今シーズンのT氏のオーダー
2024/11/10
オーダー大好き人間のTさん、今シーズンもまたまたオーダーしましたよ!
奥さんには内緒みたいですけど、きっとバレルだろうなと思います。

早速今回のオーダーを紹介しますね。
今回のオーダーコンセプトは、、、?
「オンにもオフにも着まわせて幅広く単品コーディネイトが出来る」でした。

はて?と考えると、簡単そうで案外難しいお題ですね。
トップスはやはり、永遠(?)の定番「ネイビーブレザー」が良いかな、いや良いに決まっているとの独りよがりで紺ブレに決定!

それではと、素材を3種類ほど提案したところ、フラノ、ツイル、4PLYの中から、発色良し、ヘビーウェイト良し、面良しの三方良し(ちょっと違うかな?)でキャノニコのラインナップから、キャバリーツイルを彷彿させる「COVERT21μ」をセレクトしました。

パンツは、グレーのサキソニーフラノ辺りが当たり前コーデですが、既に持っているとのこと、ならばネクストベーシックコーデの白黒グレンチェックまたは白黒ハウンドトゥースはどうだ、と切り込んだところ、、、
「グレンチェックは持っているけど、ハウンドトゥースは無いからいくつか勧めてくれる?」との返答でした。

こちらは最初に勧めたマーリングエヴァンスのでっかい千鳥格子が即気に入ってくれました。聞けば以前、気に入っていた大きめの千鳥格子のパンツを、頻繁に穿いていた為変色してしまい、泣く泣く廃棄した悲しい過去が有ったそうで、この生地に出会えて本当に喜んでいました。

肝心のスタイルは、ここ最近アメトラに傾倒していたのを少し路線を変えて、ブリティッシュトラッドにしたいというので、紺ブレは、シングル2個釦、スラントチェンジポケット付き、サイドベンツで久々の金ボタンを外注。

パンツはツーインタック、ウォッチポケット付き、ベルトレスにしたつもりがループついて仕上がって来ました。Tさんの指示もれでした。指示もれと言う点では、もう一つあって、なんと紺ブレの裏地のセレクトを忘れていました(泣)。

だから仕上がってきたのは、表地の色に合わせた紺無地、まぁ超ベーシックでコンセプトにはあってますが(苦笑)。

受け取りと同時に、今度は一目ぼれした生地でスーツをオーダーして行きましたので仕上がったらまたこの紙面で紹介しますね。

写真上段:キャノニコCOVERT21μ(マイクロン)のネイビーブレザー

写真中断:マーリングエヴァンスのハウンドトゥースパンツ

写真下段:上下着用のT氏決めポーズ


愉快な仲間!
2024/10/14
みんなで連休に、久しぶりの苗場合宿へ行って来ました!
コロナ禍を挟んで4年振りです。

合宿キャプテンの社長を始め、総勢6名のヨシムラグループ精鋭?が苗場へ上司部下、先輩後輩も無く?十二分に羽を伸ばしに行って来ました。

例年だと合宿所のリゾートマンションに着いて直ぐ卓球トーナメントを始めたりしていましたが、この4年のブランクで皆齢を重ねたせいか、はたまた旅の疲れのせいか(最年長の僕はヘイチャラでしたが?)風呂にゆったり浸かった後はビールで喉を潤しバタンキューでした。

翌朝眼が覚めると、さぁ、朝ご飯!
昨夜、買い出ししたハムに卵にお好み焼きやパンを皆(僕以外の皆でした、苦笑)で調理してホットプレートで焼いて、たらふく頂きました(西脇さん始めシェフの皆さん、ご馳走様でした)。

腹ごしらえが終わると、さぁ、佐野君が企画してくれた津南リゾートへいよいよ出発です。2台に分乗して苗場を出ると、スピードを出したくてウズウズしていた社長の精悍なマスク(僕は陰で極悪マスクと言ってます、汗)の黒塗りベンツが、僕の羊の皮を被りっぱなしのデミオを置き去りにして突っ走って行ってしまい、あっという間に影も形も見えなくなってしまいました。

先ずは名水百選の何とかいう?池で鋭気を養ってから、パターゴルフ大会ではアイスクリームを賭けて僕優勝(敢ちゃん、アイスクリームご馳走様でした)、ニジマス釣りでは高畑ちゃんが川に落ちるのを助けてセーフ、となかなかスリリングな一日でした。

合宿所のリゾートマンションへ帰る途中、社長行きつけの温泉で汗を流し(癒された!)、夕食の買い出しを終えディナーはバーベキュー。買い出しに行ったスーパーで今回参加できなかった河本君とばったり会ったかと思うほどのそっくりさんに出会えて、一同大興奮でした。

こうしてあっという間に2泊3日(ほとんど2泊2日)の最終日の朝がやって来て、またまた朝ご飯をたらふく食って寄り道しながら帰路に着きました(ああ、楽しかった!)。
仕事を忘れたひと時でした。

写真上段:苗場の早朝風景(空が澄んで綺麗だった)

写真中段:朝の散歩で川を見下ろしながらの一言(社長の釣りポイントを見る眼は確か)

写真下段:釣った魚を焼いて貰っている間、束の間のお昼寝(爆睡でした)


オーダースーツの極め本
2024/09/23
ようやく朝晩秋めいて来ましたが、日中はまだまだホットな空気に包まれちゃいますね!(しかし僕、、暑いの結構好きなんです、仕事的には、、、ですが)
そろそろ秋のオーダーを何にしようかと只今あれこれ店に揃った生地の品定め中(ほぼ決まり!です)。この時が、僕のみの時間でオーダースーツの醍醐味のひとつですね。

そんな時、手元にあったはずの「参考書」がいつの間にか消えて、、、
ずっと気に成っていた「参考書」がこれ、「MEN’S EX」の増刊号「本格スーツの大研究」です。
「そうだ!新入社員へ基本を教えるのに使っている間に、誰かの元へ渡って行ったかな?」そう思って店回りの時も気にしていたのですが、先日ビッグヴィジョン吉祥寺店へ訪問した際に、ようやく巡り合ったのでした。嬉しかったですね!表紙に透明カバーを掛けて、大事に大事に保存してくれてました(本当にありがとう!)

一体いつ頃の本だったかな?と裏表紙を見ると「2009年12月発行」と有り、僕が「オーダースーツのヨシムラ」へ入社した年と同じで「同期だったんだぁ!」と嬉しくなったのと、発売されてから15年も経っているのに中身の濃さが変わらないまま、さすが「MEN’S EX」です。

中身を紹介すると、「生地や生地ブランドについての基本知識」や「スーツのディテールについての基本知識(なんと100連発)」「スーツの縫製や構造についての基本知識」の基本の基がぎっしり詰まっているんです。更に、クラシコイタリアの歴史やサルト、スーツのコーディネイトなどなど。。。
新人スタッフの指導だけでなく、ベテランスタッフのコーチングにも超お役立ち。お客さんへ手渡れば、手強くなること必至のオーダースーツ教本、いや強本ですね。

借りたこの本は吉祥寺店へ戻すとして、自分の手元にも絶対に置いておきたい本なのでAmazonで探して新品を見つけて注文したのも束の間、紙一重の差で在庫が無くなったようでキャンセルのお詫びメールが届きました(涙)。次は中古本、新品より価格は高くなっていましたがヴィンテージ本に匹敵する価値ありで早速注文しました。

こんなオーダースーツの極め本、吉村グループのスタッフは必見、読者の皆さんにも是非一度目を通して欲しいと思います。

写真:ビッグヴィジョン吉祥寺店にて


トレンドセッター
2024/08/15
のんびりと休日を過しながら、やって来るAWシーズンのファッションに思いを馳せると浮かんでくるのは過去のコレクションだったり。
ここ数シーズン、コロナ禍の影響もあってでしょうか、あまりこれと言ったトレンドが見当たりませんね。

ファッショントレンドは20年サイクルとも言われるのですが、過去を振り返ると進化しながら巡って来ているようです。
此処は孔子さんの言葉に有ったように「温故知新」に従い、時代の火付け役となったトレンドセッターを思い出してみました。

すると30年前はどうだったかと言うと、、、
90年頃はマルジェラのグランジファッションでした。カウンターカルチャーとしてのデニムのイメージが強く、テーラードファッションに距離が有る様に思うのですが、古着のジャケットをよくリメイクしていました。残念ながら既に引退してしまいましたが、当時、メディアに出て来ないマルジェラを女性だと勝手に思っていて、後年、何かのポートレイトを見て初めて男性だと知りました(汗)。

同じ頃、プラダやラング、ジルサンダーが出てシャープで美しいカットの「ミニマリズム」が大きなトレンドとなりました。特にジルサンダーのシンプルなコレクションは日本のDCブランドにも良くコピーされ、マルイのビサルノでも良く似た服が登場していました。

00年頃はデザイナーに焦点が当たった「クリエイティブディレクター」がトレンド?でした。一足早くグッチのトムフォードがスタートして00年代にはグッチのブランドビジネスを大きく成功させたのは記憶に新しいですね。トムに次いで、エディスリマンの「ディオール」、マックィーンの「ジバンシー」、マークジェイコブスの「ルイヴィトン」など、老舗メゾンの息を吹き返させてくれました。

特に僕の好きなエディスリマンですが、「ディオールオム」で彼がコレクションしたタイトで色気のあるテーラードアイテムをカールラガーフェルドが、1年ほどでなんと40kgあまり減量して着たほど惚れ込んだ服だったのは今でも語り草になっています。

エディはその後も、サンローランやセリーヌのクリエイティブディレクターで有り続けて現在に至ってますが、エディスリマンの名を冠したコレクションを見せて、トレンド不在の閉塞感をぶち破って欲しいものです!

写真上段:マルタン・マルジェラ

写真下段:エディ・スリマン


二人のスーツ屋
2024/07/15
左の写真上段は、40年余り前のオギハラ君と僕が、狭山人工スキー場開きのイベント「ミッドナイトデュアルスキーレース大会」に出場した時の記念撮影です(結果は勿論、二人とも予選落ちでした、苦笑)。

下段の写真は、先日、オギ君がビッグヴィジョンを卒業する記念にと、二人だけの謝恩会でお店のスタッフに撮ってもらった1枚です。

オギ君とは、立教の後輩で4年下(だっかな?)。前職に在籍した僕がまだ若かりし頃、OB訪問で訪ねてきたのがオギ君でした(これが運のつき、笑)。早速、近くへランチをしに行って(確か寿司屋だったと思うですが)、卒業後の就職先をまだ迷っていたのを、後輩が欲しい僕が強く誘ったのをきっかけにスーツ屋の世界に入って来たのでした。

当時の流行は、サンローランなどヨーロピアン(と言っていました)ブランド全盛で、トレンドがトラッドでした。学生時代はお互いスポーツ馬鹿(オギ君は野球にホッケー、僕は柔道にラグビー)だったので、アメリカのアイビーリーグの影響も受けトラッド大好き人間だったオギ君と僕は会社のオリジナルトラッドブランドを着て昼は営業、夜は色々でした。

そんな二人の悩みは、学生時代、勉強しないでスポーツばかりやっていた為、尻がでっかく、腿周りが太かったので(今はホッソリしました、ホッ!)、毎シーズン、パンツの内股が擦り切れてしまい、時にはもったいないから洋服屋なのに修理して履いていました(これは僕だけ?格好悪)。

次にやって来たトレンドがDC(デザイナー&キャラクターブランド)。メンズビギやニコルが人気の世の中、僕らは会社のオリジナルDCブランドを着て闊歩していました。この服の良さはビッグホルムでパンツもユトリがたっぷり有ったので、内股の擦り切れが解消したのは本当に助かりました(でもやっぱりトラッドが好き!)。

前職は僕が先に飛び出して、その後をオギ君が追っかけて来た、のでは無く、僕がまたまた強くビッグヴィジョンへの入社を誘ったからでした(嫁さん怒ってたかな?)。程なくして入社後は東京駅のビッグヴィジョン店舗を担当して貰い、よく期待に応えてくれました(感謝!)。

それから10年程(?)、いろいろありましたが僕より先にビッグヴィジョンを卒業すると言い出し(ショック!)、引き留めはしましたが頑固なオギ君決心は固く、今回の卒業食事会と成りました。

しかし、執念深い僕がしつこく仕事へ誘った甲斐あって、ヨシムラグループの一員として戻ってきてくれることになり、彼の一流の接客技術や店作りを後進に伝えてくれることになったんです(ああ、良かった!)。


快・楽ジャケット
2024/06/23
タイトルの「カイラクジャケット」を発音すると、、、
ちょっと艶っぽい言葉にとられるかもしれませんが、、、
その心は、「快適」で「楽ちん」なジャケットと言う意味でした。

そんな訳で、リピーターのTさんが今シーズンオーダーした渾身の1着は、「センツァインテルノ」と言って、「中身が無い」と言う意味らしいのですが、パッドや芯地が無く、裏地も必要最低限だけの、殆ど生地1枚で出来ているジャケットとトラディショナルなパンツで組み合わせたセットアップスーツでした。

日本の蒸し暑い夏、快適にビジネスシーンを過ごしたいと言う要望からこのジャケットをお薦めした訳ですが、Tさんの希望は「高級感」「軽い着用感」「スポーティー感」「ニュートラディショナル」などなど見た目と着た感じから沢山の「欲望?」をぶつけて来たので、これなかなか難しいご注文でしたが、ハタと浮かんだのはビッグヴィジョンが今年のAWシーズン用に開発していた先述のニューモデル「センツァインテルノ」でした。

これ、従来の「楽ジャケット」や「エアジャケット」と違い、仕様や生地に「縛り」が無く、アップチャージ無しで注文できるコスパの高い、また夏にも最適なモデルでした。AWシーズンからとは言うものの、気の早いTさん、折角だからお試しに今作っちゃえ!と言うことで出来上がったのが写真の品です。

生地は英国物の「マーリング&エバンス」と言う中々通好みのブランドで、今回選んだのは「アンダイド」と言ってウール本来の発色を大事にして染色せずに仕上げたナチュラルカラーが「売り」の一品でした。

ナチュラルカラーに合わせる裏地は、遊び心のあるオリジナルのスカル柄をモチーフにしたキュプラ裏地で表地のナチュラルカラーに合わせて、敢て裏側のグリーンベースを使ってみました。

裏の仕様は、本当だったらアップチャージの大見返しが、今だけサービスだったのでそれにしてみましたが、標準仕様は背抜きや総裏で仕立ててくれるそうです。

以上、今シーズンのTさんの一着を紹介しましたが、これ着てビジネスで、プライベートで「カイラク」に過ごしてくれることと思います。

写真上段:センツァインテルノのセットアップスーツとイカした生地ネーム

写真下段:軽い肩まわりの仕様と悪戯心のあるスカルの裏地がチラリ


潮目が変わる
2024/05/25
先日、僕が気に掛けている素材展へ行って来ました。
何故気に掛けているか?と言いうと、、、

今、コロナ禍だった時の在宅ワークや高温多湿な温暖化を通して、オフィスウエアの変化が、特にメンズスタイルが地殻変動のようにじわじわとゆっくりから少しづつ加速しているのが物凄く感じられるんですよ!

先述の素材展ですが、大手繊維商社T社のカジュアル素材(ストレッチ系などの機能性素材やコットンや麻などのナチュラル素材)を扱う部門の2025年春夏物の展示会でした。
訪問するたびに来場者の人数が増えているのを実感すると同時に、何より提案している素材に今後のカジュアル化するオフィスウエア(従来のスーツスタイルが段々と変化して行く、どこぞのパジャマスーツのような)がイマジネーションされる機会でした。

一方、先だって開催された従来ビジネススーツの主役となっていたウール系の展示会では、目新しい素材が少なく、価格に重きが置かれ(低価格)、閉塞感のようなものを感じて会場を後にしたものでした。

温暖化の進む日本のオフィス環境では、政府が進めるクールビズと相俟って更に更にカジュアル化が進むであろうことが予測されます。

クールビズスタイルと言うと、スーツマイナスネクタイの単なる引き算スタイルが当初の主流でしたが、今はシューズはスニーカー、パンツはノンプレスのドローストリング、インナーはプリント柄のストレッツシャツ又はUネックのカットソー、トップスはアンコンジャケットが夏の定番になりつつ、今後は冬だって軽さはスタイリングのキーワードになって行くと思われ、従来のスーツは「一張羅」の役割へとフォーマル化して行くと思います。

今やオーダースーツ屋の当社でもドカジュアルと思われたドローストリングパンツを作るし、全くの布だけのアンコンストラクテッドジャケットやストレッチシャツも販売スタートしました。今後の課題は盛夏のパンツやトップスで、特にトップスはブルゾン、カバーオール、シャツアウターなどを製品化しようと思っています。是非、楽しみにしていて下さい。

「軽・薄・伸」の3文字が、2025年春夏物企画のイメージかな?!

写真上段:向かって右から、お世話になっているT社のN氏、岡山統括、佐野店長でした

写真中段:夏の羽織物として有っても良いカバーオール

写真下段:クールドッツを使用したドット釦のシャツ→これGOOD!


オーダースーツ屋のシャツ
2024/04/14
オーダースーツ屋のシャツと言うと、役柄で言えば主役はスーツで、シャツは脇役?なんて僕思っているんですけど皆さんはいかがですか?

ヨシムラグループの27店舗では、売上の概ねスーツやジャケットなどのテーラードアイテムが8割強、シャツは2割弱と言ったところからどうしてもそんな風に思ってしまいます。

一方で、シャツ一筋に30年、あのVANに在籍していたSさんが立ち上げた「メーカーズシャツ鎌倉」は、今でこそ価格は6,900円からですが、長いこと4,900円で頑張って、シャツウェアの裾野を大きく広げたのは貢献大ですね。

今でこそ価格は6,900円と4割の値上げになりますが、そこは創業者の後を継いだ2代目が品質とサービスを高め、しっかり「価値」を上げて今日に至っています。価格だけ上げても消費者はついて来ませんものね!

ヨシムラグループではシャツを7,500円から販売しています。メーカーズシャツ鎌倉より600円高いですが、そこは自分好みにカスタマイズできるオーダーシャツからと言うのも有るのですが、しっかり商品価値を上げる為、製造・販売がワンチームになって社員がアイデアを出し合って、デザインやサービスの向上に日々注力しています。

シャツやスーツなどのメンズドレスウェアは、長い歴史の中で既に「完成」されたものの為、衿や釦位置、巾や高さを数ミリ、数センチ変えるだけで服の表情が変わり、今までになかった魅力的なものになって行きます。

例えばこの春スタートしたシャツのニューデザイン「ドレスボタンダウン」は、オーダースーツのヨシムラ大阪店の河本君の「衿のロールに拘る」アイデアから、システムや工場、店舗を動かして実現したもので、こうしたアイデア発信がこれからも続いて行きます。

お客さんの価値観は多様だからこそ、「衣」の両輪であるファッション性と機能性に沢山のアイデアを貰いサムシング・ニューが生まれます。

ECショッピングも便利ですが、コロナ禍も落ち着き、改めて服を求める楽しさやトキメキをより感じて貰うには、リアル店舗でリアル素材を手に取りリアル接客を受けてもらうのも良いかと、そして衣食住の基本「衣」を高めて行ければと思います。

写真上段:ドレスボタンダウン

写真下段:メーカーズシャツ鎌倉本店


オーダースーツのチラッと現状
2024/03/10
円安を背景に、ほぼインポート生地に頼って原料高に打撃を受けているオーダースーツ業界とは反対に、コロナ禍も落ちついてインバウンドが押し寄せて恩恵を受けている百貨店アパレルが少しづつ業績を回復させているようです(良かった、ホッ!)。

オーダースーツは注文から納品までどうしても3、4週間の日数が掛かるので、短期滞在のインバウンドには中々利用されないのが現状です(7Daysオーダーというスーパークイック生産だってあるのに残念!)。

一方で、レディメイドスーツはバブっていた90年代にピークを迎え、その後減少傾向で3掛け強に落ち込んでいる現状のようです。出生数も年々減少して、直近では年間70万人余りと言う数字に、これまでの消費の主役たる団塊ジュニアの年間200万人位と比較すると、あまりに少ない出生数に驚きより将来への不安が大きくなるのですが、、、頑張らねば!

スーツ業界については、世界一の販売数を誇る郊外紳士服専門店も国内シェアの大きさ故に苦境に立たされており、レディメイドスーツは今後持ち直さないだろうとの予測の基(1世帯当たりのスーツ価格は2000年10,000円⇒2022年3,299円:日経新聞)、昨今我々オーダースーツ業界へどんどん参入してきている現状です。

郊外紳士服専門店最大手のA社は約600店舗の既存店内で売上100億を目指してオーダースーツの販売を開始、これは相当な脅威になると思いますし、紳士服専門店大手のK社では一足早くオーダースーツ専門店舗Dを路面やデベロッパー、百貨店のインショップで既に60店舗ほど展開している模様で、レディメイドスーツのように大量の在庫を持たず、店舗面積も比較的狭小で運営できるメリットを考えると、今後さらにオーダースーツ市場へ新規参入者が増え競争が激しくなる現状です(実際、全くの異業種からの参入もあり熱い宣伝合戦を繰り広げています)。

先行している我々が事業を順調に進めるには、色々(ヒト、モノ、カネ、情報など)とありますが中でも僕が思うに『顧客が満足してリピーターになってくれる質の高い接客の実現』、これが一番の成否を決める要素だと思っています。

スタッフの皆さん、現状を突破する為、日々心して共に努めてまいりましょう!


後工程はお客様!
2024/02/03
今日は久しぶりに山形や秋田の工場を1泊2日で訪問しています。
前回訪ねたのは8年余り前のことなので、山形工場のIさんや秋田工場のIさんと電話で待ち合わせ時間と場所を打ち合わせたものの、記憶力の怪しい僕としては名前と顔が一致するか少々不安が有ったのですが、二人の方がずっとしっかりしていて無事出会う事が出来ました(と言うより見つけてくれました、笑)。

一日目は山形工場へ、、、
心配していた雪も少なくスムーズに工場へ到着。ここでは上着とベストを縫製しています。今回の訪問目的は春からスタートする某取引先のお客様宅への直送にあたり、発送前の最終検査の体制作りでした。早速工場内へ久し振りと言うことも有って、工程の始めから見て行くことにしました。このとき、標題の「後工程(あとこうてい)はお客様」意識が個々の工程担当者に根付いているか?この意識の浸透具合で最終検査の苦楽が左右されるんです。

2日目は秋田工場へ、、、
朝から深々と雪が降り積もり工場周辺は見事な銀世界になっていました。この日は先述の某取引先商品担当責任者のYさんに同行しての訪問。ここではスラックスを縫製しています。先ずは全体を一巡した後、気に成る工程をYさんとは別行動で検証していました。Yさんから特に問題点の指摘などは無かったのですが、僕が気に成ったのは糸余りや糸くずの処理でした。この点、「後工程はお客様」の意識が工程担当者に足りず、検査担当者の手を煩わしていました。工場責任者のIさんも問題意識を持っており、一層の改善に努めることを約束して別れました。

「後工程はお客様」とは?
縫製工場では沢山の工程を分業しているため、自分が担当する工程を、後に控えている工程を担当する人達が効率よく仕事が出来るようにする為、自社内であっても「後工程の人はお客様」という意識を持ち、品質管理に配慮して個々が担当している工程をそれぞれ全うすると言う概念です。

一方で、配慮に多くの時間を費やすことは本末転倒になりますから、ちょっとした工夫を施すことで充分です。要点を箇条書きや図にしてまとめたり、注意点やスローガンをメモで残したりして、小さな配慮を積み重ねることで、生産性の向上へ繋がって行くと思います。そして、信頼関係が強まって仕事のバトンタッチがきっときっとスムーズになると思いますよ!

写真上段:秋田工場前の雪景色

写真中段:緊張感を漂わす?取引先商品担当責任者と工場側責任者

写真下段:商品出荷前の最後の砦、最終検査に集中する担当者達



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