2024年12月13日更新
皆さん、こんにちは。 空気が澄んでいて、冬の寒空を見上げて歩く毎日を過ごすことが楽しみの大嶋です。 冬生まれの私は、大好きな冬がやってきた!と歓喜しておりますが、皆さんは冬と夏、どちらがお好きでしょうか。 選べる服が多くて楽しい、重ね着をすれば寒さをしのげる、空気が澄んでいて心地がいいなどなど、魅力がたくさん詰まっている冬。 ぜひご来店の際に冬への熱意、夏への熱意、お聞かせください。 さて、今回の「お客様いらっしゃ~い」は、重ね着には必要不可欠なアウター、【コート】のご紹介です。 しかしただのコートじゃございません。 タイトルのある通り、【超】ロングコートです。 最近は足取り軽やかに動けるよう、軽く着られるよう、着丈が短く、モダンテイストなコートが多いかと思います。 そんな中でクラシックな、着丈の長いコートを探そうと思うと、やはりたどり着くのはオーダーが最適かなというところ。 ご注文いただいたリピーターのS様もその1人です。 ではどんな経緯で、ご注文に至ったのかご紹介を始めさせていただきます。 【超ロングコート】の始まりは1通のメールから。
コートの定番といえば「カシミア」が有名ですが、Sさんのおっしゃるように耐久面という点はウールに劣る部分があります。 ウールの黒で耐久性があるもの、うーん、、、あれと、あれと、あれと、、、 と考えているうちにSさんから返信が。
今回のキーワード【超ロングコート】が早くも登場しました! はるか昔、、、超がつくほどロング、、、うーん、早く見たい! 重さも気にしないということであれば、生地はやっぱりあれかな。。。 それでも、いくつか用意してと、、、 黒となると生地に限りが出てくることが多いですが、 今回のご要望に合う生地となれば、やはり強度には定評のある冬定番のあの生地か。 と考えを巡らせ、ご予約当日を待ちました。
10月某日
なんじゃこりゃ!と言ってしまいそうになりました。笑 掛けられるかななんて心配しながら写真を撮らせていただきました。 また着用されるとこんな感じです。
分かっていましたが長い。。。
コートの裾と、地面の距離がなんとまあ近いこと。 着ていただくにも地面に裾がつかないようにするのはなかなか難しいほどです。
店舗に遊びにいらしたことがある方は、イメージがつくと思いますが、 YOSHIMURA&SONSの生地の棚についているフック、その高さは床まで約160cm。 写真を見てわかる通り、一番下の生地棚の底まで着丈がきている状態。 身長が180cm後半もあれば、そこまで長く感じないかもしれませんが、Sさんのご身長おおよそ170cmほど。これが【超ロングコート】 当時、実物なしでこれを仕立てたと思うと、、、恐るべし。
冬の定番、〈ハリスツイード〉より、シックな黒無地です。 耐久性はもちろん防寒性も高く、ジャケットがあるだけで、コートがいらない、なんていう方もいらっしゃるような、これぞ冬の素材という生地。
日本を代表するメーカー〈葛利毛織〉より、エレガントでなめらかな生地感を演出するSuper140‘sのフランネル 繊維長16.5ミクロンの羊毛を織物にしたことで高級感があり、こちらも冬の素材として代表的な生地。
葛利毛織さん協力のもと、「時代を超えて愛される王道を行くものを作る」というコンセプトをもとに創り上げた生地。 Super140‘s原毛にカシミアを20%使用した高級感と防寒性があり、一度見て、触って、そしてお仕立ていただきたい、ぜひワードローブに加えていただきたい、絶対に損をさせない最高品質の生地。
生地が決まり、続いてデザインです。 お持ちいただいたコートをもとに決めていきました。
お持ち込みいただいた【超ロングコート】は、シングルでしたが、今回のお仕立ては「クラシックの王道ダブルブレスト」をおすすめしたところ「ぜひ」ということで決まりました。 ハリスツイードは、生地が分厚く、通常のスーツによくお付けするピックステッチが入れられないため、ミシンステッチにて、衿に表情をつけていきます。 気になる点は「裏地」ではないでしょうか。 敢えてポリエステル裏地にした今回のオーダー。 ハリスツイードでのお仕立てにはよくある注文なのですが、 これは、キュプラ裏地とポリエステル裏地の違いが要因です。 YOSHIMURA&SONSをご利用いただいている博識な皆さんはご存じの方多いと思いますが、敢えてご説明させていただきます。
さて、本題に戻りましょう。 なぜハリスツイードには「ポリエステル裏地」をつけることもあるのかといいますと、 ポリエステルの特徴として挙げた「硬さ」これがハリスツイードとは相性が良いためです。 強靭なハリスツイードを使ったアイテムは、裏地が先に痛み、取り換えをしなければいけないということが多々見られます。 その点硬さからくる耐久性を持つポリエステルをつけることで、裏地の寿命を高められます。 (裏地の張替えはなかなかの修理金額になってしまいますからね、、、) ご用途によってご案内を変更し、またキュプラだから着用後すぐに破れてしまうということもないですが、今回のケースではポリエステルがうってつけでしょう。 ということで、ポリエステル裏地でのお仕立てとなりました。
はるか昔のお仕立てでしたから、当然サイズが判明する採寸表は無く、 1から測るところからスタートです。 お持ちいただいたコートを測りながら、 当日のSさんのご体型に合わせてご案内。 肝心の着丈については、なんとお持ちの【超ロングコート】よりも【さらに丈をプラスしました!】 というのもこんな背景が。
どうでしょう。 十分すぎるほど長いものをさらに伸ばしてもいいとおっしゃるSさんはとても笑顔で 本当に長いコートがお好きなんだなと感じました。 この笑顔にお答えするためにも最大限の力を尽くし、採寸を終えました。
さて、どんな仕上がりになるでしょうか。 Sさんのはるか昔に作った超ロングコートを令和の時代に再来させることができるのか。 それでは、今回の「お客様いらっしゃ~い」は以上です! 次回の「お客様ありがとう」をどうぞお楽しみに! 皆さんのご来店心よりお待ちしております。