|
|
ボンドスーツ仕上がりました。
|
先月劇場公開された007最新作『慰めの報酬』読者の皆さんはもうご覧になられましたか?
主役がダニエルクレイグになって2作目の007はこれまでのやさ男的なジェームスボンド像から肉体派ジェームスボンドへイメージチェンジしてなかなか好評です。 えっ?「おくりびと」を見た? そんなこと言わず.. 007を見てくださいよ。 今回は007ネタなんですから... さて 今月のお客様ありがとうは先月劇場公開されるや否や『ボンドスーツを仕立てたい!!』と当店へ飛び込んでこられたご新規のUさんがお客様です。 Uさん、007の大ファンで、私も昔からのファンと言うことですっかり意気投合。 30分で終わるご注文がお互いの007観を披露している内に接客に1時間半も掛けてしまった紆余曲折のあるご注文でした。 少し振り返ってみて、どんなところがポイントになったかというとこんな所でした。 ご注文を受けるまでの前編についてはこちらをご覧下さい。 お客さまいらっしゃ〜い ボンドスーツは楽しい! |
■ 映画のボンドスーツと販売用ボンドスーツの違い ■ | |
私も今回のことでよくよく調べて分かりましたが、雑誌等を通じて販売されているトムフォードのボンドスーツは3つボタン上2つ掛け。
でも、映画ではどうみても2つボタン、よく言っても3つボタン中掛けでした。 襟幅も販売用は襟幅がやや細いのに対して、映画のパンフレットはダニエルクレイグの小顔に合わせて襟幅細め ...などなど色んな所が違っていて、Uさんと私の中で映画を優先するか販売用のデザインを優先するかですったもんだ。 → でも!当然映画を優先することに !! |
■ 映画用のボンドスーツがベースでも・・・ ■ | |
映画では撮影用にスーツを5〜10着位用意するのはごくごく当たり前のこと。
今回の007でも車(アストンマーチン)も3台用意した(らしい)位ですからスーツはもっともっと用意するでしょう。 それに関しては、私も情報に疎かったのですが、大阪にお住まいのYさんからはこんなメールを頂きました。 (当店のお客様はお店の不足する部分を補ってくださるのでとても助かります!!) |
|
400点って凄くないですか!!
パンフレットに載っている中でもそれぞれ微妙に違いますし、その中でUさんとデザインを決めるのは難しくも楽しい一時でした。 そしてUさんと決めたデザインのポイントはこんな所でした。 |
■ Uさんボンドスーツの特徴は・・・ ■ | |||
前述の通りボンドスーツはその解釈で随分変わります。
そこでUさんとはポイントを決めてデザインを決めました。 1番のポイントは実用を無視してとにかくカッコイイスーツを作ろう。 それには、、、 無駄なゆとり量を極力排除する。=多少着づらくなるのは止むなしとする。 ということになり、具体的にはこんな風にしました。
・スタイルは >>> 基本的なスタイルは構築的な肩のラインをしたコンケープドショルダーの2つボタン。 コンケープドショルダーとは肩が肩先に向けて少し上方へ傾斜しているシルエットを言いますが、よく言えばエレガント、悪く言うとイカツイそんなイメージですが、昨今は非常に注目されているデザインです。 (今月別途UPした東京店山橋君のありがとう:70年代スーツの完成です。でも別のコンケープドショルダーが紹介されています。) ・ゆとり量は >>> スーツ(上着)には普通は動作性のため、あるいは財布などを入れる機能面から実際のヌード寸法に対して17〜18cmのゆとり量を入れてお仕立します。 それを。。。今回のスーツでは8cmまでにスリム化。 これだと物は入れられないどころか、ボタンを留めると動作性もちょっと厳しいぐらいタイトです。 でも、ここはストイックにスリム化を敢行です。 ・袖は >>> ボンドスーツで意外とポイントになってくるのは袖幅が醸し出す色気。 スーツのウエストの細さは胴と袖との隙間がどれ位見えるかで視覚的なスリム観が変わってきます。 ダニエルクレイグ程ウエストの細い人は普通はいませんから、我々は袖をギリギリまで絞ってスリム観を表現。 加えて、袖先が微妙にフレアになっているのもトムフォード版ボンドスーツの色気のあるところ。 この辺はもちろん踏襲しました。
・デザインは >>> 一方、パンツは?というとこれまたユニークというか、凄い!! 何と言ってもシルエットがタイトで、特にヒップ〜太股に掛けて無駄が一切ないのが映画の凄いところです。 (でも、撮影でこれも「パンツを見せる用」のモデルなのかも知れませんが。) そして、Uさんはこれに果敢にチャレンジ。 階段を上り下りするとき多少苦しくても何のその。ボンドスーツ命です。 ・ディテールも >>> ディテールでユニークなところはベルトループなし&脇尾錠のスタイル。 よくサスペンダーでパンツを吊す人はベルトループを付けないか方がいらっしゃいますが、脇の尾錠だけでウエスト調整をするからベルトループは要らない!という方は滅多にいらっしゃいません。 いくら尾錠で調整といっても尾錠ではずれることがあるため非現実的なのです。 でも、それをやってしまうのがUさんボンドスーツ。 う〜ん、ストイック!完全に得る物と失う物がありますね...このスーツ。 さて、 もう、いい加減に出来上がりを紹介しないと皆さんから怒られそうですね。 それでは出来上がりのご紹介!! |
■ 出来上がりのご紹介 ■ | |||
|
う〜ん、これまたなかなかGOOD。
コンケープドショルダーは実はお客様のご体型毎に作るのは非常に難しいんです。 例えば、怒り肩の人はやりすぎるとロボットみたいに肩が怒ってしまうし、なで肩の人はパッドを沢山入れないと綺麗にシルエットが作れないからです。 |
|
|
|||
|
|||
・・・と、こんな形のUさん版ボンドスーツを仕立ててみました。 映画俳優のようなスーツを...というのは良くある話ですが、やっぱりジェームスボンドはちょっと別格ですね。 今回は私自身も長年の007ファンなだけに大変楽しいご注文を受けさせていただきました。 Uさん、サイズ直しのないよう、摂生に努めてくださいね♪ それではまた!! |
□ おまけ話 □ | |
本稿の前編お客様いらっしゃいをUPしたところ、いつになく凄い量のお問い合せを頂きました。
私にもボンドスーツを仕立てて欲しいという方もいれば、あれはボンドスーツじゃない、ボンドスーツの神髄はロジャームーアだとか。 どうやら皆さん、ボンドスーツに憧れ、独自のボンド観もお持ちのようです。 いつかこんなことを話題にオフ会でもやったら面白いかも知れません。 |