2025年2月7日更新 執筆者:大阪店 河本
気づけば2月に突入しました。 1月に増し寒さの厳しい日が続いておりますが、読者の皆さんはいかがお過ごしですか? 夏よりも冬が好き!でお馴染み(ですよね?) の私、大阪店SHOPMASTER河本も、ここ数日の寒さにはちょっと苦戦しております。 ただ、何せこの「冬」が四季の中で最もファッションを楽しめる季節だと私は思いますので、皆さんもこの寒さに負けないぐらい、思いっきりファッションを楽しみましょう! さて 今回の『お客様いらっしゃ~い』では、季節問わず⁉私よりもファッションを楽しんでいらっしゃる、あるお客様よりオーダーを頂きましたので、そちらをご紹介したいと思います。
今回ご紹介するお客様は、リピーターのFさん。 実はFさん、これまで本コーナーに何度もご登場いただいている常連様で、大阪店が誇るファッショニスタの一人です。 直近ですと、昨年に機能性素材を使ったスリーピースのお仕立てをご紹介させていただきました。 いつもHPをご覧なられている方は、記憶に新しいのではないでしょうか。 こちらも非常に面白い内容ですので、もしまだ見られていない方は、是非ご覧ください。
これまで多くの難題を頂戴している(河本の大好物です)のですが、そのたびに“こういう仕様もあるのか” “こんな仕立て方もあるんだ”と、もう驚きの連続。 Fさんからアイディアを頂くことも多く、いつも本当に勉強になっています。 そんなFさんですから、今回も面白いアイディアを持ってきてくれているはず。 果たして今回はどんな内容なのでしょうか。 オーダーはこんなメールから始まりました。
ほぉ、今回はコールパンツ風のスラックスか。 なかなかスラックスのオーダーで「コールパンツ」に目を付ける方はいらっしゃいませんよね。 このメールだけで流石はファッショニスタFさん!と、既に言いたくなるほどです。 にしても、Fさんは本当にマメなお方で、オーダーをされる際は毎回こういった資料を作ってきてくださいます。 事前にこうした資料を頂くだけで、難しいオーダーでもスムーズにご案内・ご提案ができますから、お受けする側からすると大変助かるのです。 (これのお陰で、工場に依頼する仕様書の作成も間違いにくくなりますしね。てへっ) いつもありがとうございます。 ところで、皆さんはこのコールパンツってどんなモノかご存じですか? あまり聞きなじみのないモノですから、お知りにならない方も多いのではないでしょうか。 ですので、先ずはこのコールパンツについて、簡単にご説明させていただきます。
コールパンツとは、主に昼の正礼装として着用されるモーニングコートに合わせて履かれるパンツのことです。 別名「縞ズボン」とも言われるように、このコールパンツは〈黒とグレーを基調としたストライプ柄〉が特徴であり、黒の割合が多いほど畏まった印象でフォーマル向きになるとされています。 また、モーニングコート以外にも、ブラックスーツ (略礼服)の上着と合わせて着用すると、昼の準礼装「ディレクターズスーツ」になりますので、一本あるとお手持ちのフォーマルスーツのグレードが格段にアップするアイテムです。
このように、コールパンツというのは、基本的にフォーマルシーンで着用されるアイテムです。 ただ、今回Fさんは、ブラックスーツの上着に合わせるものの、特に準礼装というほどつもりで着用するわけではなく、あわよくばネイビーのジャケットやブレザーにも合わせて着用されたいため、希望はコールパンツ風のストライプ生地のスラックス。 ですので、先ず重要になってくるのが“どの生地で仕立てるか”になります。 実は、頂いた資料のほかに、今回仕立てるにあたって、スラックスの色味はこのくらいが好み、という参考画像を送ってもらっていました。
画像を見る限り、結構暗い色味をお考えとのこと。 ただ、私ならこれがいいのでは?という案がもう頭にありましたので、それを踏まえ生地を3つピックアップし、Fさんの来店を待つことに。 そして数日後、Fさんが来店されました。 いつものようにたわいもない話をし、早速本題へ。
こうして合わせる上着の生地残布を持って来ていただいたことで、仕上がりのイメージがグンとし易くなりましたので、この残布と合わせながら、事前にピックアップした生地をご提案していきます。
以上、3つの生地を提案しましたが、現時点でFさんは生地①と生地③でお迷いのご様子。 今回は、コールパンツ風というのがテーマでもありましたので、当初のイメージ(暗めの生地)を踏まえて考えても、コールパンツ専用の生地ではない生地①が妥当。ただ、実際に残布を合わせてみると思ってたより暗い印象になるのが懸念点です。 一方、割り切ってコールパンツを仕立てる提案にも好反応。 ブラックスーツの上着との色合いも一番しっかりくるうえ、敢えてフォーマルなアイテムを崩したスタイルで着用するのもカッコ良い、という私の提案にも共鳴されていました。 非常に悩ましいところですが、Fさんはどちらをお選びなられたのでしょうか。
ということで、生地については『コールパンツ専用生地』に決定しました! 当初Fさんがイメージされていたものとは少し違う形になりましたが、普段使い用のスラックスをコールパンツ生地で仕立てるなんてまぁありませんから、既に面白いものが仕上がってきそうな予感がプンプンしております。 こうして第一関門の【生地決め】は突破しました。 ですので、次は頂いた資料に沿ってデザインを決めていきます。 今回もFさんならではの拘りがかなり詰まっていますので、1つ1つ間違いがないよう、しっかり確認する必要がありまして・・・ これからそれらをご紹介したいところですが、これ以上書いてしまうとあまりに長くなってしまいますから、今回はここまでとさせていただきます! この続きはまたのお楽しみ!ということで、次回の『お客様ありがとう』にて、仕上がり品と共に、拘りポイント等をご紹介していきますね! 仕上がりは約1か月後の予定ですので、それまで私も楽しみに待ちたいと思います。