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1930年代風スーツ(シングルノッチ衿)完成です!
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そろそろ全国各地から桜の開花宣言が聞かれるようになりましたが皆さんお住まいのところはいかがでしょうか? 当店のある東京千代田区ではやはり皇居の千鳥が淵から英国大使館辺りが桜の一番の見所。 花粉症の社員が多い当社ではなかなかこの時期お花見は出来ませんが、行ける人は是非どうぞ。 さて、 話が冒頭から少し話題が外れてしましたが、先月一足早く春夏物のスーツを...ということでご注文いただきましたTさんのスーツ(1930年代風スーツ)がようやく仕上がりました。 |
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・・・というスーツの3要素(素材・デザイン・縫製)の全てを1930年代風にまとめ上げたのが今回のご注文の最大のポイントでしたが、さて仕上がりはどのようになったでしょうか? それでは早速いくつかポイントを絞ってご紹介しますと。。。 |
■ まずは全体像から・・・ ■
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全体は前述の通り普通のシングルノッチ衿。 普通のスーツと1930年代風の大きく違うところは後者の衿幅が非常に広いこと。 そして、ややタイトフィットな所です。 (タイトフィットかどうかはTさんのご試着頂いた姿の画像がないため分かりにくいですが、第2ボタンの周辺に柔らかに絞り込みが入っているのが陰影から分かるかと思います。) 衿幅についてはアップの画像を見ると分かりますが、通常Tさんの体型でしたら8.5cm位の衿幅が普通であるのに対し、今回のご注文は衿幅10.5cmですからかなり太いです。 |
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■ ディテールは・・・ ■
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クラシコ2仕様である以上、やはり仕立てにはこだわっています。 ↑左側の画像だけでもその片鱗が垣間見れます。 例えば・・・ バルカポケット・・・胸のポケットの下側が柔らかくカーブしていると共に上側もややきつめに傾斜を掛けました。 着用したときに、胸の厚さと胸ポケットのカーブが違和感なくマッチします。(今回は通常のクラシコ仕様のバルカポケットより意識してややカーブを強めに付けました。) 衿のロール感・・・この辺は生地の影響もありますが、本バス芯を使ったこともあり柔らかい立ち上がりが構築できました。 胸板に自信のない人はこういった形で衿をフワッと立ち上がらせると胸の薄さをカバー出来ますのでオススメです。 その他クラシコ2仕様専用のディテールもありますが、ご興味の方は前編の「いらっしゃ〜い」をご覧下さい。(本稿ではセールス色を出したくないため割愛します。) |
■ 意外と見落としがちなパンツ ■
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こちらもディテールに関することかも知れませんが、今回はちょっとパンツのシルエットについて詳しく解説します。 今回ご注文時には1930年代風スーツはボトムが太いと言うことで次のようなサイズで仕立てました。 前述しましたが、数値からも一目瞭然ですが、股上が深く、シルエット全体が太いのが特徴的です。 |
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ではこれを画像にしてみるとどうか... そこで今回は仕上がりが分かりやすいようにTさんと近い同じウエストサイズのパンツで比較画像を撮ってみました。 濃紺のパンツが最近人気の美脚パンツ。 1930年代風との違いは次の通りです。 特徴を一覧表にするとこんな感じです。 |
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・・・皆さん、画像をご覧頂いていかがでしょうか?
ワタリ(太股)から裾口にかけては上に置いた美脚パンツがいかに細く見えるか、一目瞭然ですね。 美脚パンツ、、、スッキリ見えます!(あっ!美脚パンツの宣伝ではなかった!!) 次に、見落とされがちな股上についてチェックしてみましょう。 画像は、股の付け根の部分を同じ場所に合わせた2着を重ねてみました。(上:美脚パンツ、下:1930年代風パンツ) |
ご覧頂くと、どうでしょうか?
下に置いた1930年代風の方が、全体に股上が深く、画像左側(パンツで言う前側)が特に股上の深さに大きな違いがありますね。 両者で何が違うかというと、、、 それは 前股上と後ろ股上のバランス。 美脚パンツ(濃紺の方)が前股上で-1.0cm浅く、後ろ股上で+0.5cm深くしているため2着を重ねると美脚パンツの方がナナメになって見えるのがお分かりかと思います。 しかも1930年代風パンツは後ろ股上を深くした美脚パンツ以上に、更に全体の股上が深いなんて... なかなか面白い比較ですが、これが美脚パンツのヒップアップ効果であり、それと同時に1930年代のスーツの股上が今と比べてとても深いことを顕著に示しているのです。 どうですか?なかなか好対照の2着ですね。 (皆さんなかなかここまで比較したことはないでしょう!?) |
さて、
こうして1930年代風スーツが完成しましたが、画像を撮って自画自賛していても仕方ありません。 ご注文者のTさんにお納めしなくては。。。 そこで早速スーツの仕上がり連絡を差し上げて、配送することに。 本当はご試着にお越し頂きたかったのですが、Tさんはリピーターですので一刻も早く手に入れたかったのでしょう。今回はお送りになりました。 お届けして、待つこと1日... う〜んなかなかTさんからご感想メールが来ないな〜? そこで私としたことがどうにもTさんのご感想が気になり、ついついこんな「いかがでしたか?」メールを出してしまいました。 (最近でこそ直接ご担当するお仕立が少なくなってきましたがやはり自分がお受けしたご注文はお納めするときは全ていつでもドキドキです。) |
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Tさん、急かしているようで申し訳ありません。
...と思っていると早速Tさんからこんなご感想が・・・ |
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※1:白州次郎 第2次大戦前後を颯爽と生き抜いた人物。
兵庫県芦屋市の裕福な家庭に生まれ、英ケンブリッジ大学に学ぶ。 終戦後、吉田茂首相の元GHQとの交渉役に任ぜられるが、そのタフさからGHQに「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた人物。 私生活は 極めてダンディー、英国仕込みでファッショナブル。 晩年までポルシェを乗り回し、軽井沢ゴルフ倶楽部の理事長を努めるなど、その生き方に今でも共感を覚える者が多い。 う〜ん、Tさん過分なご感想をありがとうございます。(*^_^*) 白州次郎に憧れていたなんて、、、う〜ん、格好いい!! (白州次郎氏だと1930年代よりはちょっと後世代かな?) 1930年代風スーツは以前Webでご紹介してからかれこれ10件ほどのご注文を頂いておりますが、それぞれ皆さん思い入れが深くとても興味深いですし、1着1着お仕立している内に私も、30年代風スーツの精神というのでしょうか、奥深い物が少しずつ見えてきたような気がします。 どうぞこれからも時代に流されずご自身のスタイルを守り続けてくださいね。 それではまた! |