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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 白と黒 Part 2 
今年は梅雨入りが各地とも早いとか...
湿気はスーツの大敵ですが、それでも晴れた日には新緑も鮮やかで、涼しい風が吹き抜け、雨さえ降らなければ1年中で最も爽やかな季節かも知れないですね。
それだけに、本格的なクールビズシーズンを前に今が夏物のスーツを着るには旬の時期と言えそうです。

そこで今回ご紹介するのは以前好評を頂いた?「白と黒」シリーズの第2弾として、夏の定番ともいえる素材で制作したスーツをご紹介します。
ちなみに前回の「白と黒」はこちら(07.04お客さまありがとう)で掲載中です。

前回は二人のお客様で「白と黒」でしたが、今回はYさんひとりのお客様のご注文で、「白と黒」と色目が見事に分かれましたので、そのあたりもどうぞご覧下さい。
題して「白と黒 Part 2」(安易なタイトルで恐縮です)

■ 白のスーツ ■
□ 生地・・・G9032 児玉毛織モヘア混紡 □

>>> オーソドックスな白黒のグレンチェック柄 です。
このグレンチェック柄など英国調の柄はイタリア物全盛の影になり、長く冷遇?されてきたのですが、ようやくここにきて、スポットライトが当たり始めました。

元々グレンチェックはグレナカートチェックというのが本来の呼び名でして、その名のとおり、GLENつまりスコットランド地方の峡谷の意味で、アーカートという場所で織られたというところから、その名が付きました。

今やメンズの流れはイタリアから広がり英国+米国へと移りつつあります。
そのお陰でこのような英国の伝統を受け継ぐ柄が復活してきたのは、オールドファンにとっては心強いい限りです。
そこで、英国調の流れを受けて、今回のサンプルでは白黒のグレンチェックは3タイプをご用意しています。

これだけありますと、画像の上ではなかなか判別し難いのですが、今回ご注文のG9032 は左の一番上となります。
その他としてはG9053日本毛織真ん中、そしてG9105ロロピアーナ左の最下段となります。

それ以外に店頭ではサンプル外として右側の2色などもご用意しています。
ベースはいずれも同じ柄とは言え、それぞれに糸使いや織り方など特色があり、微妙に風合いなど異なります。

□ 裏地・・・キュプラ黒 □

>>> 白黒の表地に裏地は何を合わせるか?
これは結構単純ですが悩ましい問題でして、表地の色目だけを見れば明るめのグレーなどを合わせるのが違和感はないのですが、ここは思い切ってでお勧めしました。
文字通り「白と黒」を地で行ったのですが、コントラストの鮮やかさの効果はいかがですか?
おまけにポイントステッチも白と、あくまでも無彩色にこだわりました。
□ コーディネート・・・シャツ&タイ □

>>> シャツの場合、白黒は無地ならば何にでもマッチしますが、ここは王道の白シャツで合わせました。
また白シャツの場合、より清潔感を演出してみせるのに忘れてならないのが、袖先チョット見せのテクです。
1センチだの1.5センチだのと細かい点はこの際おいといて、要するに袖から少し白シャツを覗かせるだけで、全体を都会的なシャープさに印象付けます
従って、長めの袖丈はこの柄には合いません、袖丈短めがキーワードです。

また、タイはその白シャツに合わせて黒を結んでみました。
この時期ならば、ニットタイの黒など定番の組み合わせとしてお馴染みですね。
つまり、この1着の中で、ご覧のように白黒ワールドが完結しています。

<< セットアップ >>
グレンチェックはジャケットのみですとボトムに黒のパンツを合わせて、パンツのみですとトップスには紺ブレなどを合わせてみてもと、着回しには使い勝手があると昔から定評のある柄です。
スーツ1着あれば上下バラバラで色々なコーディネートが楽しめるので、さながら流行りのエコの代表でしょうか。

■ 黒のスーツ ■
□ 生地・・・G9093 英JOHN FOSTER社製 ウール100% □

>>> さながらキッドモヘアの高率混のような質感に溢れた、代表的な英国素材です。

日本人は夏物の和服地がそうであるように、触った時のじゃりじゃり感に清涼感を感じるようです。

そこでこの素材なのですが、日本の夏にこそ相応しい通気性と、手に取った生地の肌合いは日本人好みのシャリ感に溢れています。
<< ここはご注意 >>
黒はややもすると着用していますと礼服と見間違われるのですが(特に中高年の皆さんは)、そこで礼服と差別化を図る為、下記の2点などで区分けしています。

色目・・・・礼服専用地は同じ黒でもしっとりとした、墨のような抑えた黒が多いのが特徴です。
これは比較しないと分かりにくいのですが、横へ並ぶと結構はっきり分かります。

仕様・・・・衿のステッチや後ろのベンツなど飾り立てたり、実用を目的とする仕様は、礼服には用いられる事が少なく、これらなどで礼服とそれ以外とを色分けしています。
特に衿のステッチなど生地の表面感からハッキリと目立ちますので、お葬式などでの着用は控えられた方が無難です。
□ 裏地・・・キュプラ □

>>> 表地の黒に対して、ちょっとサプライズ感のある鮮やかなマリンブルー(Z530-09)の組み合わせとなりました。
いかがですか?
黒とのコントラストにこだわってYさんに提案し、採用して頂きました。

「トロピカル」という名の夏物の生地がありますが、その名のような「南国」をイメージさせるような組み合わせと自画自賛しています。

また色の鮮やかさをより表現する為、夏物でありながらわざと総裏にし、裏地の面積を多くして、全体がパアッと目立つようにしてみました。
というところで、遅くなりましたが、最後に2着に共通したデザインを簡単にご紹介します。

■ デザイン ■
□ 肩はビルドアップショルダー □

>>> 大きくはありませんが、肩先がポコンと盛り上がっているのがご覧いただけます。

ロープが入っているかのような形状からロープドショルダーとも呼ばれる、ロンドンはサヴィルロウスタイルのデザインで、英国調のスタイリングには多く用いられる仕様です。

□ ベント・・・センターベント □

>>> さすがにここ数年のあいだ猛威を振るったサイドベンツブームも峠を越えた感があります。
...というところで、Yさんもサイドベンツばかりなので...と、ここはセンターベントという選択となりました。

☆★☆ 大阪店 清水より一言・ ・ ・ ☆★☆

白と黒というシックなモノトーンの組み合わせはいかがでしたか?
「釣りはフナに始まりフナに終わる」と言われるように、白と黒はベーシックな色目ですが、それゆえ奧が深く、扱い次第でヤボになったりスタイリッシュになったりと厄介な色目です。
それ故、年齢的にはスーツキャリアを積んだというか、酸いも甘いも噛み分けたミドルエイジの方にお勧めしたいところです。

「オトナの装い」あくまで渋すぎず...そして目立ち過ぎず...
モノトーンの世界は奥深いのです。