2023年11月17日更新 執筆者:東京店 河本
こんにちは。東京店の河本です。 ようやく気温も下がり、本格的な冬の訪れが感じられる今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。 さて 今年は残暑が厳しかったことから、気温が下がったこのタイミングでようやく衣替えを始められた方も多いと思いますが、注文と共にこの時期増えるのが『お直し』の依頼です。 新しいシーズンを気持ちよく迎えられるよう、サイズの微調整や破れ·ホツレが見つかったモノのリペア等をされる方が、今の時期は非常に多くなります。(今年は例年に比べかなり遅いですが) そこで、先日お客様から「あるアイテム」のお直しの依頼がありましたので、今回はそちらを取り上げてみたいと思います。 お客様は、少し前にも本コーナーにご登場いただきました英国在住のNさんです。 英国にお住まいなられて20年、今は日本企業と海外企業間でのM&A仲介をされているNさんは、まさに英国紳士なお方。 まず、日本に住んでいらした頃からの愛車は、深緑の英モーガン。 社長の吉村いわく、店の中に飾っておきたいくらい素敵な車のようです。今はお住まいの英国で乗られているみたいですが、私は一度も拝見したことが無いので「いつかは見てみたい。」と密かに思っております。(想像しただけでもカッコイイ。。。) そして、ファッションもどことなく英国式。スーツの時は、ハッキングあるいはチェンジポケットを付けた腰ポケットで、肩パットにしっかり入れた純英国調のシルエット。 また、前回お仕立てなられたジャケットも、肩パットを抜いた軽い仕立てでありながら、中掛けの3つボタンに、ハッキングの腰ポケットとクラシックなシルエットでした。
そんなNさんから今回依頼があったのは「シャツのお直し」です。 ところで、本題に入る前に、皆さんはシャツもお直しが出来るって知っていますか? シャツはどうしても身体に一番近い洋服ですので、例え肌着を着ていても、肌着に被らない特に衿やカフスは直ぐに汚れてしまいます。 また、ネクタイをされる方や時計をされる方は、何年も着用するとネクタイと衿の擦れ、時計とカフスの擦れで破れが生じます。 他の箇所は綺麗でも衿とカフスがダメになると捨ててしまう=シャツはスーツに比べ消耗品だから低価格な既製品が良い。とお考えが多いのではないでしょうか。 しかし、オーダーシャツであれば、この汚れたり擦れきれた衿とカフスを交換することが出来ます。 費用も衿交換2,200円 (税込)、カフス交換左右で2,200円 (税込)とリーズナブル。 その為、オーダーシャツは、既製品のシャツに比べ値段は張るものの、この交換修理をすれば、しっかり身体にあったものを長く着用出来るようになりますので、長期的な視点で見ると、既製品に比べてオーダーシャツの方がかなりお得です。 そこで今回は、シャツの衿・カフスのお直しにスポットライトを当ててみます。 まず、衿・カフス(袖)交換をされたい方は、次のことをしてみてください。
残布(お仕立てした際に製品と一緒にお渡しする残り布)は1回分の衿·カフス(袖)交換分の生地としてお渡ししています。こちらをご用意ください。
工場にある在庫をお調べします。
残布や工場在庫生地がない場合、衿·カフス(袖)を白生地にしてクレリックとして仕立て直すことも可能ですのでご検討ください。
さて 少し話が逸れましたが、ここからが本題。 今回は日本に帰国されるタイミングで「シャツのお直し」を希望されているNさんですが、 その依頼は吉村とのこんなやり取りから始まります。 (今回もやり取りはLINEです!)
今回Nさんはシャツの「衿・カフス交換修理」をご希望されていますが、Nさんとのお取引は長く、直近でお仕立てされたシャツで約4年前のもの、その前のものは約10年前、15年前と随分年数が経っています。その為、残布がないシャツの生地在庫が残っているかがかなり怪しいところ。 ただ、まずはどのシャツをお直しされたいかが分からないと進められませんので、生地の柄が分かるよう画像を送って頂きました。
確かに、衿とカフスが相当傷んでいるようです。 ただ、このシャツは約15年前にお仕立てされたものですので、ここまで長い間着用され、更にお直しをしてまた着用出来るようにする。こうしたNさんの物を大切にされるところは本当に紳士的です。 さてさて、どうやらお直しされたいシャツは5枚で、そのうち3枚の残布はお持ちとのこと。 ただ、スカイブルー平織と紫ストライプシャツについては、生地が足りるか少し不安のようです。 確実にお直しが出来るのは5枚中、白のヘリングボーンシャツ1枚のみと、まぁこのままではNさんに申し訳ないですので、早速私、河本が生地在庫を調べることに。 まずはお送りいただいた生地画像と、こちらで控えているデータの内容を照らし合わせ、同じであること確認。そして、品番を特定し、工場の方に在庫の有無を調べてもらいました。 すると、、、 残布をお持ちだったスカイブルー平織の生地だけ、まだ在庫が残っていました! しかし、どうしても年数が経っているため、シャツの色が褪せてしまっていることがあります。そうすると元々の生地の色と、褪せてしまったシャツとで色見が変わってくるので、まるでクレリックにしたかのようになる場合もあります。 クレリックがお好きでないNさんに受け入れていただけるか不安ですが、これは実際に見て決めて頂くことにしました。 ということで、今回は確実にお直しが出来るのは白のヘリングボーンシャツとスカイブルーの平織シャツの2枚、そして、お直し出来る可能性がある紫ストライプシャツの計3枚をご持参頂く形となります。
この事を、吉村からNさんに伝えてもらい、ご了承を頂いた上、10/31に来店されることになりました! 納期もちょっとタイトですが工場にOKをもらい、生地在庫の確保も完了。 あとはNさんのご来店を待つのみです! スカイブルー平織シャツの色目の件と、紫ストライプの残布少量の件が少し不安要素ですが、果たしてどうなったのでしょうか。 また、お直ししたシャツの出来上がりはいかに! それでは、次回の “お客様ありがと~う” まで楽しみにお待ちください!