執筆者:東京店 河本
こんにちは。東京店の河本です。
梅雨真っ只中でジメ~とした暑さが憂鬱な時期ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
さて
梅雨が終わると本格的な夏の季節に入りますが、夏に重宝するアイテムと言えば、やはり《スラックス》です。
これまでも本コーナーでは、お客様の様々なスラックスをご紹介してきましたが、この度私、河本が今年の夏を共にするスラックスを新たにオーダーしましたので、今回はそちらをご紹介したいと思います。
と言っても、いつものようなお客様の紹介や注文までのストーリーなどは一切ないため、このままだと、ただ自分が作るスラックスの紹介をするだけの全く面白くない内容になってしまいます。
ですから、今回は私のスラックスに対する愛と、オーダーする際のこだわりポイントをメインにお話しさせていただきます。
因みに、今回はカジュアルスラックスのご紹介となっております。ビジカジ用やプライベート用でオーダーをご検討されている方は、参考程度に楽しみながらご覧ください。
なお、クールビズでのビジネス用スラックスをお求めの方は、以前HPにて【オーダースラックスの良さについて】と題して、正しいスラックスの着こなし方法をご紹介していますので、是非そちらをご覧ください。
私河本、実は大のスラックス好きでして、仕事の時はもちろん、プライベートでも基本的にスラックスを着用しています。(これを言うといつも引かれるのですが、デニムを1本も持っていません)
その為、季節問わずスラックスは私の必需品ですので、毎シーズンかなりの量を作ってしまいます。ただ、欲しくなれば自店舗で理想の形、理想のシルエットのスラックスを作ることが出来ますので、こんな嬉しいことはありません。
私物の一部をちらり
実際に着用するのが一番ですが、ラックに掛かっているスラックス達を眺めるもの好きです、(笑
(今季の春夏シーズンは既に10本オーダーしました。いつも出費が痛すぎる。。。)
なぜ、ここまで好きになったかと言いますと、まだ学生だった頃にたまたま読んでいた某雑誌に書かれていたこんな言葉に影響されてしまったからです。
言い過ぎ?であると今は思いますが、当時はこの言葉を真に受けてしまったんですね。
そうして色々デザインやシルエットなどを研究していくうちに、いつしかどっぷり沼にはまっていました。
このように、色々な形のスラックスを履いてきましたが、特にオーダーをする際はどんなデザイン・シルエットであっても、私が個人的に外させないこだわりポイントがあります。
それは、
シルエット | ヒップのシルエット |
---|---|
デザイン | ベルトレス |
オーダーでは、細めのテーパードからワイドのストレートまで、様々なシルエットのお仕立てが可能です。私自身もいろんなシルエットのものを履きますし、これは好みの問題でもありますので、お好きなシルエットでお仕立ていただきたいところなのですが、その中で皆さんにも是非こだわっていただきたいのが、ヒップのシルエットです。
デザインももちろんそうですが、このヒップのシルエットこそ、オーダーらしさが非常に出る部分であると私は考えています。
例えば、こんな着用をされた方をご覧なった事はありませんか?
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左の画像はあきらかにヒップが食い込んであり、窮屈感のある見た目。
逆に右の画像はヒップが余っており、少しだらしない見た目です。
これらのように、例え全体的なシルエットが良くても、ヒップが食い込んでいたり、余っていたりすると、それだけで不格好な印象に映ってしまいます。
では、こちらのシルエットはどうでしょう。
上記2つのシルエットと比べると一目瞭然かと思います。
窮屈感のある食い込みもなく、また無駄な余りもない、すっきり綺麗な印象ではないでしょうか。
※実際にはヒップ周りにゆとりを加えないと、履き心地が非常に窮屈になってしまいますので、程よいゆとりは入れます。
良いヒップのシルエットを実現するために必要なことは何かというと、好みのウエストポイント(履き位置)に対する正しい股上の設定です。
例えば、既製品で販売されている1タック2タックのようなベーシック、またやや太目のシルエットの場合、
一般的にはノータックより股上が深いですので、必然的に履き位置は上へ上がります。
ただ、好みの履き位置はもう少し下だから、といった理由で下の位置で履く。
そうすると、当然その分股上に余りが生じるため、ヒップ周りに余りが出てシルエットが崩れてしまいます。
このように、既製スラックスは決められた股上、決められたウエストポイントでしか商品提供がされていないため、ヒップの良いシルエットを生み出すのはかなり難しいです。
特に上記は一番多いケースで、着用感として不快に感じる訳ではないので、なかなか人に指摘されない限り分からないのです。ただ、後ろから見るとこの違和感は一発で分かります。
この点でオーダーは、好みのウエストポイントに対しての正しい股上を設定することが出来ますので、綺麗なシルエットを実現することが可能なのです。
これは、完全に私の個人的な好みです。
ベストレスパンツと言えば、まずデザイン性の高さ。
一般的なビジネス用のスラックスには取り入れるのが難しい仕様かもしれませんが、例えばビジカジ用やプライベート用など、いわゆるカジュアルパンツにこのベルトレス仕様を加えると、他のスラックスとは一味違う洒落感をお楽しみいただけます。
また、ベストレス仕様はアレンジ方法も様々。帯巾を太くしたり、持ち出しを長くしたり、またドレッシーにサイド尾錠を付けると、《オーダー感》をより味わうことが出来るかと思います。
そして、合わせる靴を選ばないのも嬉しいポイント。
ベルトがあると、どうしてもベルトと靴の色を揃えないとバランスが悪くなってしまうため、履ける革靴の色も限られてしまいますよね。
ただ、ベルトレス仕様ですとベルトは付けないので、好きな色の革靴、またスニーカーも合わせることが出来るようになります。
このようにデザイン性の高さや靴の合わせやすさが魅力的なベストレス仕様ですが、私が好む理由は他にもあり、それは【スタイリッシュさ】です。
元々ベルトレス仕様のスラックスにはサスペンダーを使用することが基本とされていましたので、ウエストは敢えてゆとりのあるサイズ感となっていました。
ただ、近年ではサスペンダーをされる方も少なくなったことで、ベルトレスパンツを履く際もサスペンダーをされない方が多くなりました。
その為、サスペンダーをしない場合は、ウエストはピッタリのジャストサイズで履くことが求められます。また、ベストレス仕様のスラックスでは、2タックのような腰周りにボリューム感のあるデザインがオススメです。
ウエストがジャストサイズで引き締まっているのに対し、腰周りはボリューム感がある。
このコントラストが、よりウエストを細く見せ、スタイリッシュな印象を与えることが出来るのです。
さて、それでは私のスラックスへの愛とこだわりを語らせていただいたところで、最後に、今回私がオーダーしたスラックスの注文内容を簡単にご案内します。
(詳しい注文内容は、仕上がり品と一緒に『お客様ありがとう』にてご紹介します!)
生地 | ゼニアトラベラー・グレー無地 |
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ベルトループ | 不要 ベストレス仕様 |
帯巾 | 4.0cm (通常3.5cm) |
持ち出し | ボタン1つ カド四角カン留 長さ10cm (通常5.0㎝) |
タック | 2本インタック |
裾口形状 | ダブル 5.0cm |
その他オプション | サイド尾錠付き |
生地 | ソメロス シアサッカー・オレンジストライプ |
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ベルトループ | 不要 ベストレス仕様 |
帯巾 | 5.5cm |
持ち出し | ボタン2つ カド四角ボタン留 長さ16cm、9.0cmの位置にループ1本付ける |
タック | 2本インタック |
裾口形状 | ダブル 5.0cm |
その他オプション | サイド尾錠付き |
生地 | ヴィンテージ・ベージュ無地 |
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ベルトループ | 不要 ベストレス仕様 |
帯巾 | 5.5cm |
持ち出し | ボタン2つ カド四角ボタン留 長さ16cm、9.0cmの位置にループ1本付ける |
タック | BOXタック+1本 |
裾口形状 | ダブル 5.0cm |
その他オプション | サイド尾錠付き フォブポケット付き |
今回は既に仕上がってきたものに加え、もう3本追加でオーダーしましたので、これらを仕上がり次第、『お客様ありがとう』にてご紹介させていただきます。
3本ともデザインを少しずつ変えています(シルエットは全てワイドスラックスです)ので、それぞれどのような仕上がりになるのか、そのあたりを是非楽しみにお待ちください。