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「ソフトスーツ?」のご注文です。


皆さん、こんにちは。

1年間で最も寒い月といわれる2月も下旬にさしかかり、 春への準備期間となりますが、そろそろ暖かくなってほしいなぁとも感じる今日この頃。

フレッシュな気持ちで、春を迎えるにはどうしたらいいのでしょうか。

これはもちろん、【新しい服を着ることです!!】

「食べてしまいたいほどかわいい」
という意味でつけられたアイドルグループの春を歌った曲にこんな歌詞がありますね。
「おしゃれをして男の子が出かけていきます。
水をけってカエルの子が泳いでいきます。」

やはり「新しい季節」というものは、おしゃれをしたくなりますよね~
ということで今回の「お客様いらっしゃ~い」スーツをおしゃれに着ることに重きを置いたお若いIさんのご紹介です!

既製品では体に合わず悩んでいて、オーダーをする方もいれば、自分の好みの形、デザインが見つからず、オーダーをする方もいます。

Iさんは後者のタイプで、メールでの来店予約からご案内するのがワクワクするような内容でした。

ご来店予約からのやり取りをどうぞ最後までご覧ください。

ご来店店舗名 = 東京店
ご来店日 = 2024/11/*
ご来店時間 = **:**
お名前 = I様
メールアドレス = **************
= ***-****
ご住所 = **************
TEL = **********
フリー記入欄 = 成人式用で80sのソフトスーツ風のスーツを作りたいです。

きました【ソフトスーツ】
メールを返信する前からどんなスタイルにするのかなとワクワクしていると、
SHOPMASTER佐野より、
「これは、、、敢くん案件だね、よろしく頼むよ」ということで仰せつかりました。

Iさんはこの連絡のあとご都合が悪くなり、一度キャンセルとなったのですが、後日お電話にてご連絡があり、改めてご予約となりました。

ちなみに【ソフトスーツ】皆さんご存じですか?

ちなみに、「ソフトスーツ」と検索すると、一番トップに出てくるのが、YOSHIMURA&SONSのお客様ありがとうなんですよ! (スーツと調べると絶対に出てくるサイトや、ソフトなスーツというサイトを除きです。笑)

「ソフトスーツ」の詳しい内容は上記の「お客様ありがとう」に記載がありますので気になる方はどうぞそちらもご覧ください。

80‘sソフトスーツのご紹介です。

定番ではありませんが、時折ご注文を受ける【ソフトスーツ】
(実は2週間後くらいに別のお客さんからもソフトスーツのご紹介がありました。)
どんな感じで想像されているのかなぁ、と考えながら、ご来店を待ちました。

そして来店日当日。

Iさん: こんにちは。予約していたIです。よろしくお願いします。
大嶋: いらっしゃいませ。Iさんお待ちしておりました。
今回は【ソフトスーツ】ということでしたが、いいですよねかっこいいですよね~
Iさん: そうですね、なんとなくソフトスーツ雰囲気が好きで、
それっぽいので、自分の好きな某ブランドとかを見てみたんですけど
あまり惹かれるものがなく、、、
大嶋: なるほど、着用は「成人式」ですもんね。
ばっちばちに決めていきたいですよね。
Iさん: ぜひよろしくお願いします。

「成人式」いいですね、めでたいですね~~~

私は、成人式にいい思い出も、かといって悪い思い出もなく気づいたら終わっていた感覚でしたから、ぜひとも最高の1日にするためにも、完璧な1着をご提供したいなぁと思いながら生地決めに移行。

大嶋: 【80sソフトスーツ】といいますと、どんなものをご想像されていますか?
Iさん: こんな感じですかね。

(引用 FASHION PRESS ソウシオオツキ 2025年春夏コレクションより)

大嶋: なるほど、いい雰囲気ですね~
ちなみに生地の色、柄はどんなものをご想像されています?
Iさん: 色は「黒無地」を考えてます。すこし「ラグジュアリーな雰囲気」にもしたくて。
大嶋: なるほど、「ラグジュアリー」ですね。かしこまりました。
生地、見ていきましょう。(大嶋、考える。)←後ほどわかります。

生地決め

ご提案差し上げたのは以下の3つ。

No.1 YOSHIMURA&SONSオリジナル

YOSHIMURA&SONSオリジナル

いわゆるスーツの定番生地
「80s」と切っても切り離せない「バブル景気」
このころ、〈ジョルジオアルマーニ〉のスタイルが日本に流れこんだ特徴的なサイズ感、シルエットが見られる【ソフトスーツ】 ですが、 日本ではおしゃれに着こなすよりも、仕事着であることが大前提であり、YOSHIMURA&SONSで定番のスーツ生地を使うことで、当時の雰囲気を演出できそうという点からエントリー。

No.2 ロロピアーナ オーストラリス

ロロピアーナ オーストラリス

〈ジョルジオアルマーニ〉発祥の国でもあるイタリアを代表する生地メーカーよりYOSHIMURA&SONSの扱う生地の中で最も「艶」と「柔らかさ」を感じていただける生地。
構築的なスタイルからレディースの服のように「ソフトでリラックス感のあるスタイル」を演出する+ 「ラグジュアリーな雰囲気」にぴったりです。

No.3 ロロピアーナ ジランダー

ロロピアーナ ジランダー

同じくロロピアーナより、しなやかで「ほどよい艶のある」ラインナップ。
糸を多く使い、通常よりも生地巾を狭く作り上げることで(圧縮して)もともとの生地巾まで戻ろうとする「ストレッチ性」がリラックスした風合い出しつつ、「エレガントさ」を追求できる生地です。

大嶋: おすすめを3つあげさせていただきましたが、 私イチオシはNo.3の「ロロピアーナ ジランダー」です。
今回 「80sソフトスーツ」×「ラグジュアリー」ということですと、イタリーメイドの柔らかさとツヤのあるスタイルがうってつけかと思います。
Iさん: そうですね、2か3がいいかなと思いますが、2ではだめですかね。
大嶋: だめということはありませんが、おすすめしておいてなんですが、艶が強すぎるかなと。
せっかくデザインやサイジングにこだわりを持たせるところで、生地も強すぎると喧嘩してしまう気がして。
ソフトスーツというくくりで行くと、あまりにラグジュアリーすぎてしまうかと。
Iさん: そうですね。ではNo.3のものにしたいと思います!

ということで生地が決まりました。(再び大嶋考える)
そしてここからデザイン決めです。

デザイン決め

大嶋: じゃあさっそくデザインを決めていきましょうか。
Iさん: デザインは、いえ、デザインといいますかこんな感じにも憧れがあって。


(引用 ルーベン・ラーキン氏 Instagramより)

大嶋: おーっと。これはまた、雰囲気が変わってきますね。
「黒」×「ラグジュアリー」がご要望だったのはそういうことですね。
Iさん: そうなんです。これの両立は難しいですかね。
大嶋: 、、デザインとサイジングでご相談させてください。笑

そう、これです。私がたびたび考えていたのは。
某ブランドがお好きで、黒のラグジュアリーラインを着たいと考える方がソフトスーツ?なんだかテイストが違う気が。と思っていたんです。
するとあの写真。うん、つながりました。
それらを踏まえ、決めていったデザインがこちら。

◇上衣

基本デザイン W4×1

W4×1

ベント サイドベンツ
袖形状 4つ本切羽
腰ポケット レギュラー
胴裏仕様 総裏

◇下衣

タック アウト2タック
脇ポケット 斜め
ピスポケット 普通
裾口形状 ダブル4cm

ベースは、ルーベンラーキン氏のスタイルを。
そしてそこに80sソフトスーツの雰囲気を加えていきましょうということで、採寸へと移ります。

採寸

ソフトスーツを再現するには?

  • 最近多い肩パットを薄くはせず、しっかり入れて、肩幅を強調
  • 胸、腹回りに通常よりも多くのゆとりをつける
  • 裾が広がりすぎないよう雰囲気テーパード(逆三角形)気味に
  • 渡り、膝にゆとりをつけ、裾口巾にしぼりをつけたテーパード(ペグトップ型)
  • 上下ともに丈の長さ(着丈、股上、股下等)は〈長めに設定〉
  • ボタン位置、ゴージラインを低めに設定

さぁこれをどこまで再現させるのか。

YOSHIMURA&SONSのスラックスを履いていただき、サイズを調節していると、Iさんの様子が、、、

大嶋: Iさん、どうしました?なにか気になることでも?
Iさん: うーん、ちょっと当初の予定と変更しようかなと思い始めてきました。

おーーーっと。ここでまさかの軌道修正。 なんてことありません。お任せください、ということで続きをお伺いしました。

Iさん: 裾口が細いのがソフトスーツっぽいんですかね。
大嶋: そうですね、いわゆるソフトスーツの場合ですと
そのように着る方、作る方が多いです。
Iさん: そうですか~、うーん、ちょっとやめます。笑
大嶋: ほほう、ではどうしましょうか!
Iさん: こっちに寄せていきたいです。

大嶋: なるほど、ということはパンツも「ワイドストレート」なイメージですね。
ちなみに今日履かれていたスラックス、あちらなんか雰囲気どうですか?
Iさん: まさにそんな感じです。

実はご来店いただいた瞬間に、素敵なサイジングのスラックスを履かれてるなぁと思っていたところではありました。

それがこちら。

横からのアングルがこちら。

美しい長さと太さですね~
そしてタックはなんと「BOX+インタック+アウトタック」という変わったデザイン。

これに合わせた結果、YOSHIMURA&SONSでご案内できる「BOX+1本タック」にデザインを変更。

当然ですが、サイズの見直しが必要です。

パンツは太く、ストレートシルエットを。
ヒップが大きくなりすぎると、オーバーサイズとは違ったただただ余っているだけのしわが出てしまうため〈サイズをワンサイズダウン〉
などなど、、、

だ、大丈夫かな、こんな太いスラックス。。。と不安になりながらも採寸。
続いて上衣です。

ソフトスーツを再現するべく、胸の実寸よりも大きなものをお持ちするところ、Iさんとのご相談で、実寸と同程度のジャケットを。
肩は少し大きめにとって、ウエストは大きく絞りを入れずご案内。と思っていましたがここでふと、大嶋が提案。

大嶋: ちょっとね、ご提案があるんですが、Iさん、ご身長があるじゃないですか。
その場合、W4×1よりも、W6×2のほうがスタイルよく見えるとおもうんですよ。
ソフトスーツの雰囲気を出しやすいのは「W4×1」です。
ただ、そこから抜けだしてもいいなら、おそらく「W6×2」がIさんにはお似合いかと。
Iさん: うわ~、えぇ、どうなんでしょう。。。(携帯で画像を検索) 確かにそうかもしれないですね。。。そんな気がしてきました。
大嶋: 特に上衣のウエストや丈の部分で、「W4×1」はウエストの絞り位置が指定なしの場合、他より低くなります。
そうすると、Iさん足が長いので、絞り位置が腰のあたりに着て綺麗なシルエットにならない気がしてしまって。
丈もせっかく足の長さがわかりやすい股上の深さとシルエットなのに、上半身を敢えて長くみせてしまうW4×1はどうなんだろうと。
Iさん: はぁ~、なるほど。
そうですね、もう今回はソフトスーツは忘れましょう!
かっこよくお願いします!

ということで上衣もデザインが変わります。笑
ちなみにこの後、もう一度W4×1に戻り、最終的にW6×2になりました。
そんなIさんの葛藤の痕跡が採寸表に残されています。笑

では最終的に決まったデザインがこちら!

◇上衣

基本デザイン W6×2

W6×2

ピーク
ベント サイドベンツ
袖形状 4つ本切羽
腰ポケット レギュラー
胴裏仕様 総裏

◇下衣

タック BOX+1本タック
脇ポケット 斜め
ピスポケット 普通
裾口形状 ダブル4cm
Iさん: めっちゃ楽しみです。よろしくお願いします!
大嶋: 任せてください!

さぁ、履いていたスラックス、そしてルーベン・ラーキン氏をYOSHIMURA&SONSに降臨させることができるのでしょうか。

タイトルがソフトスーツ?だったのはこういうことです。
テイストがずいぶん変わり、【デザイナーズスーツ】のような素敵な注文でしたね。

にしても、180㎝を超えるIさんがあのシルエットのスーツを着たら、絶対格好いい。成人式で注目を浴びること、間違いなし。

注目されるかどうかは、私の腕にかかっている。
為せば成る、為さねば成らぬ、何事も。
やってみせます。


ということで、今回の「お客様いらっしゃ~い」は以上です!

出来上がりがどんなものなのか。
果たしてIさんはご満足いただけるのか、こうご期待です。

最後までご覧いただきありがとうございます!
次の更新もお楽しみに!


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