HOME > お客様いらっしゃ〜い > 無料相談会 演奏用スーツ

無料相談会 演奏用スーツ


皆さんこんにちは。

本格的な寒さが到来し、改めてアウターを買おうとしている方、買った方いらっしゃるのではないでしょうか。
オーダーですと約1か月お渡しまで時間がかかるため、コートをご注文されると、着られるのは実質来季の秋冬になりそうですね。

ですが今ご注文されると、来期の秋冬すぐに着られるというメリットがありますのでスタートダッシュを決めたい方はぜひこの機会にお求めください。

さて、10月からYOSHIMURA&SONSのHPにあるコンテンツ追加されていることをご存じでしょうか。

それがこちら。

【無料相談会】です!

普段からHPをご覧いただいている方はご存じかもしれませんが、まずは改めてご紹介をさせていただきます!

無料相談会とは?

その名の通り、
【無料で】【なんでも】【ご相談いただける】【相談専用企画】です。

「当日ご注文できないこと」を条件にご案内している【無料相談会】は、「服へのお悩み」「コーディネート相談」など、どんなことを話題としてお持ちいただいても結構です!

加えて無料相談会では、【採寸体験ができる】という魅力もあります!

オーダーと検索するといろんなお店が出てきて、どこを選んでいいのかわからない。
仕上がりが想像できないからオーダーは少し怖い。

など、オーダーはご注文にあたって不安なことが多々あると思います。

しかし、価格の相談や、生地の相談、仕上がりのイメージ等が、《あらかじめ》《無料で》わかったらどうでしょう。

先に述べたように、「当日は注文できない」(承らない)という制約付きですから、我々も「今日作っちゃいませんか?」なんてセールスは一切いたしません!

今回はそんな皆さんの不安や、お悩みを解決するできる企画、無料相談会をご利用いただいたWさんのご紹介をさせていただきます!

無料相談会なるものがどんなものなのか、Wさんとのやりとりをもとにどうぞご覧ください。

Wさんの無料相談会は1件のメールから始まります。

ご来店店舗名 = 東京店
ご来店日 = 2024/11/*
ご来店時間 = ****
お名前 = W様
メールアドレス = ****
= ****
ご住所 = ****
TEL = ****
フリー記入欄 = ヴィオラ(ヴァイオリンよりすこし大きい)を趣味で演奏しています。既製品のスーツを着て演奏していますが肩周りがきつく、動きに制限が出てしまうため、オーダースーツを探していたところ、HPを拝見しました。
黒の演奏会用のスーツの作成を検討しています。
11月*日は11時~16時であれば伺えます。
よろしくお願いいたします。

ヴィオラかぁ。ヴァイオリンより少し大きいものということでしたが、学生時代、選択科目で音楽を履修した際、担当の先生がヴァイオリンをやっていて、履修生徒全員分のヴァイオリンを借りてきてくださり、演奏したことを思い出しました。

W様
お世話になっております。
YOSHIMURA&SONS大嶋です。
本日はお忙しいところご予約いただきありがとうございます。

さて、11/* 11時ごろ店舗にお越しいただけるとのこと。
かしこまりました。

今回はヴィオラの演奏の際に着用されるスーツについてのご相談ですね。
ご連絡ありがとうございます。
生地のご案内から、弊社の型紙のご紹介、
採寸体験にて、お仕立ての参考になれば幸いです。
なおご来店日時について、
手前勝手なお願いで大変恐縮ですが、お言葉に甘えて、
12時ごろのご来店をお願いできますでしょうか。
ご確認よろしくお願いいたします。
それでは当日お気をつけてお越しください。

きっと肩回りに加えて、動きの制限以外というのは、腕が動かしにくい、背中が張るだったりだろうな、と考えを巡らせながら当日を待ちました。

11月某日

Wさん: こんにちは。予約していたWです。
本日はよろしくお願いします。
大嶋: いらっしゃいませ。Wさんお待ちしてました。

Wさんはこの日、普段演奏で着用しているスーツを着て、なんと演奏に使うヴィオラを持ってきてくれました!

大嶋: 見るからに高級そうなそのケースの中身が「ヴィオラ」ですね。
Wさん: はい、趣味で演奏する程度ですが、、、
本日はよろしくお願いします。
大嶋: またまたご謙遜を。趣味で演奏会に出るなんてなかなかないでしょう。
Wさん: これがあるんですよ。

なーんて会話をしながら、まずはお席でゆっくりしていただきました。

普段であればこの後、「生地はどんなものをお考えですか?」ということや、「今回お考えのアイテムはどんなものですか?」などなど相談をさせていただきます。

その他価格面や、生地の有無、やりたいデザインの受注の可否等、気になる点はお答えいたします。(当日中にお答えできないものもありますので、その点は悪しからず。)

さて、今回Wさんが相談したかった点は、「サイズ面」

そのためWさんにとって、「無料相談会」は、採寸体験ができることに1番魅力と感じていただけたようでした。

生地に関しては黒の演奏用のスーツとのことでしたが、
Wさんと一緒に演奏されるバイオリニストの方と合わせるかも、というWさんのご希望もあって、黒無地生地をさらっとご紹介しまして、さっそく採寸です。

着用スーツの確認

まずは着てきていただいた普段演奏で使っているスーツを見ます。
ここからは実際に演奏しているポーズをとっていただき窮屈な点、どこをどういったふうにしたいのかを確認していきます。

ヴィオラを実際に持ってきていただいたので、なんとも豪華な採寸です。笑

Wさん曰く、気になっている点は以下の通り。

  • 肩周りの突っ張り
  • 奥の弦(左手に近い弦)を引こうとしたときの腕の前側、脇のひっぱり
  • ポーズをとった段階および弓を動かした際の背中のつっぱり

まず1点目、「肩の突っ張り」

これは肩幅と肩パットの厚さによるものと仮定しました。

写真のようにポーズをとっていただくと肩(三角筋)に肩パットが覆いかぶさっているように見えます。
肩幅が大きいと腕を上げたときに肩~腕にかけて生地の乗る分量が増加し、窮屈感を生みます。

続いて

2点目、「腕の前側のつっぱり、脇の引っ張り」

これは肩幅のサイズ(アームホールの深さ)袖付の仕方によるものと仮定しました。

先ほどと同じようにポーズをとっていただくと、脇部分の大きなしわとひじの方まで生地がまとわりついているように見えるシワができています。

〈アームホールが深い〉と、立っている姿勢は楽ですが、腕を上げるのは困難になります。
また、スーツは基本的にまっすぐ腕をおろした状態で袖がつけられるため、腕を前に出したり、上げたりの動作には多少なりとも窮屈感が生じます。

3点目、「背中のつっぱり」

これは胸の円周、主に背幅不足によるものと仮定しました。

背中から腹回りにかけて横シワが大きく表れ、体全体にまとわりついているように見えますね。

さて、これらを解決するためにまず、私がおすすめしたのが、、、

ゲージ服選び

【ブリティッシュスタイルのゲージ服です。】

「なんで楽に動けることを求めている人に、ブリティッシュスタイル!?」
と思われた方、スーツ好きですね。

というのも、
「ブリティッシュスタイル」というと、〈堅実なイメージ〉を演出するために構築的なスーツを作ることがあり、また、気候柄、湿度で生地がへたらないよう、柔らかな艶っぽいものというよりは、ハリコシに長けたファブリックが多く今回のWさんのご要望とは合わないといえば合わない。
(動きやすい柔らかなスタイルとは異なるためです。)

ですがあくまでもこれはゲージ服の名称の話で、なにも英国調なスーツをおすすめしているわけではありません。
なぜこの選択をしたかというと、このモデルは〈堅実なイメージとエレガントに見える〉まさに英国紳士を目指す方にうってつけなモデルであり、エレガントな印象を作り上げるために、「細く取られら肩幅、袖巾、アームホール」など、今回のお悩みを解決するにはぴったりなんです!

百聞は一見に如かず。着ていただきました。

採寸体験

肩幅は着ていただいたゲージ服の方が約2-3cmほど小さくなっています。
胸はWさんの実寸よりも少し大きいものを着ていただき、胸の円周を大きく取りました。
またアームホールはYOSHIMURA&SONSの型紙の中でも細いものですが、

うーん、各所、正直見た目はあまり変わらないですね。。。。。

大嶋: 写真だとこんな様子で、今のところあまり変わらないのですが、
着た感じどうですか?
Wさん: 肩と背中は少し突っ張りが残りますね。
けれど着てきたものより腕は上げやすいです!

着ていただいたものはアームホールが特に細目ですから、ここはゲージ服の段階から違いを感じていただけました。

Wさん: 普段のものよりは若干楽に思いますが、うーん、、、
大嶋: Wさん、ご安心ください。これで終わりではありません。
ただここからの案内は正直、明確にお伝え出来る部分ではありません。
「こういう風に上衣に手を加えていきます」という案内ですが、どうぞお聞きください。

ここからがイージーオーダーの真骨頂、
【体型補正】の登場です。

今回Wさんにご提案差し上げた体型補正は主に4つ。

1つ目が【前肩補正】

【前肩】とは、肩先が前方向に出ており、背幅が広く、胸幅が狭い体型のことを指します。

Wさんはご体型的に前肩気質ではあるのですが、正直補正を入れるほどではない感覚。

ですが、ヴィオラを演奏する際は腕を前に出し続けている、いわば常に前肩状態をキープしているため、肩の突っ張りを無くすべく、【前肩補正】を入れます。

同時にパットを通常よりも薄いものに変更。

またアームホールを囲うように入っている芯、
タレワタ(裄ワタ)なるものを無くして、腕を前に出す際のストレスを軽減させます。

2つ目【背幅出し】

字の通り、背幅を出して通常の背幅よりも大きくする体型補正です。

今回Wさんには実寸よりも少し大きいサイズのジャケットを着ていただきましたが、それでも背中の突っ張りは生じます。
これを少しでも軽減させるための方法として【背幅出し】を使います。

3つ目【アーム前クリ】

主に腕を前に出しやすくするという体型補正です。

「そんなあるなら誰でもそうして欲しいよ!」と思われた方、
そうはいきません。
前身(アームホール)を少し減らすことで、脇と胸のつっかえを軽減させる補正ですが、
前身を減らすというのはすなわち、胸幅(前身)が狭まります。
ということは、腕をおろした姿勢では多少胸が詰まるため、窮屈感が出る可能性があります。
今回は演奏時にいかに楽にするかを重視するため、この体型補正を入れていきます。

今回は演奏時にいかに楽にするかを重視するため、この体型補正を入れることで、着用写真、脇前方の生地の余りを減らしていきます。

そして

4つ目【鎌浅】

脇(アームホール)の深さを浅くすることで、腕を上げる動作をしやすくします。

「ぴったりと体に合ったインナー」「オーバーサイズのカットソー」
どちらが腕が上げやすいでしょうか。当然、前者ですね。

これは素材の違いももちろん関係しますが、一番は鎌の深さです。

鎌の浅いブリティッシュスタイルのゲージ服
スタンダードな鎌のゲージ服

どうですか。違いがわかりますでしょうか。

この2つの写真で着ているジャケットは胸の上りサイズは全く同じ数字
アングルも同じで撮影しました。
後ろの空間の空き方が若干違うのがお分かりいただけると思います。

そして見た目以上に脇のフィット感が全く違います。

ただその分、腕をおろした状態では脇に食い込みやすくなります。

体型補正はいわば「諸刃の剣」
正しい入れ方と着る人の着用シーンに合わせた補正が必要で、合わない補正を入れてしまうと着心地の悪いアイテムになってしまいます。

大嶋: こればっかりは作ってみないとわからない部分のご説明となりましたが、
YOSHIMURA&SONSでご提案差し上げられるのはこんな感じかと。
Wさん: 正直あまりわからないですね。笑
ちなみにヴィオラを演奏するとき、腕を横に動かすんですが、ここはなんとかなりますか?
大嶋: 先ほどの補正の部分で今より腕を前に出しやすくはなりますが、そうですね。であれば鎌(アームホール)を小さくするのに対し、袖幅は通常よりも広くして二の腕やひじ回りのひっかかりを減らす方法がありますね。
Wさん: なるほど、なかなか想像しがたいですが、間違いなく着やすくはなりそうですね。
大嶋: 絶対に着やすくなります。ただなんといってもお伝えするのが難しく、Wさんが演奏時いかにストレスなく着られるかということに注視して作るとなると、今回のご提案が最善策かと。
Wさん: わかりました。ご丁寧にありがとうございます。

スムーズにご提案しているように見えるでしょう?(見えててください。。。。。)

実はそうではなくWさんにおすすめするために、改めて工場の補正図を見直して、どう伝えればわかりやすいか、勉強をしました。笑

言葉と補正の入っていない見本服でいかにして伝えるか、これが今回の一番の難所でした。

パンツは特段大きなお悩みはないようでしたから、今回の無料相談会では上衣のみ採寸。

採寸後

大嶋: ちなみに今日着てきていただいたスーツは黒無地の中でもフォーマル用にあたる生地と見受けられます。
やはり演奏会となると、衣装的な部分でフォーマル生地がよろしいんでしょうか。
Wさん: いえ、そういったことはなく、単純に黒なら、という感じで考えていました。
あとは「照明」を受けるので、なるべく涼しいものがあればと、、、

なるほど、「照明」
これまた学生時代、出し物でステージに立った時汗だくになったことを思い出しましたが学校の照明なんかとは比べ物にならないほど暑いと思いますから、フォーマル生地の中でも春夏の生地をご覧いただき、相談を終えました。

実はこの採寸のあと、すこーしヴィオラを弾いていただきました。
静かな店内になんとも心地の良い音が響きわたり、BGMを今後お願いしそうになりましたね。(動画を撮らせていただけばよかったです。。。失敗。。。)

話を聞くと、なんとヴィオラを演奏するWさんと、先に登場した相方、バイオリニストの方、二人が前で演奏して、後ろにオーケストラがいるとのこと。

それはもう趣味の域ではないでしょう。。。と言いかけるも、もしご注文を受けることができればとても名誉なことだなぁと考えながら、Wさんをお見送りしました。


さて、以上が【無料相談会の実態】です。

当然ですが、規約?通りご注文はいただいていませんし、作りません?なーんてセールスもしてません。

したことは「皆さんのお悩みはなにか」それを聞き、そしてYOSHIMURA&SONSでなにができるか、ご提案差し上げることです。
これが【無料相談会】です。

撮影にご協力いただいたWさん、この度は無料相談会のご利用ありがとうございます。

さて、果たしてWさんはYOSHIMURA&SONSに戻ってきてくださるのでしょうか。
こうご期待です!

Wさんはなかなか特殊なご相談のため、ご提案し甲斐がありましたが、無料でここまで、もしくはこれ以上をご提案します。

服に少しでもお悩みがあったり、希望があったり、こんなのを作りたいんだ!という想いのある方はぜひ【YOSHIMURA&SONSの無料相談会】をご活用ください

皆さんのお悩みが解決するかもしれませんよ。

最後までご覧いただきありがとうございます!
たくさんのご利用お待ちしております!


back number

過去のback number