチェック柄にブルーのオーバーペーンを施したものが正統ですが、昨今では様々な色目を加えたものも総じてプリンスオブウェールズと呼ばれています。
素材は秋冬物の定番〝サキソニー″ フランネル(紡毛)の仲間となりますが、フランネルほど毛足が長くなく、程よい柔らかさとふくらみ、そして光沢が特徴です。 4の用途を満たすにはいささか弱い部分があるのは否めませんが、ジーンズと合わせて、ということはカジュアルな側面が強いパーティであろうとの判断からこの生地に収まった次第です。 ようやく1つヤマを越え、続いてのハードルはデザイン、これもまた悩ましい問題です。 まず1と4を満たす為にベストのデザインはダブルにして特別感を出して、3のパンツは裾ダブル、流行りの1タックテーパードシルエットにすることにより解決。 厄介なのは2です。 ここにウエイトを置くなら、シングル3B段返り&腰アウトポケット、マニカカミーチャ仕様にすることで十分ジャケットライクな仕上がりとなりますが、そうすると仕事出来る感が損なわれるので、基本デザインはベーシックなシングル2B&腰ハッキングポケット、肩パッドだけを抜いたマニカマッピーナ仕様+ボタンで、ボタンは水牛では無く、デザイン性のあるものに変えて幾分カジュアル感を出すように致しました。
それでは今回のデザインをまとめてご紹介致しますと
今のトレンドのジャケットデザインはシングルピークドラペルです。 ベーシックなノッチドラペルに比べ、フォーマル感が高くなるデザインなので、今回の2の目的にはいささかミスマッチ感がありますが、デザイン性が上がり、インパクトが出るので、1と4を満たすには最適なデザインと言えるでしょう。 また今回、ボタンは通常の本水牛ですとベーシック過ぎるので、2の目的に使用出来るようイタリア製ボタンを使用することとなりました。 この画像は以前大阪店でご注文頂いたNさんのトロフェオスーツの仕上がりです。
今以ってノータックパンツが主流であることは紛れもありませんが、イタリアのパンツ専業ブランドではもう1タックがそれに取って代ろうとしております。 ただシルエットはノータックが主流となる以前のものと比べると大きく変化しております。 通常タックは片方で3cm、左右で6cm、ノータックに比べて前巾にゆとりを付けます。 それに連動してヒップ及び太腿廻りも大きくなるので、全体的に太いシルエットにするのがこれまでの1タックパンツの考え方でした。 現在はヒップから太腿に掛けては実寸に合わせ(実寸を無視したタイトなサイジングはタックが開いてしまう為NGです!)、膝から裾に掛けてかなりのドロップ(差寸)を効かせたテーパードシルエットが特徴となります。
上記のNさんの画像のベストがスクエアカットです。 通常は左右が尖った剣先カットが主流ですが、スクエアカットにすることにより、フォーマル感が上がり、ウエストポイントも高くなるので脚長効果が得られます。 それに何といっても一番のメリットはオーダー感が出ることではないでしょうか。 既製品でスリーピースで、生地、色柄、デザイン、予算etc全ての点が自身のリクエストと合致するものを探すのは難しいでしょうし、かなりの時間を労力を使います。 それらを一気に解決するのがオーダーですから、最近オーダー人気が急激に高くなってきたのは当然かもしれませんね。
以上、このような内容でまとめてみました。 訳の分からないリクエストが無ければ、ほぼ私に全幅の信頼を置いているので、非常に楽なんですが(笑)、そのように仕向けたのは何を隠そうこの私なんで、責任取って今回も気に入ってもらえるよう頑張りたいと思います。