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コダワリ満載の30's Style


暑い、以外の言葉が出てこないくらい毎日毎日暑いですね。
こう暑いとつい冷たい物ばかり摂ってしまって、体調を崩しがちですよね。
皆さんは暑い夏を乗り切る秘訣みたいなものはありますか?
私は極力肉や油ものは控え、酸っぱい物、茗荷、オクラ、冬瓜といったおばあちゃんの得意料理のような地味なものばかり食べてます笑
それとやはり涼しい室内に居ようとしてしまうので、なるべく身体を動かせて汗をかこう、ということで朝晩極力歩くようにしています。
お陰で顔が日焼けで真っ黒に、身体は生白いですけどね笑
でもそのせいか、不思議と今年はすこぶる快調です。
世の中は増々便利になっていきますが、こういう身体の事は昔の人の教えに学ぶところは多いように思います。
また怪しいモノが流行っておりますが、きちんと自己管理してこの夏を乗り越えたいものですね。

さて、夏真っ盛りの今、お客さまいらっしゃいでご紹介するのは普段であれば夏用アイテムなんですが、今回は生地こそ春夏物でも全く季節感の無い?コダワリ満載のTさんから頂いた30's Styleスリーピースをご紹介したいと思います。

今回ご紹介するMさんですが、まだお若いにも関わらず、非常にスーツ好きで、しかも30's、ご来店頂いた日も気温30℃超えなのに、ビシッとスリーピースできちんとタイドアップしてお見えになられました。

もうこれまで何度かご注文頂いているのですが、回を重ねる毎に要求レベルが上がるので、いつも戦々恐々(笑)とした中ご来店をお待ちしております。

ただ30's Styleはその昔、BOSSがまだ東京ShopMasterであった頃、ビシバシに鍛えられたお陰で今や得意中の得意分野なんですよ。

※30's Styleとは・・・・・・
今から遡ること90年以上昔、アメリカの富裕層を中心に時代を席巻したメンズウェアのファッションスタイルのこと。
そのデザイン的特徴は,,,,,極端に絞り込んだウエスト、かなり広めの衿巾、を組み合わせることによりバスト周りのボリュームを強調、ショルダーラインも肩先を盛り上げで構築的に、ジャケットの着丈は長め、ボトムの股上は深く、ブレイシーズ仕様、シルエットはオックスフォード・バグズを呼ばれる極端に太いシルエットが特徴。
全体的なシルエットとしてはジャケットは非常にタイト、その反面ボトムはひときわゆったりとしている。

この時代、生地を織る機械(織機)は現代のそれと比べるともちろんスピードも遅く、原毛も今の主流である細番手に紡ぐことも不可能であった為、非常に肉厚で、肌触りも硬い物しか存在しませんでした。
忠実に30's Styleを再現するにはこの時代の風合いに近い生地を使用する必要がありますので、本当はYOSHIMURAが誇る"ヴィンテージコレクション"をお薦めしたいところなんですが、あいにくご予算の関係で当社オリジナルの国産生地をお選びになられました。

ここからはMさんとのやりとりを会話調で今回のご注文内容をご紹介したいと思います。

【ジャケット】

1.基本デザイン・・・・シングル3B×2

Mさん: 基本的なデザインはこのサイトにあるこのデザインが希望なんですが,,,,,
私: 30's Style好きは必見のサイトですね。
ギャラリーを見るとシングル2Bも見受けられますが、この時代圧倒的にシングル3B×2が主流ですね。
無論お仕立ては可能ですのでご安心を。

2.ラペルデザイン・・・・ノッチドラペル ローゴージ +1.0cm高く

Mさん: ラペルのデザインは今風のハイゴージでは無く、画像のようなローゴージラインが希望なんですが出来ますか?
私: ハイゴージが主流になってきたのは,,,,どうでしょう、ここ15年から20年位ですかね
それまではこんなローゴージが主流でしたから
専用パターンがあるので今回はそちらを使用しましょう。
ただ画像ではゴージポイント(上衿と下衿のつなぎ目部分)は肩線の近くまで高めているので、通常より1cm高くすると近しい雰囲気に仕上がると思います。

3.衿巾・・・・・9.5cm

Mさん: 衿巾も広めにお願い出来ますか?
私: 幅広のラペルは30'sの特徴の1つですからね、これは外せませんよね
Mさんのヌードバストは93cm、これから割り出す標準の衿巾は7.5cmなんで、+2cmの9.5cm位が画像の雰囲気に近くなると思います。
因みに画像では下衿の端が真っすぐストレートになっているでしょう?
Mさん: はい、言われるとそうですね。
私: 通常の下衿は緩くカーブを付けるのですが、30'sではほとんでこの部分はストレートにカットしているので今回も同じように仕上げておきますね。

4.ショルダーデザイン・・・・コンケープド

Mさん: ラペルのデザインは今風のハイゴージでは無く、画像のようなローゴージラインが希望なんですが出来ますか?
私: ハイゴージが主流になってきたのは,,,,どうでしょう、ここ15年から20年位ですかね
それまではこんなローゴージが主流でしたから
専用パターンがあるので今回はそちらを使用しましょう。
ただ画像ではゴージポイント(上衿と下衿のつなぎ目部分)は肩線の近くまで高めているので、通常より1cm高くすると近しい雰囲気に仕上がると思います。

5.AMFステッチ・・・・不要

6.ベント・・・・ノーベント

Mさん: 当時の画像ではステッチもベントも入っていないようですので、両方とも無しでお願い出来ますか?
私: 確かに30's Styleのサイトを見ると殆どのスーツがノーステッチ、ノーベントですね。
単に流行であったのか、何か意図的なものがあったのかは不明ですが、お仕立て自体は問題ありませんのでご安心ください。

7.芯地・・・・本バス芯

Mさん: 当時の生地は現代の物よりかは肉厚で堅くて重いですよね?
何かを利用してそれに近い風合いにすることは出来ませんかね?
私: 有料オプションになりますが、本バス毛芯はいかがですか?
馬のヒップ部分の毛を使用した芯地を前身頃にプラスすることにより、衿のロール感が立体的になるんですよ。
Mさん: ではそれはお願いします。

8.腰ポケット・・・・両玉縁 1cm脇よりに付ける

Mさん: 30's Style内のスーツを見ると、腰ポケットが少し脇寄りについているんですが、これってお願い出来ますか?
私: う~ん、これはちょっと工場へ確認してみないと,,,,,
ちょっとお時間頂いて、明日の返答でいいですか?
Mさん: はい、分かりました。

※後日、工場へ可否を問い合わせたところ、型紙作成の必要があるとのことで、Mさんにその旨お伝えしたところ、今回こちらはパスすることになりました。

【ボトム】

1.帯仕様・・・・持ち出し付き(直角 長さ10cm)ベルトループ無し

Mさん: ベルトループは無しで、持ち出しを長めの10cmでお願いします。
それと持ち出しはホック留めに変更して、金具はこれを使用してもらえますか?
私: 前カン金具の持ち込みですか,,,,私この仕事20年やってますが、前カン金具を持ち込みされたのはMさんが初めてです笑
問題無く対応可能ですからご安心ください。

2.前タック・・・・イン2タック

3.サイドポケット・・・・ストレート

4.ピスポケット・・・・不要

Mさん: この3点は前回同様でお願いします。
私: 了解です。
この辺りも30's Styleに忠実に、とのことですね。

5.前立て・・・・ボタンフラ

Mさん: 前立て仕様はボタンフライでお願い出来ますか?
オプション料金が掛かっても結構です。
私: 承知致しました。
この点は当時の仕様がどうであったか、いささか不明ですが、当時のファッションについての文献を調べてみたところ、どうやら30年代の半ばからボタンフライからジップアップに移行したようです。
ジッパーよりボタンフライの方がクラシカルな雰囲気がするので良いですよね。

6.Vカット・・・・深さ3cm

Mさん: 本当はハイバック仕様でVカットをかなり深めに入れたいのですが,,,,可能でしょうか?
私: 申し訳ありません、ハイバック仕様はイージーオーダーではちょっと難しいです。
Vカットは標準は1.5cmの深さなんですが、帯幅が3.5cmですので際までの3cmでしたら対応可能です。
Mさん: ではそれでお願いします。

以上、こんなやりとりで今回のオーダーが確定致しました。

因みに今回のご注文内容を反映させた仕様書がコチラです。
漏れがあってはいけませんからね、通常の3倍位の時間を掛けて作成しました笑

30's Style内の画像をご紹介出来れば良いのですが、勝手に拝借することは出来ませんから、まずは出来上がりを楽しみにお待ち頂き、次回のお客さまありがとうでは完成画像を交えながらMさんコダワリのポイントをご紹介したいと思います。

それでは次回お会いしましょう。


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