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ギリギリを攻めます。

 執筆者:大阪店 河本


毎日暑い、、、もうこの季節がやってきましたか。
既にヘトヘトになってしまっている大阪店の河本ですが、まだこれから暑くなると考えると、少しブルーな気持ちになりま、、、んなことは言ってられません!

そんな暑い夏の季節こそ、ファッションで気持ちを晴らそうじゃありませんか!ということで、今回の『お客様いらっしゃ~い』では、先日面白いオーダーを頂きましたので、そちらをご紹介したいと思います。

今回オーダーを頂いたのは、Mさん。ヨシムラを初めてご利用されたご新規様です。
そんなMさんのオーダーはこんな感じで始まりました。

5月某日

河本: (パソコンをカチャカチャ)
Mさん: すみませ~ん、おっ河本さんですか!
河本: いらっしゃいませ。は、はい河本です。。。
Mさん: 河本さん突然すみません! 今からスラックスをオーダーしたいんですが大丈夫ですか?

大阪店では珍しい(空中店舗のため)予約なしの飛び込み来店でした。たまたまその日は別の予約が入っていませんでしたので、そのままご対応することに。

河本: もちろん大丈夫ですよ! ところで、なぜ私の名前を?
Mさん: 以前、河本さんが書いていたスラックスの記事を見たんですよ。
それをなんとなく覚えていて、今日たまたまHPを見たら河本さんが大阪店に来てたんで、折角ならと突然ですが来ちゃいました!

Mさんがご覧なられたのは、私が昨年書いた「スラックス愛」という記事。題名の通り “私のスラックスに対する愛” について書かせていただいたものです。

スラックス愛

それにしても嬉しいですね。わざわざ記事を拝見されご来店まで頂くなんて。
毎回原稿を頑張っている甲斐があります。でも、この記事は半分趣味のことを書いた感じなんですけどね、笑 そんなものを楽しく読んで頂いて恐縮です、、、

さて
こんな会話でひと盛り上りしたところで、早速本題へ。

河本: Mさん、今回はスラックスのオーダーとのことですが、
どんな感じのをご検討されていますか?
Mさん: 会社でのクールビス用のお洒落なスラックスが欲しいんですが、
実はギリギリを攻めたいんです。
河本: ん? と言いますと、、、

少し話が逸れますが、
Mさんは30代前半でお勤めは誰もが知るあの某製薬会社。ただ、前職はというと、これまた有名な某アパレルブランドの店舗スタッフをされていたという少し異色な経歴をお持ち方です。
そのため、ファッションに関して凄く感度の高い方で、来店された日もそのお勤めなられていたブランドのアイテムを格好よく着こなされていました。
そんなファッションがお好きな方ですから、会社用のスラックスをオーダーで作ってみたい!ということで、前述した経緯もありヨシムラへ来店して下さったのですが、今回Mさんにはある目的があったのです。

では、話を戻します。

河本: ん? と言いますと、、、
Mさん: いや、会社ではカジュアルな服が専らOKになっていて、
みんなポロシャツとかスニーカーで出社してるんですよ。
河本: どこの会社もカジュアル化が非常に進んでいますからね。
Mさん: そうなんですよ。ただですね、以前とある社員が「デニム」(ジーパン) で来たんです。
そしたら上司にもの凄く激怒されてまして、笑
他にはチノパンのようなデニムを履いてきた人も怒られていました。
河本: 流石にデニムはまずいですね、笑
Mさん: でもよく考えれば、みんなポロシャツやスニーカーなのに、
パンツは普通のスラックスなんですよ。僕はあまりそういうのは好きじゃなくて。
ですから、スラックスはどの程度のカジュアル度合までがOKなのか、今回検証したいんです!!!

そう、今回のMさんの目的は、会社のスラックスに対するカジュアル度合はどの程度ものまでがOKなのか、を社員を代表して検証する!といったものでした。

Mさん、そのお気持ち十分わかります。服好きであれば、そういった危ない橋を渡らないといけない時もありますよね!
と共感したいところですが、これで上司の方にMさんが怒られてしまっては、私も申し訳ない気持ちになります。
ですので、念のため「先ずは軽くジャブ程度に、ややカジュアルくらいのスラックスにした方がいいのでは?」と提案したところ、、、

Mさん: 河本さん、大丈夫です!怒られるか怒られないかのギリッギリのラインを攻めましょう!
ダメだったとしてもプライベートで履けますから!

との返答が。


そうなれば、私のスラックス愛にも火が付きます。 Mさんの意思も固まっているようですので、とことん攻めてやりましょう!
(会社で怒られても、私には怒らないでくださいねっ)

ということで、その場で頭をフル回転させ、色々と案を出していきます。

先ず、大事なのは《何で遊ぶか》ということ。
生地? ディテール? サイズ感?

生地であれば、〈カノニコ21マイクロン/カラーシリーズ〉のような『色』で遊ぶのも良いですし、〈リネン〉のような『素材感』で遊ぶのも良し。また、〈機能性素材〉で『色·素材感』共に遊ぶもの良いですね。

ディテールであれば、代表的なものは〈ベルトレス〉。ベルトをしない分ドレスダウンしたカジュアルライクな装いになります。
特にクールビズではスラックスがメインのアイテムになるため、カジュアル化が進む今、ベルトレスのようなディテールで洒落た雰囲気に仕上げる方は多く、非常に人気です。

サイズ感であれば、ゆとりのあるオーバーシルエットはトレンドでもありますので、それを取り入れるものgoodです。

一言で「カジュアルスラックス」といっても、このようにいろんな要素から作られていきます。ですので、先ずは「どの部分を攻めるか·遊ぶか」という方向性を決めなければいけません。
このことを、上記の内容も含めMさんに伝えました。
すると、、、

Mさん: 「生地・ディテール・サイズ感」全て遊びましょう!
ただ、これだけではちょっと弱い気がします。
特にディテールの部分でもうちょっとギリギリを攻めれるものはないですか?

ヒィ~。これではまだ満足されていないご様子。
Mさん、かなりチェレンジャーですね。

でも、一応ビジネスで着用されるものですし、あまりやり過ぎたものは流石に提案できません。

いゃ参ったな、、、と頭を抱えていると、ここで河本、少しイケないものを思いついてしまいました。

河本: Mさん、覚悟して『センタークリース』取っちゃいますか?

センタークリースを無くす。これは、本来ビジネス用のスラックスではタブーとされていることなのです。

というもの、このセンタークリースがあることで美しいスラックスのシルエットが構築され、ビジネスライクなカチッとした印象を与えることが出来ます。
そのため、センタークリースが無いとだらしない印象を与えてしまうため、カジュアルなビジネススラックスでも基本的にはこのセンタークリースは入っています。

ですから、定義としてセンタークリースの入っていないスラックスはスラックスと言いません。
プライベート用の「カジュアルパンツ」という位置づけなのです。

でも、センタークリースが無くとも、以外のディテールがスラックスの形であれば、デニムまでカジュアルな印象にはなりませんので、結構ギリギリのラインを攻めれるのでは? と思いついた次第です。

ただ、流石にベルトはした方が安全かなと思いましたので、この「ベルトループ付き、センタークリース無し」のディテールを提案したところ、

Mさん: おっいいですね!よし、それでいきましょう!

と首を縦に振ってくれました。
提案したのは私ながら正直かなり危険な予感がするので、少し不安ではございますが、ひとまず方向性は決まりました!

ですので、ここからは生地決め·細かなデザイン決め、そしてシルエット決めです。
生地やシルエットによっても随分雰囲気が変わりますからね。Mさんに色々ヒアリングしながら一緒に決めていきます。

では、まず生地決めですが、、、、っと今回はここまでにしておきましょう。
この続きはまたのお楽しみ!ということで、次回の『お客様ありがとう』にて仕上り品と共にご紹介します!

私もまだ仕上り品は見ていませんので、Mさんと一緒にドキドキしならがら待ちたいと思います。
無事、怒られずに済んだらいいのですが···


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