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“ニッカーボッカー”と“殿中でござる”
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桜も開花し、いよいよ心地良い春の季節になりましたが皆さん如何お過ごしでしょうか?
これであと1月もすれば今度は新緑の季節で、今の時期が一年中で生命を感じられる季節ですね。 そしてこの時期はファッションの世界でも秋冬から春夏に切り替わり、新しい物がどんどん出てきますが、そんな中2月にご注文頂いた変わり種スーツ?の出来上がりをご紹介したいと思います。 お役に立つ物もあれば、?の物もありますが、是非笑ってご覧頂ければ幸いです。 |
■ “ニッカーボッカー”のMさん ■ | |
Mさんは最近自転車にはまっていて、自転車通勤を意識したニッカーボッカースタイル。
実際には労災の絡みがあって自転車通勤はされていないとのことですが、イメージとしてはスーツ上下でボトムをニッカーボッカーにして、会社に着いたら通常のパンツに履き替える!! そんなイメージで、通常のスーツ上下にプラスしてニッカボッカー仕様のスペアパンツをお作りになりました。 参考まで、ニッカーボッカーとはこんな感じのデザイン。 膝丈までのパンツで、昔はハンティングの時とか、昨今はゴルフで見かけるスタイルです。(石川遼クンが着ているらしい?) でも、このニッカボッカー仕様、通常のイージーオーダーではできない!ということで、ベースはイージーオーダーで作り、その部分だけハンドメイド工場で追加縫製しました。(+6,300円です!) ポイントは、、、 1.自転車に乗るためヒザを上げても邪魔にならない丈・ゆとり >>> 今回は当店も初めてのチャレンジと言うことで事実上の仮縫いを梅本君にして貰いました。 2.尾錠などの小技アイテム >>> 折角のニッカーボッカーなんだから、、、ということで、裾の部分には尾錠を付けて洒落てみました。 3. 股の補強をファッショナブルに >>> 前編のお客様いらっしゃいでは書かなかったことですが、Mさんは自転車に乗るということでそれなら股部は摩擦で傷むだろうから補強しなくては、、、と補強を付けました。 ...とここまでは普通の股補強と同じなのですが、今回はこれをファッショナブルにしよう!と考え、Mさんと相談の後、股補強が立ち姿で後ろから見て、敢えて見えるようにしたらどうか?!となりました。 補強部分を敢えてみせる?えっ?と思われるかも知れませんが、なかなかのアイデアです。 こんなところをポイントにおいたご注文でしたが、そしてその出来上がりは... < 全体像 > ウン、丈もなかなかイイ感じです。 フィッティング当日はMさんにはお願いして、ちょっとお洒落してご来店いただきました。 アーガイルのソックスや同じ生地で作ったベストがよく似合いますね。 < こだわり-1 > ちょっとこだわった所が、裾のギャザー部分 この部分は太い太股から裾にかけて急激に細くするためにギャザーが必要になります。 そのギャザーも格好良く見せようとこんな風にしてみました。 < こだわり-2 > 尾錠、、、どうでしょうか?なかなか格好良くありません? 自転車で動けばふくらはぎは張りますから、それに対応したゆとりが必要です。 一方で、だらんと垂れ下がってはニッカボッカーらしくありませんからそこを尾錠で調整。 しかもお洒落!大変良い感じです。 < こだわり-3 > 股の補強はこんな感じに仕上がりました。 見えづらいので赤点で補色しています。 着用姿は意識して撮影しなかったため分かりづらいのですが、きっとこんな姿の時、チラッと見えるのかも知れません。 他の人にはなかなか気付かないか、、、ここまで意識するのはややナルシストかも知れません。(笑 いかがでしょうか? こんなユニークな一点物の仕上がり。 |
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自転車通勤をされる方! ニッカーボッカーを穿き、朝 会社にやや遅れ気味に出社し、上司から「○○君、何だそのズボンは!」と言わせてから、おもむろに同じ生地の普通のパンツに履き替える。(もちろん遅刻はしないで下さいね) これぞ自転車乗りの美学ではないでしょうか? (自転車乗りでもないのにこんな事書いて良いのかしら?) そして最後の画像はMさんの自転車姿でのフィッティング写真です。 |
■ “殿中でござる”スーツのYさん ■ | |
前回、こちらのお客様ありがとうでご紹介した金糸銀糸をタップリ使った絢爛豪華なコートを仕立てたYさん。
Yさんの続編である『殿中でござるスーツ』もようやく仕上がりました。 こちらはこちらで凄いですよ〜(真似する方はいないと思いますが、、、) まず、ポイントを出来上がりと合わせてご紹介しますと... Yさんはとにかく他にはない(存在しないという意)スーツをお探しです。 ポイント-1 深〜い股上と、ぶっとい帯 >>> パンツからまず凄い。 何が凄いって帯の太さ。その幅なんと13cm。 腹巻きに近い状態ですね♪ この帯にボタンを4つも付けてしまうんですから。もう凄すぎ。 パンツ全体の太さも特筆ものです。 ポイント-2 殿中でも通用する?!裃(かみしも)風サスペンダー >>> 裃とは遠山の金さんがあの肩先が尖ったスタイル。 サスペンダーをその裃風にしよう!というのだからYさんのアイデアは凄い!! いかがでしょうか?この出来上がり。 なかなかのモンですが、ご試着時に1つ問題が出てしまいました。 それは、通常サスペンダーはゴムで出来ていたり、長さ調整の錠によってサスペンダーがずり落ちることはないのですが、今回は外見重視のためそれを付けなかったため、肩の傾斜でずるっと落ちてしまうんです。 → こちらは後日、背中側に横に補強を入れることで問題は解消しました。 しかし、新しいことには色々とあるものです。 ポイント-3 三つ葉葵? >>> もう既にご覧いただきましたが、3つ目のポイントは三つ葉葵のご紋。 裃の真ん中、太くなる部分には家紋が入るだろう!どうせ付けるなら徳川の三つ葉葵ダロ!とのお言葉で三つ葉葵にしました。 いやいや、凄い!圧倒されますね。 少し脱線しますが、三つ葉葵の柄って何種類かあるのご存じですか? 何でも家康(初代)から家光(3代)までは葵の葉っぱ1つが33枚に分かれていて、それ以降は8枚だとか、また尾張や紀州では微妙に違うとか、、、 勉強しましたよ。仕立屋やりながら歴史を。 で、Yさんに相談すると、“やはり家康だろう!”ということで葉っぱ33枚の緻密な刺繍となったんです。 ポイント-4 上着の背中 >>> ようやく上着に入りました。 上着の背中はこんな感じ!! なにこれ?という声も聞こえてきそうですが、「絶対他にないようなスーツ」というYさんからの厳命に答えた私は背中を斜めに生地を使い、矢印(↑)のような見え方にしてしまいました。 (↑が目立つように柄も大柄の物を選びました。) は〜っ、、、着丈が長いこともあり、圧巻です。 |
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ポイント-5 見返しのウェーブと4つ葉(かんぬき) こだわりの5つ目は見えない部分。 画像をご覧になってついつい桜の柄の裏地に目が行ってしまいますが(この裏地はYさんの持ち込み)実は特筆すべきはウェーブした見返し。 縫製は何でもそうですが曲線作りが一番難しい。 まして、それをウェーブさせてしまうなんて... 難しい作業なだけに読者の皆さんも他の製品で見たことないでしょう。 加えて、一寸見づらいですが、チケットポケットの両脇を松葉閂ならぬ4つ葉のクローバー閂に。 これは目の良い若手しかできないということで梅本君にやって貰いましたが、葉脈も綺麗に出ていて素晴らしかったです。 それで、出来上がりのお客様の感想は・・・ そりゃもう、満面の笑みでしたよ!しかも大きな声で! ネッ、3/13(土)午前に店内にいらした皆さん、 3/20(土)午前に店内にいらした皆さん、(お直しのフィッティング) よくご存じですよね。 あっ!大切なことを忘れておりました。 正面から見た全体画像です。 こんな風に仕上がりました。 桜の季節に、ちょっと明るい楽しい話題を採り上げてみました。 |