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Industrial revolution ~成人式スーツ~《PART 2》

2020年1月24日更新


2020年になり1月も残すところ早1週間となりました。
なんだかついこの間まで『明けましておめでとうございます。』と言っていたのに何だか本当にあっという間ですね。
いつも何かしらにときめいているつもりですが、まだまだキラキラした気持ちがどうやら足りないようですね。。。(汗)
年も明けて新年もスタートしましたし、新たにフレッシュな気持ちで今年も仕事もプライベートもときめいて(汗)頑張ります!!!

そんなちょっと足りてない?!私とは正反対なときめきに満ち溢れたフレッシュマンのHさんのお仕立てを2020年の『お客様いらっしゃ~い』の記念すべき一人目としてご紹介させて頂きたいと思います。

実は何を隠そう、今年のスタートは、《PART 2》とあるように去年の11月に当コーナーにてご紹介させて頂いた《Industrial revolution ~成人式スーツ~》の続編でございます。
(タイトルを見れば分かってしまいますね。。。。)

さて、《PART 2》にまでわたる今回のご注文ですが、《PART 1》がご来店いただくまでのHさんとのやり取りと今回のお仕立てのポイントをご紹介させて頂いておりましたので、ここでついにオーダー内容がベールを脱ぎます。

Industrial revolution ~成人式スーツ~《PART 1》

《PART 1》をご覧いただくとより今回の《PART 2》を楽しんで頂けるので是非ご覧いただきたいのですが、お仕立てのキーワードをここでご紹介しましょう。

【3つのキーワード】

☆クラシックなスーツ
☆ヴィクトリア朝の労働者階級の服
☆産業革命

さて、このキーワードをどのようにスーツに落とし込んでいくのか、それでは早速Hさんとのストーリーを再開していきましょう!

オーダーシートが届いてから数日、、いよいよHさんがご来店。
前にも書かせて頂いたことがあるのですが、ここまで顔の見えないメールでのやりとりになりますので実は一人で勝手にドキドキしていたりするんです。

手書きの手紙をお送り頂いたように、優しそうな人柄なのかな~と勝手に想像していたのですが、お会いすると想像通りの優しそうな好青年でホッと一安心。(汗)

さてさて、初めましての挨拶を済ませ早速ご来店までメールでのやりとりと、頂いた
オーダーシートを基に実際の仕様書にデザインを落としこんでいきます。

ではまずは、今回の生地とジャケットのデザインをご紹介☆

G1085(葛利毛織製、ダークグリーン地ストライプ柄)

【ジャケット】
基本デザイン シングル3つ釦×2
ベント サイドベンツ
袖口 本切羽4個ボタン
腰ポケット チェンジポケット付ハッキング
ネーム M.H (ドイツ文字)
裏仕立て 総裏

私: さて、それでは早速仕様の確認に入りたいと思うのですが、今回Hさんはどのようなデザインを創造されているのでしょうか?!
色々調べてみましたが、コレと言うのが実は無くて、、、何か資料等はお持ちですか?
Hさん: 実は今回の為に私も資料を集めましてこれなんですけど、、、

私: これは助かります!へぇ~なるほどね~大変参考になります。
Hさん: 今回の為に頑張って集めたんです。(笑顔)この写真の中で特に今回はこんな感じでジャケットを考えているのですが、、、


この写真の真ん中に立っているキャスケットを被った英国紳士のように3つボタンなんですけど、1番上だけボタンをして着流すようなスタイルを目指したいのですが可能ですか?!
また、メールでご相談した通り《全体的にゆったりとしたシルエット》で着丈は長くそしてエレガントにお願いしたいです!
私: おお~了解しました。。。
ボタンの位置は3つボタンですが相当高い位置に指定して上げれば雰囲気は出せるかなと思います。
シルエットやゆとり量は実際にお体をお測りしながら決めていきましょう。
Hさん: よろしくお願いします。

ジャケットデザイン

ボタン位置とバランス

Hさんの資料にあるような英国紳士の着こなしを表現するため、釦位置の調整がポイントになってきます。
先ずは第1ボタンを通常よりかなり上目につけ、第2、第3ボタンのバランスも調整をかけていきます。
写真にあるクリップとピンが今回のボタン位置です。
そして、《腰ポケットの位置》もバランスよく付けていかないといけませんので、腰ポケットの位置もピン打ちしながらどのあたりに付けるのか確認していきます。

また、ラペルは大きすぎるとバランスが悪いので今回は衿巾《7.5cm》と少し細めに。
そして衿型は通常のノッチドラペルでは少し面白くない(言い方が悪いですね。。。)ので遊びを付けて衿型は『クローバー』に変更。
これはお出来上がりをご紹介する時までのお楽しみで。

フロントラインをエレガントに

ボタンを一番上だけ留めて着る、そして《着丈は長く》とのことから、フロントカットはカッタウェイにしてフレアのラインを作りエレガントさを表現。
一番上のボタンをすると自然と裾がAラインのようにきれいに流れるようなフロントカットを目指していきます。

私: ジャケットのデザインはこんな感じでいかがでしょうか。
できるだけ、ボタン位置のバランスなど写真のような雰囲気に近づけてみましたが、、、
Hさん: イージーオーダーでここまでできるんですね!!!驚きです!
ボタンの位置なんかはこの位置で良いと思います。フロントカットも写真のイメージに近い感じがしますね。
どんな出来上がりになるのかワクワクしますね☆

それでは、続きましてスラックスのデザインをご紹介していこうかと思います。
先ずは今回のスラックスの仕様確認からご覧ください。

【パンツ】
裾口 シングル
タック アウトワンタック
サイドポケット ナナメ
ピスポケット 両玉片方クモフタ付

スラックス

股上を深くベルトレスで

今回のスラックスのポイントはメールでご相談を頂いたように、ゆとり間のあるエレガントなシルエットで、《股上はへそより上で深く》です。
仕様の説明にはありませんが、スラックスの股上を深くし綺麗に履くために、ベルトレス仕様にして、サスペンダーボタンを付けることに。
ベルトで調整では雰囲気が台無しになりかねませんもんね。

また、タックもワンタックではなく、タックの開きが綺麗なBOXタックに変更。
この辺りは仕上がり時にしかお伝えできない個所ですので仕上がるまでのお楽しみで。

エレガントなテーパード

全体的にゆったりと言ってもただ大きくでは野暮ったいシルエットになってしまいますから、渡り巾(モモ巾)は上着とのバランスでゆったりとさせて、膝から裾口にかけては絶妙な絞りをかけてゆとりはあるけれどもスッキリとしたテーパードのラインを 作っていきます。
写真で見ると少しわかりにくいかもしれませんが、右足の方が左足よりも細くキレイなラインになっていますね。
スラックスではないですが、先ほどご紹介していた上着の長さも写真をご覧いただければ分かるかなと思います。
お尻は完全に隠してというよりお尻の下まで長く、今のスーツスタイルには見られない長さとしています。

私: スラックスのゆとり感はいかがでしょうか。
股上は十分すぎるほど深いかなと。そしてテーパードのラインもあまりやり過ぎないくらいのゆとり感かと思います。
Hさん: スラックスに関してもゆったりさせたいなと思っていたのですが、あまりに太いとちょっとなと不安に思っていたんですけど、程よくスッキリで上着のバランスとも合ってる気がします。
ただ、もう少しスッキリと綺麗にしてもらいたいな~なんて。(笑)
私: かしこまりました。(笑)もうあと少し微調整をしましょうか!

さて、楽しくコミュニケーションを取りながら、そして慎重にディテールやサイズ感の 調整をかけて今回のスーツの全貌が出来上がってきて来ました。
そして今からご覧いただくお写真、これが完成前の段階ですのでよくご覧ください☆

ディテールを落とし込んだサンプルスーツ

いかがですか?!と言ってもチョット分かりにくいところもあるかと思いますが、
釦位置とそれぞれのバランス、カッタウェイフロント、着丈の長さ、スラックスのシルエット、そして出来上がる前の全体のバランスはお分かりいただけるかなと思います。
果たしてこれが完成した時にはどんな仕上がりになるのか、お出来上がりの紹介をするまでこの感じを覚えておいて頂ければと思います。

おっとここまでで今回のご紹介は終わりかなと思いきや、、、そうなんです。
ベストの存在を忘れてはならないですよね。ね?!Hさん☆

ベストのデザイン

【ベスト】
基本デザイン シングル6個ボタン
その他 襟付き、尾錠付き、左胸ポケット付、背共生地

あれ、意外とシンプルだし、え?!写真は無いの?!と思われた方、、、、
スミマセン。ベストは写真がないのです。なぜかと言いますと、
サンプル服がないからなんですね。。。それゆえに実はベストのサイジングはとっても難しいいのです。(汗)
ここもお出来上がりをご紹介させて頂く際にどんな出来になったのかご覧いただければと思っています。

ただ、このベストもポイントがありまして、今回のジャケットは3つボタンですが、
第1ボタンの位置がかなり高い位置にありますよね?!
ですから、そのボタンを締めた時に、ベストの第1ボタンが見えるような位置にしなければならないのです。
ここも慎重にメジャーでボタン位置の設定をさせて頂きました。

私: ボタン位置はこのくらいの位置でどうでしょう?!
Hさん: う~ん。。。正直あまりイメージが。。。(笑)お任せします!!!
私: ですよね。。。。(汗)分かりました!お任せ下さい。

と言うような感じで終始、Hさんの人柄の良さに甘え(汗&笑)にこやかな雰囲気で楽しく 今回のポイントを抑えつつIndustrial revolutionなスーツのオーダーを進めていきました。
沢山のこだわりと想いを詰め込みましたので、オーダーシートはご覧の通り文字でいっぱいです☆

ここで余談なのですが、実はHさんとは不思議な縁?!がありましたのでちょっとご紹介したいなと。
今回お選び頂いた生地『葛利毛織』の説明を差し上げた際、この葛利毛織は愛知県一宮市で織られていて、実は私(佐野)の出身が愛知県で実家もすぐ近くて、A市という所なんです。と自分の田舎自慢?!(笑) をHさんとお話をしていると、驚きの言葉が、、、

Hさん: A市知っていますよ。母の出身なんです。
私: え?!こんなことってあるんですね!ビックリ!!まさかとは思いますが、その辺に住んでいたという事は、小学校ってM小学校ですか?!
Hさん: はい。そうですよ!(笑) もちろん佐野さんと少し年は離れていますけどね。
私: まさかこんなところで、地元が一緒の人に合えるなんて。。。奇跡。
何だかなおさら気合が入りますよ☆最高なスーツ仕立てましょうね!!!

もう本当にビックリしました。(笑) 驚きですよね~。凄くないですか?!
そんな奇跡もありましたとお話をさせて頂いて今回の《PART 2》とさせて頂きます。

Hさんとのストーリーは果たして、《HAPPY END》を迎えることができるのでしょうか?!
次はいよいよお仕上がりのご紹介です☆皆さんどうぞ楽しみにお待ちください。

そして、ご協力頂きましたHさん、本当にありがとうございました。
この《PART 2》のご紹介は成人式も終えられておりますが、人生に一回しかない『成人式』が最高のものになったでしょうか。
このスーツで最高に楽しんで頂けたなら本当に心から嬉しい限りです。
あともう1本、最後にお仕上がりのご紹介となりますのでその際はよろしくお願いします。
この場を借りてお礼申し上げます。


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