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男の憧れ『ボンドスーツ』


9月も中旬を過ぎ、秋の訪れを感じさせる心地良い風に吹かれ、日々幸せを感じながら過ごしている今日この頃。
皆さんこんにちは。YOSHIMURA&SONS東京店の河本です。

なんといっても今年の夏は本当に暑かったですから、過ごしやすくなってきた今の気温というのは、本当に幸せを感じます
これからもっと涼しくなり、楽しみがまたいろいろ増える『秋の季節』がもう目の前まで来ている、と考えただけでもワクワクが止まりません。(きっと私だけじゃないはず!)

本格的な秋の幕開けまであともう少しですが、今の時期はどうしても風邪をひきやすいですので、体調管理をしっかり行い(毎回のように言ってますね。。。)、皆さんで気持ちよく秋を迎え入れることができるようにしましょう!

さて、気温もだんだん下がってきたところですし、そろそろ服装も秋冬仕様へとシフトチェンジしていきたいところですが、皆さんは順調に《衣替え》進んでいるでしょうか。

今季は、引き続きビジネスシーンでのカジュアル化は進んでおりますが、一方でリモートワークから通常出勤に戻られる方も多くなり、スーツの需要がまた高くなってきていることから、以前からトレンドになっていた『クラシックスタイル』がさらに注目を集めています。
我々YOSHIMURA&SONSも、今季は《クラシックスタイル&ベーシック》をテーマに掲げ、年代・性別問わず幅広い方々にお楽しみ頂ける比較的シンプルな生地を多く取り揃えておりますので、今年の秋冬シーズンは原点回帰としてこのクラシックなスーツスタイルを存分楽しんでみませんか!?

ということで、少しでも『クラシックスタイル』にご興味のある方、これから挑戦したいとお考えの方に是非参考にして頂きたいオーダーをこの度頂きましたので、ご紹介させて頂こうと思います!

今回ご紹介させて頂くお客様は、YOSHIMURA&SONSにて初めてご注文頂きましたご新規のH様です。 H様より今回頂いたご注文というのは、『The Classic Style!!!』であり、男の永遠の憧れ⁉でもあるあの『〇〇〇スーツ』
皆さんもうお分かりですよね???

英国紳士を目指す上で是非参考にして頂きたい内容となっておりますので、最後まで楽しみながら読んで頂けますと幸いです。何卒宜しくお願いいたします。

それではご覧ください!どうぞ!!!

お名前 = H様
メールアドレス = *********
〒 = ********
ご住所 = *********
TEL = ***********
連絡事項 =
起毛感のないネイビーの無地の秋冬生地でピアース・ブロスナンが演じた007風スーツを仕立てたいと思ってます(ウール100%の生地で予算は7万から10万程度)。
よろしくお願いします。

このようなメールを事前に頂き、ご来店されたH様。

「007風スーツ」
そう、今回のテーマは『ボンドスーツ』です!

1962年公開の『ドクター・ノオ』から2021年公開の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで50年以上という長きに渡って、世界中の男性を夢中にさせる007シリーズの主人公 ジェームズ・ボンド

歴代のボンドによる英国紳士スタイルをベースにした様々な着こなしは、どれも男が憧れる力強さとスマートを持ち合わせたファッションセンスに溢れるスーツスタイルですよね。

そんなシリーズごとに変わる様々な着こなしで我々を魅了するボンドスタイルですが、今回H様が希望されているのは、ピアース・ブロスナンが演じた第5代目ジェームズ・ボンドのスーツスタイル
このピアース・ブロスナン演じる第5代目ジェームズ・ボンドの第1作目『007/ゴールデンアイ』と言えば、これまで低迷していた007シリーズを見事にV字復活させた伝説のシリーズとも言われています。では、この第5代目ジェームズ・ボンドは一体どのようなスーツを誂えていたのでしょうか。

ボンドスーツの歴史を振り返りながら簡単にご紹介させて頂きます。

ボンドスーツ

ボンドスーツの原型ともいえるのが『コンジット・カット』という形をベースにしたスーツシルエット。これは、ショーン・コネリーが演じた初代ボンドの第1作目『007/ドクター・ノオ』でボンドスーツを仕立てイギリスのサヴィル・ロウにあるビスポークテーラ〈アンソニー・シンクレア〉のトリビュート・スタイルです。
肩のラインを強調せず、丸みのあるナチュラル・ショルダーに2つボタン、狭いラペル、控えめのウエストのシェイプ、短めの丈、スリムなトラウザーズが特徴。
この〈アンソニー・シンクレア〉 で仕立てられた 英国紳士スタイルを基本としたシルエット『コンジット・カット』のスーツをベースに2代目以降、少しづつシルエットに変化をもたらしていきますが、ピアース・ブロスナン演じる第5代目ジェームズ・ボンドよりボンドスーツは 大きく進化することとなります。

これまではイギリスのビスポークテーラーにて誂えたスーツを着用しておりましたが、この第5代目ジェームズ・ボンドから着用していたのは、イタリアの老舗ブランド『ブリオーニ』 のスーツ。
ボンドは生粋の英国紳士ですので、イタリアブランドから提供されるスーツはこれまでのボンド像が覆るのでは、、、と言われていました。ただ、ブリオーニは正統派のエレガントさを表現するローマスタイルと呼ばれるブリティッシュスタイルに似たスーツスタイルを取り入れておりますので、決して英国紳士らしさ損なうことはありませんでした。
むしろ、 3つボタン(中掛け)にビルドアップショルダー、やや絞りを入れた美しいウエストラインといった 英国スーツらしい構築的で洗礼されたシルエットに、イタリアらしい 上品で高級感のある光沢感 と、これまでのボンドよりもセクシーさとスタイリッシュさがプラスされた新たなボンド像が作られることとなりました。

その後、ダニエルクレイグ演じる第6代目ジェームズ・ボンドのスーツでは、『トムフォード』が衣装を提供し、その体に沿った美しいスタイリッシュなシルエットとセクシーはさらに傾向を強め、また新しいボンド像を築き上げています。

さて、H様が今回ご希望の第5代目ジェームズ・ボンドのボンドスーツについては、このような内容ですが簡単にまとめますと、

  • 3つボタン(中掛け)
  • ビルドアップショルダー
  • やや絞りを入れたウエストライン
  • 英国スーツらしいデザイン
  • 光沢感のある生地

つまり、今回のボンドスーツを再現するためには、
『英国紳士スタイルを美しい光沢感のある生地で仕立てる』
これが非常に重要なポイントとなってきます。

ここで1番の鍵となるのは、やはりどの生地で仕立てるかということ。

理想は、ゼニアやロロピアーナのような光沢感の強い生地で仕立てたいところではあるのですが、どうしても生地自体が繊細であり、柔らかいため英国スーツらしい構築的なシルエットはつくることが出来ません。(ここまで柔らかい生地ですと、たとえ本バス毛芯を入れたとしても構築的なシルエットにするのは難しいです。)
ですので、光沢がありながらもしっかりハリコシがあるちょうど良い生地というのが絶対条件となってきます。

上記のことをしっかり考えた上で、H様にスムーズにご提案が出来るよう、ある程度私がオススメする生地ベスト3くらいまで用意しておきました。

そして、いざご来店されたH様。
今回のボンドスーツについて少しお話しをし、早速H様はサンプル帳を見ながら生地決めへ。私もオススメする生地を用意していましたので、ご提案しようと現物を取りに席を外そうとした時、H様が、、、

H様:これいいですね!よし、これでいきましょう!

私がご提案する前に、生地が決まってしまいました(笑)
なんという決断の早さ、、、と少し驚きながらもH様が決められた生地を見てみると、なんとそれは私がご提案しようとしていたオススメNo.1の生地だったんです!

そんな、まるで心が通じ合っていた⁉︎かのような奇跡&H様の驚くような決断の早さで決まった今回の生地がこちら!

P22-5001 葛利毛織 DOMINX(ドミンクス) ネイビー無地

1912年創業の言わずと知れた老舗国産生地メーカー『葛利毛織』
創業当初からの伝統織機である《ションヘル織機》を使用し作り出される生地は、原毛本来の艶や柔らかさが保たれており、その綺麗でふっくらした生地感は世界も認めるほどの極上の逸品です。また柔らかい生地感の中にもしっかりとしたハリコシもあり、耐久性の高さは抜群ですので、ビジネスシーンにはもちろん、プライベートでの単品使いとしてもお使いされるといったハードなご使用も対応可能となっております。

そんな葛利毛織のシリーズの中でも、今回お選びなられたDOMINX(ドミンクス)シリーズは、まるでインポート生地かのような綺麗な光沢感が特徴です。また耐久性にももちろん優れており、ハリコシもしっかりあるため、立体的にスーツが仕上がった際には光沢感が増し、より綺麗に映ります

ですので、イタリア生地のような上品な光沢感英国スーツらしい構築的なシルエットを出すために必要なハリコシが備わっているこの葛利毛織DOMINXこそが、今回のボンドスーツを完成させるための一番ベストな生地なんです!

さて、今回のお仕立ての鍵となる《生地》が決まりましたが、もちろん生地だけ拘っていてもいけません。
ブリティッシュスタイルをベースとしたデザイン&シルエットで仕立てることに拘ってこそ、ようやくボンドスーツが完成します。

比較的シンプルではありますが、しっかり英国スーツらしいデザイン・シルエットで仕立てておりますので、最後にそちらをご紹介させて頂きますね☆

デザイン&シルエット

【ジャケット】

基本デザイン シングル3つボタン中掛け
衿型 ノッチドラペル
ベント サイドベンツ
腰ポケット フタ付き平行
袖口 4つキッシング
裏仕立て 総裏丸台場
ボタン BFC60-09 プラスチック黒
裏地 AK1700-490 キュプラカルゼ グレー
シルエット やや絞りを入れたウエストライン
ビルドアップショルダー
構築的な胸周り(本バス毛芯使用

【スラックス】

ベルトループ 有り バックルチーループ付き
持ち出し カド三角
タック 1本 インタック
サイドポケット ナナメ
ピスポケット 両玉右ボタン無し左ボタン留め
裾口形状 シングル ダブル4.5cm  各1本ずつ
シルエット 程よいゆとり感は有りながらもスッキリ見える弱テーパード

以上の内容で決定いたしました!

果たして、ピアース・ブロスナンが演じた第5代目ジェームズ・ボンドの『ボンドスーツ』を上手く再現することは出来たのでしょうか!?

次回は、完成したスーツを実際に着用されたH様と共にご紹介させて頂きますので、是非皆さん次回の「お客様ありがとう」まで楽しみにお待ちくださいね!


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