|
|
殿中でござるコート?の仕上がり
|
春が待ち遠しい季節になって参りましたが皆さん如何お過ごしでしょうか? そろそろ4月からの新生活を控えて色々と準備に忙しい方も多いのではないでしょうか? さて そんな冬も終わりを迎える今の時期ではありますが、今月は冬の最後のお客様?をご紹介と思いまして、先月ご注文までをご紹介したYさんのコートの仕上がりをご紹介したいと思います。 このYさんからのご注文、、、 実は、前編(1001お客様いらっしゃ〜い)をWebで紹介したところ久しぶりの大ヒットで、アチコチからいろんなご意見を頂きました。 大抵の方は、『あのコートどうなったの?』とか『凄いネ、殿中コート!』といった感嘆符付きのご感想でしたが、中には 「自分もやってみたいです!どこで裏地買ったか教えて下さい!」とかご新規の方からお電話頂いたり、、、と、私としてはまさかこの話題が営業面でプラスになるとは思っておらず、色んな点で大変勉強になったご注文でした。 (お電話頂いた方、本稿末尾に販売先を案内しましたのでご覧下さい。) さてさて、それでは読者の皆さんをじらしてもいけませんので、簡単にご注文内容をおさらいしてから、出来上がりのご紹介をいたしましょう... |
■ ご注文内容 ■ | ||
Yさんのご注文はシーズン的にはちょっと遅かったのですがカシミヤのコート。
しかも、伊ロロピアーナのピュアカシミヤ。超高級品です。 でも、自慢したいのは素材ではなく・・・その仕様。 これまでにはない別格のお仕立内容でした。 基本は丈の長いダブルのチェスターフィールドコート。 生地の色目は黒無地。 ですから、仕上がりはフォーマルにも使えるごくごくまともな?コート、、、の はず。 でも...! |
||
|
||
なんと裏地に使うのは、何と!金糸銀糸を刺繍に使った龍の裏地。 金糸銀糸は金属ですから非常に重いし硬い!!お店としては、これを裏地にしてしまうとコートの表側に響きます!と牽制したのですが、、、 ファッションは見た目!!というYさんからの強いご希望で押し切られ、カチカチ&ゴワゴワ裏地を使用することに。 そして、そのコートがどんな仕上がりになったかというと!こちら↓↓↓ |
■ Yさんコートの仕上がり ■ | |||
|
|||
|
|||
<正面> やっぱり身体に合っているとスマートに見えますね。 同じコートなのに私が着るとサイズが合っていないため凄く大きく見えます。(-_-;) < 後ろ姿 > 後ろ姿はかなりスッキリ。さすが仮縫いを入れただけの事はあります! 2.ところが・・・開けてみると、、、 |
|||
>>> どっが〜ん!!
|
|||
3.驚きつつディテールに目を凝らすと・・・ >>> 意外と小技もやっていまして、、、 その一つが、この袖先。 袖先の切羽部分の裏側だけ、金龍裏地を使ってみました。 くるみボタンはYさんのリクエストでしたが、ボタン1つ外してみるとチラッと?ギラッと?裏地がこんにちは! |
|||
そして、もう一つがフルオーダーならではの技ですが、 昇り龍のイメージで見返しのパイピング(えんじ色部分)をウェーブさせたこの仕立て。 縫製というのは概して曲線を縫うのが一番難しいのですが、その極みとも言えるのではないでしょうか? いかがでしたか?この金龍裏地のコート。 ご試着いただいてYさん、もう大興奮! 写真はお顔はNGとのことでしたので顔は出せませんが、ホント良い笑顔で試着されていましたよ。 皆さん、参考になりましたでしょうか? さて、 何かいつもよりシンプルな今回の“お客様ありがと〜う”ですが、今回はこれだけでは終わりません... それは、何かというとご試着されたYさん、実はこの日、次のご注文の仮縫いを行ったのです。 それこそが、タイトルにある“殿中でござる”のスーツ。 何が“殿中”かというと、、、それはサスペンダーの機能をした「裃(かみしも)」を付けた遠山の金さんのようなスーツだからです。 そして、このスーツにはまたまた凄〜いスペシャルリクエストがありまして、、、 リクエスト1:裃(かみしも)風サスペンダー >>> これは前述の通りなのですが、、、凄いのはこの裃部分に、驚くなかれ!「三つ葉葵」刺しゅうをして欲しいとのこと! 画像が裃部分の仮縫いシーンですが、黄色●を付けた所に徳川三つ葉葵の刺しゅうをしてって!とのこと。 かなり畏れ多いと思うのですが、さてさて、どうした物でしょうね... (Yさんお帰りになられた後、色々と調べましたよ。紀州徳川家の葵はどうだとか?初代〜3代将軍までは葵の葉っぱが33枚だとか、、、) |
|||
|
|||
リクエスト3:背中は・・・ >>> 百聞は一見に如かず。まずは画像をご覧下さい。 お分かり頂けますでしょうか? 背中の柄が/\のように杉綾になっているのが。 そう、本来は縦に真っ直ぐストライプが落ちるのですが、Yさんこれをバイヤス(斜め)に取って柄を交差させて欲しいとのリクエスト。 この生地を選んだのも、その交差が一番目立つ柄だから!とのことでした。 ひゃ〜っっ! スゴイを通り越した、とんでもないご要望です。 でも、それを受けてしまうのが私(当店)であり、それを仕立ててしまうのが吉井さん(三久服装)なんですよね... 閑散期で本当はもっと暇なはずなのに・・・ とはいえ、それを楽しんでやるのが当社(三久)の良いところでしょう。 割増料金も高くつきますから読者の皆さんはどうか真似をしないようにしてください。 それでは、次回お客様ありがとう2として、今度はこの“殿中でござるスーツ”の仕上がりをご紹介したいと思います。 |
■ 補足 ■ | |
前編(お客様いらっしゃ〜い)で紹介したところ、この裏地どこで見つけたの?とのご質問を頂きましたのでYさんに教えて頂きました。
(お電話頂いた方、参照下さい。本当のご注文の際には発注する生地の長さが必要になりますからまだお電話下さいね♪) こちらのNetショップでお求め頂けるそうです。 >>> オリエット京都 さん ※ 注意事項 ※ 今回のご注文は↑の商品を使っていますが、この金糸の刺しゅう裏地はイージーオーダーの縫製工場では絶対に縫えません!! フルオーダーの工場でも着心地の悪化を容認頂けませんと縫えませんので、安易に裏地に使えるとお考えにならない方が良いと思います。 このため、購入したけれど縫って貰えなかったというクレームは御容赦下さい。(他店で縫製される方も同様です。)! |