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ダンスホールで輝く1着を。


最近めっきり涼しくなったなぁ~と思ったら10月も中盤過ぎ。。。
2022年も残りあと2ヶ月ちょっと。金木犀の香りにあてられて、秋深くなったなぁ~とほのぼのとしていたら、一気に冬どころか気付いたら年末になっていたりして(汗)。
毎日ぼ~っと生きている(どこかの小さい女の子に怒られそうです。)わけではないのですが、なんでか2022年はやたらと時が過ぎるのが早い気もしますね。
時間は有限と言いますから、残された時間を本当に色々な意味で大切にしなければいけませんね。
おっと、、、なんだか変な話になってきてしまっているので、話題を変えましょうか。

冒頭のご挨拶の通り10月も中旬に入り秋も深くなりましたのでさすがに皆さんも衣替え済んでいる頃でしょうか???
秋は《ファッションの秋》という事で、(もうこのことは耳にタコができるというよりも、もう皆さんが予想できることかと思いますが、、、)
皆さん秋になりましたし『ファッションを目いっぱい楽しんでらっしゃいますか?!』

さて、そんなファッション好きな皆さんに、ちょっと違った角度?と言いましょうか、通常のオーダーとはまた一味も二味も違うオーダーを楽しんでいただこうと、今回のお客様いらっしゃ~いは普段あまり見られないオーダー内容でお届けしていこうかなと。

YOSHIMURA&SONSでは、一般的なオーソドックスなスーツや、ちょっとこだわったスーツ等色々なオーダーをいただくのですが、たまに浮世離れした特殊なオーダーをいただく機会があったりします。

今回はそんなちょっと特殊なオーダーをご紹介しますので、是非楽しみにご覧いただけたらと思います。

そんな特殊なオーダーとは、、、なんなのか、、、それは、、、《ステージ衣装です》☆

今回ステージ衣装のオーダーをいただいた経緯を軽く説明しますと、、、いや、ここで説明するよりもこのページをご覧いただいたほうがより伝わるかなと思いますので是非ご覧いただきたいので、細かいところは是非各ページでご覧下さい。

☆お客様いらっしゃ~い:It`s 30'S Style!!!

☆お客様ありがとう:みんなハッピーに!30'sスーツお披露目!

ご依頼いただいた時は、実は私がSHOPMASTERとして着任して初めての自分的には大きな仕事でして、とても記憶に残るというか感慨深いというか、とにかく気合が入っていて成功したか失敗したかは別として自分を成長させてくれたそんなオーダーでした。
その縁が続いていて5年経った今でもご依頼をいただけることにこの仕事のやりがいを感じます。

さて、あれやこれやと書いていると、今回は非常に長文になりますので思い出話はここまで。早速本題に入っていきましょう。
初めに断っておきますが、今回はほとんどが文章になりますので、読むのが大変かもしれませんが、楽しい内容になりますので是非お付き合いくださいませ。

今回の依頼は1通のメールからでした。

佐野様 

いつもお世話になっております。
ウキヨホテルプロジェクトKです。
去年はどうしても都合がつかず、ご連絡せずで申し訳ございませんでした。

10月27~30日、1930~1940年代をテーマにした演劇公演を行う予定なのですが、
クリフサイドというダンスホールで行います。
今年こそ衣裳のスーツをつくりたいと考えております。おそらく3着お願いすることになるかと思います。
衣裳あわせなどありますので、可能であれば10月はいったら手元に欲しいのですが、可能でしょうか?可能な場合、いつごろお打ち合わせや採寸に伺えばよろしいでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご返信よろしくお願いいたします。

K

SHOPMASTERより一言、、、

実に何年振りでしょうか。実は何度かご連絡を頂いてコンタクトは取っていたのですが、コロナもありでなかなかお話することも難しく。
またミュージカル等はご時世的に大きく開催することも難しかったでしょうから、このメールをいただいた時は、正直に嬉しくて。

ただ、メール本文をご覧いただいて分かるかと思いますが、1930~1940年代をテーマという事と、《クリフサイド》というダンスホールでというのとストーリーがありますから、通常のオーダーにはない背景をどうスーツに落とし込んで表現するかが非常に難しいんです。

まずは、イメージ作りからかと思いメールに返信を、、

K様

ご利用ありがとうございます。
YOSHIMURA&SONS(佐野)です。
昨日はご連絡を頂きましてありがとうございました。

さて、
今回は、1930~1940年代をテーマにした演劇の衣装を3名分ご検討とのことですね。
ありがとうございます。

10月までにお手元にというのであれば、もちろん早ければ早いほどいいのですが、
遅くとも余裕をもって8月の下旬までにはご来店頂き、生地デザイン決め、役者さんの採寸をさせて頂ければと思います。

課題は生地とデザインかと今回も考えているのですが、今回はどういったイメージで衣装を考えていらっしゃるのか先ずはお考えをお聞かせ頂ければと思います。
(季節感、生地の雰囲気等、、、色々あるかと思います。)

お忙しいとは思いますが、何よりも先ず生地かと思いますのでイメージ等を教えて下さい。

どうぞよろしくお願いします。

ちなみに、K様さんから頂いたメールの中に『クリフサイド』というキーワードがありましたので実際に調べてみると、、、なんと今でも実在しているダンスホールという事が分かりまして、WEBサイトを見てみたところ、、、『ワオ!!!』と思わず声が出てしまうほど、レトロでどことなくノスタルジックで、ここで着る衣装となると、、、と嬉しい悩み?がたくさん出てきて身震いしました。

良ければ皆さんも一度どんなところかご覧ください。

クリフサイド

色々と悶々としているとK様さんから返信が、、、、

佐野様

ご連絡ありがとうございます。お世話になります。
イメージ、お伝えしますね。

1着はダンスホールクリフサイド(1947年にできた実在のダンスホール)の支配人のための衣裳です。
クラシックでかっこいい雰囲気でありつつ、誰とも被らない、クセのある雰囲気がほしいです。
支配人という立場ではあるので実際は黒子的に地味で渋いものを着ていた可能性はありますが、実在した人物はシルク産業で儲けて、ある種の道楽としてダンスホールをつくったような道楽に生きた人なので、舞台映え、写真映えを大事にしたいです。
佐野さんのセンスを信じているので、是非打ち合わせのときにご相談させていただければと思います。

ほか2着は、横浜のホテルニューグランドという実在のホテルの従業員ふたりの衣裳です。株式会社ホテルニューグランドには許可をいただいてます。
ひとりは64歳、もうひとりは30代なかばで、先輩後輩の関係にあり、現在はマッカーサーズ・スイートとという名称になっているダグラス・マッカーサー元帥のために働いているという設定です。
黒のショールカラーで黒の蝶タイでシックな感じが、まぁ、セオリーではあるんですが、ややそれだけだとつまらないなぁと思っているところです。 黒って舞台でどうしても沈んじゃうんですよね・・・。
なにかどこかでホテルマンっぽさをだしつつ、よその舞台とは違うかんじがだせるといいのですが・・・。

両方とも季節感はそこまで必要なさそうです。
舞台をみてなかったお客様が舞台写真をみたとき、ああ、みればよかったと後悔させたい笑

K

SHOPMASTERより一言、、、

返信を読んで、『まあそうですよね。』と思わず納得したというか、クセのある雰囲気で普通じゃないのは予想していました。
舞台で大切なのは、やはりどう見えるか、舞台映えするかですから、普通のスーツ生地じゃなんか物足りないし、それぞれのキャラクターに合わる必要もあるし、役者さんの雰囲気に合うかも考えなきゃで、、、そして、また新しい《マッカーサーズスイート》というキーワードも、、、。※これも今でも実在しますのでご覧いただくのも楽しいです。是非検索を。

センスを信じています。と嬉しいお言葉をいただいたのいですが、嬉しい反面プレッシャーが。。。ある程度想像も固まってきたところで一度下記のメールでご提案しました。

K様

ご利用ありがとうございます。YOSHIMURA&SONS(佐野)です。
お忙し中今回の衣装のイメージをご連絡いただきありがとうございます。

クリフサイドについて調べましたが、なかなか雰囲気のあるレトロな空間で歴史を感じますね。
ここの支配人で舞台映えや写真映えを考えると、派手目の色、(人が着ないような色。例えば、マスタード、テラコッタ)華やかな生地感(ラメが入った生地、極太ストライプetc)等なんとなく生地のイメージが浮かびました。
スーツのスタイルとしては、フレッド・アステアのようなイメージが格好いいのかなと今考えているところです。生地選びは役者さんの顔映りや雰囲気も大切かと思うので、どんな役者さんかも事前に教えて頂けると嬉しいです。

ホテル従業員の衣装はエグゼクティブな人に仕えていることを考えると、ホテルマンでありながら華やかな雰囲気が必要なのかなと。
重厚感もあり、エレガンスもある《ダブルのタキシード》なんていかがでしょうか。
色は光沢感のあるグリーンや、どことなくミリタリーテイストなコヨーテ(ベージュ色)でマッカーサー風なタキシードなんか面白いのかなと。 どちらも制服っぽい色味でもあるかなと思うので、ホテルマンのイメージを崩し過ぎず面白いスーツになるのではないかと思います。

ダンスホール支配人とホテル従業員がどのように関わっていくのかも、衣装のバランス(色味や生地感等)を考えるうえで知りたいので何か決まっていれば教えて頂けると助かります。
私のセンスで通用するかどうか、プレッシャー掛かりますが(汗)最高にカッコイイ衣装になるように頑張らせていただきます。

ダンスホールの支配人、時代背景や人物像から、《フレッド・アステア》をイメージソースにするのはどうかなと。ダンスというキーワードと、やはりその衣装がまたグラマラスというかセクシーというか、現代にはない浮世離れした感じがまた今回のテーマにも合うのかなと。

ホテルマンについては、時代背景から色々探してみたのですが、コレ!!!というのがなくかなり苦戦。ホテルマンの制服って何色かな~と、あとマッカーサーといったらミリタリーな感じがするなという事から色を選択。さらにエレガンスも必要かなと思い、普段めったにオーダーを頂かない、『ダブルのタキシード』(実は一回もオーだーをもらったことがなかったりして。。。)をご提案でジャブを打ってみましたところ、、、

佐野様

素敵なご提案をありがとうございます!
佐野さんのセンスすきなので、楽しんでことにあたっていただけると嬉しいです。

もう一点生地についてですが、すでに把握していらっしゃるかもしれませんが、舞台衣裳なのであまり繊細なものは適さないかと思います。
ただものすごくロングラン公演というわけでもないので(ロングランしたいですけどね!)、見栄え重視でいいかと思います。

役者は来週にはお伝え出来るのですが、その時でも問題ありませんか?
そのあたりで予算感などもおいおいご相談できたら幸いです。

すみません、一点記載漏れしましたが、いただいたご提案について、細かなご返信も来週~8月第一週あたりでお戻しさせていただくスケジュール感になるかと思います。
でも、さすがだなあと思いました。

またなるはやでご連絡いたします。今しばらくお待ちくださいませ。

K

SHOPMASTERより一言、、、

ふう。何とか少しは喜んで、というか納得してくれたかなと。
なかなか難しい案件ですけど、やっぱこう色々と、あ~でもない、こ~でもないと洋服について悩んでいる時間って幸せですよね。(私だけ。。。)
プレッシャーはかかりますが楽しいが勝ってしまいますね。

舞台衣装の難しいところ、それは選択する生地だったりもします。普通の使い方じゃないですからね。
その辺も加味しながらの生地は選んだのでよしとして、あとは実際は役者さんに会って生地合わせを含めて色々と決定していく流れかなと思いきや、K様さんからこんなメールが、、、

佐野様 

お世話になっております。
地方公演で採寸に伺えないキャストの場合、下記のようなサイズ表を共有させていただければ、採寸に関しては問題ないでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、ご返信よろしくお願いいたします。

K

SHOPMASTERより一言、、、

役者さんだとなかなか時間が取れなかったりで、本人が来れずで役者さんの事務所?から頂いたサイズから想像というケースになることもあります。
来られないなら仕方ないか、、、と思いつつ色々と数字を見ていくと、『これはちょっと、、、』という数値もあったりで。
そしてなによりもイメージがお互いなんとなく固まっていないような。。。このままでは絶対にイイモノができないのは100%以上かと思いご返信を。。。

K様

ご利用ありがとうございます。
YOSHIMURA&SONS(佐野)です。
お忙しい中ご連絡を頂きましてありがとうございます。

さて、今回のステージ衣装の採寸について、お送りいただいたサイズ表を基にお仕立てができるか、とのご質問ですが、正直申し上げますと、オススメできません。

と言いますのも、細かくサイズを頂いてはいるのですが、衣装のコンセプトがどんな感じでお考えなのかまだ分からない点もありますが、例えば、前回のような30sスタイルのように、かなりハイウエストでパンツ穿くのであれば、股上の位置が変わりますし、連動してパンツウエストの大きさも穿く位置によって変わってきてしまいます。
(実際頂いたデータを見ると、普段股上17cmとありますが、これはメンズスーツで考えると低すぎます。頂いたデータを基に考えても21cmとありますが、この数字でもかなりローライズです。)
上着に関しても同じで、どう見せたいかによってサイジングは変わるかと考えます。

また、舞台写真を撮影する際や舞台映えする衣装を作るには、全体的なバランスとシルエットも当然大切かと思います。

以上を踏まえると、実際採寸をさせて頂くことがベストかと考えます。

もしくは、もし普段ご着用になっているスーツや、コンセプト近いスーツ等があればお借りする事は出来ませんでしょうか。

お忙しい中お手数ですがご確認よろしくお願い致します。

やはり大切な衣装ですし、何よりも舞台映え、写真映え等を考えると、サイジングは絶対に大切ですし、また、生地もその人に合うかどうか、、、真剣に見ていかなければならない。
とのことで、結果としては店舗に今回の役者さんに来てもらうことになりました。

そして8月某日いよいよ俳優さんがご来店、、、というところになるんですが、長文になっしまいましたし、お楽しみは取っておいたほうがまた、次回の楽しみが倍になるかもということで、今回のご紹介はここまでにしましょうか。

果たしてこの舞台衣装はどの生地を使いどんな仕様になっているのか、次回お披露目しますので乞うご期待下さい☆


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