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リラックススーツの提案

2020年2月7日更新


年明け直ぐの初売り、そして@セールが終了した今の時期からのしばらくはご注文も来店も落ち着くのですが、記録的な暖冬の今シーズンは春物のリクエストが本当に多い!
新柄の入荷はまだ少し先なので、今は冬物ヴィンテージクロスの巻板を抜いて、その巻板に春物ヴィンテージクロスを巻くという作業を一日中延々としている大阪店ShopMaster_南浦です。
一言で巻くといっても同じリズムで真っすぐに巻かないと端が筍みたくズレてくるので中々難しい,,,,
最初は上手くいかずに何度もやり直ししていたのですが、今ではほぼ一発で仕留められるように。
売れてくれ!と願いながら丹精込めて綺麗に巻いてますので、店頭にお越しの際はそんな私の念が入っていると感じながら触ってください
どうでもいい話でしたね、すいません笑

さて実は今回、皆さんにご紹介出来るような面白いオーダーが無く、直前まで全くの白紙,,,,
今から冬物の紹介をしても意味無いし、春物はまだ1着も売れてないしでとなると、困った時の駆け込み寺!ということで私自身の着用スーツをご紹介したいと思います。
余談ですがこの秋冬シーズン、このオーダーの世界に入って初めてスーツもシャツもオーダーしませんでした。
理由は単純、時計を買ったからです,,,,今頃になって財布の中が苦しくなってきました
買わんかったらよかった,,,,笑
話が逸れましたね、これまでのオーダーキャリアでスーツは50着、シャツは3桁、コートも数十着以上仕立ててきましたが、シャツはともかく、スーツとコートに限ればほとんどビジネスユースのものばかり
敢えて避けてきたのか、意識が向かなかったのかは自分自身定かでは無いのですが、カジュアルユースで楽に着れる(リラックス)スーツって持ってないよなと思い立ち、今回ご紹介する運びとなりました。
そもそもカジュアル(リラックス)スーツってなんぞや、と問われれば明確にお答え出来る自信はありませんが、まずはカジュアルな素材を使用し、インナーには衿付きシャツでは無くTシャツ及びカットソーを合わせ、足元に合わせるのはドレスシューズでは無くスニーカー(スタンスミス)、といったところかと考えております。
会社には着て行けはしないけど、休日に着ていても違和感のないスーツ、今回はこんなコンセプトで進めて行きたいと思います。

それでは順を追って私の考えるカジュアル(リラックス)スーツの仕様をご紹介

【生地】

Formica ピュアシルク ネイビーシャドゥストライプ(ヴィンテージ)

本当はコットン素材が一番なんですが、コットンスーツはこの世界に入る前に一度恥ずかしい思いをしたことがあるのでそれからトラウマに,,,,
何が有ったかは秘密です笑(直接会った時にお話します)
ウールではコンセプトと合わないし、リネンは去年作ったし、で生地の入替作業をしながら見つけたのがコチラ

このFormicaという生地ブランド、イタリア語で蟻という意味なので生地に付いているハンギングシールにも蟻さんマークが入っております。
となるとイタリア製なのかと思えば、ハンギングシールにはLONDONと刻印されておりますし、生地耳部分にMADE In ENGLANDと入った生地も存在するので、NETで調べてみたところ、全くHITしませんでした。
これは業界の先輩に聞くなりしてもう少し調べてみたいと思います。
で、見つけたこのシルク100%の生地、ヴィンテージなんで脂が抜けて、タッチはコットンの様で柄も落ち着いているし、今回はこれに決定しました。

【JKデザイン】

基本デザイン シングル3B段返り マニカカミーチャ仕様 胸ダーツ無
ラペルデザイン ノッチドラペル ゴージポイント-1cm
胸ポケット アウトフタ無
腰ポケット アウトフタ無
ベント センターフック
フロントステッチ
裏仕様 半裏 袖裏無

【PTデザイン】

前タック 1タック
ベルトループ
サイドポケット ストレート
ピスポケット 左右ボタン留 左側のみフタ付
裾仕様 ダブル 折り返し(カブラ)巾 3.5cm
前立て ボタンフライ

基本デザイン

それではデザインのポイントを順を追ってご説明いたしますと、まず基本デザインですが、こちらは単品でも着回し出来るようにジャケットライクなデザインの3B段返りで、リラックスしたシルエットが出るように肩廻りの副資材を排したマニカカミーチャ仕様
一番のポイントは胸ダーツ無、これを入れないとサックスーツのように胸からウエスト、ヒップに掛けてストンと落ちるシルエットになります。
今回はリラックススーツ=楽に着れる、がポイントですから、ビジネススーツの主流スタイルのようにウエストのドロップを効かせず、軽く羽織る、感じに仕上げます。

ラペルデザイン

続いてラペルデザインについて、こちらは奇をてらわずにベーシックなノッチドラペルで
全体的に丸く優しい印象を与えたいので、ラペル巾は私のバストサイズから割り出す標準値(8cm)より若干細く7.5cmで、且つゴージのポイントを1cm下げます。
通常のビジネススーツの場合はウエストのドロップを効かせ、且つゴージのポイントを上げ、ラペル巾を標準値より幅広くしてバスト廻りを強調するのですが、今回はそれらの全て逆を行くことによって優しい印象のスーツに纏まるのです。

胸及び腰のポケット

胸及び腰のポケットについては、
カジュアルデザインとなると
アウト(貼り付け)ポケットで決まりですね。

ベント

ベントについても通常のセンターベントやサイドベンツだとフォーマル感が出すぎてしまうので、カジュアルライクなデザインであるセンターフックベント
高級感のある仕立ての代名詞の一つでもあるフロントステッチも敢えて無し
裏仕様は最も軽量な仕立てである半裏で、袖裏はインナーにTシャツを合わせるので滑りを考慮する必要が無いのでこれまた不要

パンツのデザイン

パンツのデザインについて、まず前タックは程よく緩さを与える1タックで、ベルトループも無し
通常、ベルトループ無だとストイックなイメージを与えますが、それはノータックでタイトなサイジングを施した場合であり、今回はウエスト、ヒップ廻りには程よくゆとりを持たせるので、イメージとしてはイージーパンツに近くなります。
本当は紐付き(ドローコード)にしたかったのですが、それは工場の仕様には無かったので今回はパスということで
裾はもちろんダブルで、最近の主流で折り返し巾(カブラ)は少し細く3.5cm
カブラ巾は着用者の身長やシルエットによって変化します。
私の身長(177cm)ですと標準値は4cm、テーパードシルエットだともう少し太くして4.5cmがバランス良く仕上がりますが、今回はワイドシルエットにする予定ですので、逆に細くして3.5cmに、もちろん糸留です。
最後に前立てですが、本当はファスナーの方が便利であるのは分かっておりますが、行くならとことんカジュアルにボタンフライ

取り急ぎポイントだけをザッとご紹介致しましたが、今回はシルエット勝負ですので、事細かに文章で説明するよりかは百聞は一見に如かず、仕上りを楽しみにお待ち頂ければと思います。
取り敢えずはスタンスミスを買いに行かねば笑


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