|
|
カナダからの手紙
|
大寒も過ぎましたが、もうしばらくこの寒さは続きそうですね。 今冬いちばんの寒波襲来で凍りつきそうな寒さに、私のピュアアンゴラのコートはお陰様で威力を発揮しています。 |
|
(※なにそれ?という方はどうぞこちらを!梅春スーツと真冬コート)
|
|
実は先日も、ご来店のお客様から 『 Webに出ていたコート姿そのままの格好で、清水さんが信号待ちしているのを見た! 』と言われてしまいました。(笑) 油断大敵ですね、変な格好は出来ません。 さて... そんな話はひとまず置いてと、寒さ厳しきおり北の国カナダから久し振りのお便りを頂きました。 カナダからの手紙と言えば、そう、以前にも一度この『いらっしゃ〜いコーナー』でご登場いただいた、バンクーバーに在住のOさんです。 厳冬期を迎えた今、雪と氷の国カナダからとはジャストタイミングなので早速、そのお便りを皆さんにもご紹介したいと思います。 ★ ご参考 ★Oさんにはこちらでご登場いただきました。 いらっしゃ〜いコーナー >>> カナダからのメール ありがとう!コーナー >>> スーツはカナダへ |
|
件名:カナダのOより | |
前略、昨年の今頃にスーツをお願いしました、カナダのOです。 その節は大変お世話になりました。おかげ様で仕立てて頂いたスーツは大変気に入っており、大事に着用しています。(ありがとうございます。By Shimiz) さて、この度また3月に一時帰国することになり今回はコートをお願いできればと思いメールをさせて頂きました。 可能な場合、今回も生地に関しては、清水さんにお任せという事になるかと思いますが、何か良い生地が在庫でありますでしょうか? コートをオーダーするには、ちょっと時期が遅すぎるかと思いますが・・・ 現在考えているのは、春先にかけてジャケット無しでも羽織れるような膝下丈のタイトなシングルコート。 生地は起毛系ではなく、光沢のある物で、黒無地。 それ程厚手でなくて構いません。(適当な表現が見つからないのですが、学ランや礼服のような生地) このような生地を使ったコートの価格帯についてご教示頂けませんでしょうか。 (ちなみに、インターネットでちょっと調べたのですが、日本毛織の黒バラッシャからロロピアーナの黒無地位までの幅で...) よろしくお願い致します。 |
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | ||||||||||||||||||||||||||
それほど厚手でなくてもよいとのことで、3月以後のご使用を考えればスプリングコートタイプがベストかも知れないですね。 『いやっ、ちょっと待てよ、Oさんがいるのは遙か遠くはカナダ、日本よりもかなり寒いはず』 と言うわけで、Oさんお住まいのバンクーバーは一体どれくらい寒いのか、念のためちょっとネットで検索してみることに。 |
||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||
う〜ん、あちらは3月になってもなかなか暖かくならないようですね。 そうなれば素材探しもおのずと日本でいうスプリングコートタイプよりかなりしっかりした素材で考えた方が良いという考えに変わってきました。 |
Oさんがご希望される条件 | |
・ 黒の薄手のウール地 ・ 光沢がありシワになりにくい ・ 表面がクリアタイプ この3つの条件をクリアする素材を私なりに探してみたいと思います。 ... と言うわけで、ひとまず生地探しの方は宿題として数日間の猶予を頂き、先にデザインやサイズをOさんを思い浮かべながら具体的にご提案してみました。 |
|
件名:ご連絡ありがとうございました。 | |
Oさん こんにちは。オーダースーツのヨシムラ(清水)です。 昨年はこちらこそ色々とお世話になりまして有難うございました。 本年も引き続きよろしくお願いいたします。 さて、昨日はコートについてのお問い合わせを頂きながら、その日の内にご返事が出来ず申し訳ありませんでした。 遅ればせながら、私なりにOさんのご希望の素材やデザインを考えてみましたので、どうぞご参考にして頂ければ幸いです。 まず、デザインにつきましては膝下のタイトなシングルコートをご希望とのことで、それでは下記のようなスタイルをお勧めいたしたいと思います。 ○ シングルチェスタータイプ(スーツのような袖付け) ○ 比翼(前釦が隠れているタイプ) ○ ポケットはフラップ付き ○ センターベント ...とこのような感じではいかがでしょうか? 次にコートの着丈ですが、膝下をご希望とのこと、イメージとしては少し長いかなという気がしないでもないです。 どちらかと言えば、膝より上の丈が良いかと思いますがいかがでしょうか? もし、お手持ちのコートで丈を計っていただけるようでしたら、上着丈と同様の要領でご連絡いただければと思います。 なお、肝心のコートの生地ですが、コートにも対応出来ると言えばロロピアーナの黒無地はやはりシワという点で疑問符がつきますので、おっしゃるように礼服やニッケの黒で考えてみたいと思います。 価格につきましてももちろん素材次第ですが、50,000円台で仕上がるようにさせていただきます。 以上、遅くなりましたがご案内させていただきました。 また、他にもご不明な点などがございましたら、どうぞご遠慮なくお申し付け下さい。 私の方も、コートの生地をある程度目星をつけておきたいと思います。 それでは、よろしくお願いいたします。 オーダースーツのヨシムラ 大阪SHOPMASTER清水 康男 |
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
コート丈の好みは人それぞれ。と言ってしまえばそれ迄ですが、やはりそれなりのサイズというのがあります。 スーツがタイトサイズが主流のように、コートも今や7分丈のようにショート化しつつあります。 というよりも、オーソドックスなサイズに戻りつつあるといえるでしょうか? かつてのソフトスーツ全盛のころのように、ヒザと足首の真ん中までくるようなサイズは明らかにオーバーサイズです。 お好みは別としてひとまずの目安としては 身長170cmでコート丈は105〜110cm 身長175cmでコート丈は110〜115cm 位とお考え下さい。 (※ただし、既製品はこの限りではありません。リスク回避のためサイズ調整しやすいように大きく長く作ってありますので。。。) そして、Oさんから提案に対するご返事が早速やって来ました。 |
|
件名:ご連絡ありがとうございました | |
清水さん 早速のご回答ありがとうございました。 今年は3月6日前後に帰国予定ですので、その時に取りに伺わせて頂きたいと考えております。 日程的に、問題ありませんでしょうか? コートの基本的なデザインは、清水さんのご提案のように、 ・シングルチェスタータイプ ・フラップ付ポケット(ハッキング) ・センターベント ...でお願いします。ただ、比翼ではなく打ち抜きでお願いします。 全体的なイメージとしては、ビジネス用ではなくジャケット無しでも羽織れ、ボタンを留めなくても腰回りがだぼつかず、裾があまり広がらないタイトなものと考えています。 サイズに関しては、前回のスーツとほぼ同じで、着丈の方は110cm程度を考えていましたが、長すぎるでしょうか? 長めのデザインが希望ですので、もし希望した生地で、長すぎるコートはおかしいようであれば他の黒無地の生地でも構いません。 ちなみに、今持っているコートは着丈130cmのチェスター、120cmのトレンチ、90cmのバルカラー(比翼)です。 また、実は1番重要な衿型に関しても迷っていまして清水さんにアドバイスを頂きたいのですが、今回はノッチ以外にしようかと考えています。 立体的な衿がいいなと思っているのですが、腰付きのシャープな感じのステンカラーというのは可能でしょうか?(ちょっと抽象的で分かりにくいかと思いますが、何か画像を見つけたら次回お送りします。) その他の希望は以下の通りです。 ・打ち抜き、前釦5個(ステンカラーの場合) ・腰ポケット:両玉斜めフラップ付き(角度きつめ、60度ぐらい) ・フラップ裏地色 ・腰ベルト(バックのみ飾り) ・裏:総裏で色はスカイブルー ・丸台場 ・ダーツ(フロント、バック) ・総ステッチ ・袖:セミフレアー ・本開き重ねボタン5個 ・ボタンホール色:ブルー ・胸ポケットなし ・内ポケット:左右、名刺入れ(実際には眼鏡を入れます)右、ペン差しはなし (かなりオプション料がかかりそうですがね。。。) さらに、質問です。(それほどこだわってはいませんが…) 1.衿裏側の生地(地衿?)の色をブルーもしくはグレー等にする事は出来ますか? 2.腰ポケットのフラップの形は変更可能ですか?(ちょっといい感じのフラップの形をしたコートを見たので…) 3.腰ポケットの玉縁の生地変更は可能ですか?(例えば、裏地色と同じブルーがアクセントとして、チラッとのぞくようなイメージなのですが、当然裏地生地では、耐久性の問題で無理かと思いますので、何か適当な生地はありますか?) お忙しい時期だと思います。急ぎませんので、お時間がある時に。 |
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
う〜ん。コートとしてはなかなか難易度の高いご希望も入ってますね。 スーツはクラシコという結構手の込んだディティールも標準仕様となりつつありますが、コート工場は季節性もありそこまではバラエティに富んだオプションがないのが実情で、お金ではなく型紙や技術力の問題です。 ただ、Oさんのコートにはせる思いも良く分かりますので、早速工場とデザインの打ち合わせやら素材の手当やらと動き周り、Oさんと数回のメールやりとりの後生地とデザインが次ぎのように決まりました。 (本当はデザインの決定までの間に何通かのメールのやりとりがあるのですが、あえて割愛させて頂きました。 ですので、当初ご希望されていた内容と若干違っている点もありますがご了承下さい。) ■ 生地・・・BF305(児玉毛織製クリスタル キッドモヘア) >>> 耐久性に撥水性とコートに必要とされる機能も持ち合わせている、優れた礼服地ですが、キッドモヘア混の上品な光沢がOさんのご希望にもピッタリです。 ■ 基本デザイン・・・シングルチェスターコート ● 衿・・・ステンカラーでシャープな印象に >>> 衿についてはシャープな印象でと参考画像も頂戴していました。 どうやらこれは、衿が開いた状態で立体的でシャープな印象ということと、衿全体の雰囲気としては、レギュラーYシャツの衿に近いステンカラーで、衿台が多少高めで、襟先は丸みなく、襟の開き角度が狭めとのことです。 あいにく衿台の高さまでは指定できない旨をお伝えしたところ、以前当社レディースサイトでご紹介していたピンクのスプリングコートがイメージに近いということでした。 ● フロントボタン・・・打ち抜き、前釦5個 ● 胸ポケットなし ● センターベント ● 腰ポケット・・・両玉斜めフラップ付き(ハッキングの角度きつめ) ● フラップ裏地 赤 ● 袖・・・本開きで重ね5個ボタン ● ボタンホール・・・首元の第1ボタン以外の全てを赤色 ● 裏仕立て・・・総裏で裏地の色はスカイブルー ● 丸台場 ● 背バンド・・・両端ボタン留めタイプ ● 総ステッチ ● コート着丈102cm ● 全体的にスリムに |
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★ | |
Oさんとのやりとりは、コートの打ち合わせの合間にバンクーバーの様子などお聞きし、とても楽しく(羨ましく?)やらせていただきました。 バンクーバーのWebサイトなど見ているだけでうっとりし、行った気分も味わえたお仕事になりそうです。 おっと、とはいうものの、コートが出来上がるまではそんなのんびりした気分ではいられません。 ご指定が多ければ工場もミスが多くなります。 Oさんに合格点を頂くまでは気が抜けないのはもちろんのことで、3月にお目に掛かるのを楽しみにしたいと思います。 それでは出来上がりを乞うご期待! |