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〜大阪編〜 カナダのOさんのコートの出来上がりは?
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昔から関西では、東大寺のお水取りが終われば春がやってくると言われていますが、さながら今ではホワイトデーが来れば春がやってくるというところでしょうか?(うーん私も頭が痛い) そんな春めいてきたこの頃ですが、今頃の季節から活躍してくれるのが文字通りスプリングコートです。 という訳で、今回はこの時期に相応しく前々月にご紹介したカナダはバンクーバーにお住まいのOさんのスプリングコートが仕上がってきましたので、早速ご紹介したいと思います。
それでは、出来上がりの画像をご紹介する前に、コートの引き取りについてOさんから頂いたメールをご紹介したいと思います。 立春を迎え日本では小春日和の暖かな気候が続いていた時期、Oさんの本拠地雪と氷の国カナダの気候はどうだったのでしょうか? |
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メールを拝見すると、Oさんもコートの仕上がりをとても楽しみにされてるようですが、私も一年ぶりのOさんとのご対面をとても楽しみにしていました。 そして、3月のとある日ついにOさんがご来店されたのですが、久しぶりにお会いしたOさんは相変わらず爽やか系のイイ男。 妙に照れてしまいました。(...笑) 一年ぶりの再会で会話も弾みましたが、おっとっと、忘れてならないのが肝心のコートのお渡し。 前回のスーツ同様、生地は私にお任せでしかもデザインはメールでのやりとりだけという環境の中 出来上がってきたコートとOさんのご対面の瞬間です。 Oさん曰くオーダー後のメールでは 「今回の使用はちょっとやりすぎたかも知れません。。。」とおっしゃっていましたが、実際の仕上がりを見て「おっ コレは素敵ですね〜」と喜んで頂きました。 「日本と違って、さすがにこの生地ではバンクーバーでは天気の良い日にしか着れないですが、真冬用の厚手のコートはショート、ロングと持ち合わせているので、これぐらいの厚さだとワードロープも充実します。」という嬉しいご感想もを頂きました。 ふぅ〜これで皆さんにも出し惜しみすることなくご紹介できますね。 ...それでは、画像と合わせて出来上がりをご覧下さい。 |
■ 生地は ・・・ BF305(児玉毛織製クリスタル キッドモヘア) >>>通常は礼服地として主に使用されますが、耐久性・撥水性に優れスプリングコートにも充分使えます。 私自身も出来上がりを見て「この生地を選んで正解だったと納得しました。」 ■ 全体のデザインは ・・・ シングルチェスターコートで、衿はステンカラーでシャープな印象に。 ■ コート丈は ・・・ 102cm >>>当初Oさんは膝下の丈をご希望されていましたが、それでは少し長すぎるということで、7分丈ぐらいにさせて頂きました。 ■ シルエット的には ・・・ 全体的にスリムな感じに >>>ジャケット無しでも羽織れて、ボタンを留めなくても腰回りがダボつかないぐらいスリムな感じをご希望されていましたが、アンダーに厚手のセーターを着込んでも大丈夫程度にしてみました。 ■ その他細かなデザインは ・・・ ○フロントボタン打ち抜き >>> 打ち抜きはシャープな印象を与えますね。(対して比翼はマイルドな落ち着きが売りです) ○前釦5ツ ○センターベント ○ 胸ポケットなし >>> 本来のチェスタータイプには付いていますがカジュアルさを表現するため今回は無しにしました。 ○ 腰ポケット >>> 両玉斜めフラップ付きハッキングの角度きつめ >>>フラップ付きではこれぐらいの角度が限界ですが、これでなかなかシャープな雰囲気になりました。 |
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腰ポケット
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袖
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裏仕立て
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○ 袖 >>> 本開きで重ね5個ボタン ○ 裏仕立て >>> 総裏丸台場裏地の色は スカイブルー(カナダの空もここまでは青くないかな?) ■ 更にOさんならではのこだわりはというと・・・□ ○ 首元の第1ボタン以外の全てのボタンホールを赤色に ○ 同じく腰ポケットの玉縁も赤で ○ 更に腰ポケットのフラップの裏地、内側のチケットポケットの玉縁まで赤色という徹底的なこだわりようです。 ○ 背バンドは両端ボタン留めタイプ >>>画像でも分かるように緩くもなくきつくもなくの微妙なさじ加減です。 ○ 総ステッチ ★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ ...というところで、無事Oさんと共にコートはカナダへ旅立ちました。 仕上がりのイメージは「スタンダール」か「氣志團」かと言う感じですが、我ながらOさんのイメージをうまく表現できたと思います。 ところで前回の『お客さまいらっしゃ〜い』でも少々ご案内いたしましたが、コートはスーツと違って年間でも受注が短期間に集中してしまうため、縫製工場としてはハイシーズンに入ってしまうとオプション対応などバラエティに富んだデザインは手間が掛かり生産性が低下するためお受けできないのが現実です。 私達も顧客志向を目指したくても、さすがに10月〜2月までの5ヶ月間で1年分の稼ぎをしなければならない彼らの現実を考えますと交渉するトーンがどうしても落ちてしまいます。 今回のOさんのコートは生産最盛期(11月〜1月)をはずれていた為、工場のラインに空きがあり割と個性的なデザインにも関わらず すんなりと引き受けてくれました。 ですが、先に申し上げた事は当社に限らず業界の定説ですので、 『○○のようなデザインで世界でひとつだけのコートを是非! 』 ...とお考えの方はこれからの時期が狙い目ですのでご相談下さい。 ただし、来シーズンまでタンスのなかで寝かせる覚悟はいりますが。。。。 それでは皆さんごきげんよう! |