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超タイト?!ジャケットのご注文です。 |
7月に入り、まだまだ鬱陶しい天気が続いておりますが、そろそろ”夏”本番に突入ですね。
じめじめと湿気が多い中、電車に乗っても冷房の設定温度が高いせいか、あまり外の気温とかわらず、がっかりすることも多いです。 さて、この時期になると、街中や電車の中などでは、上着を着ている方がとても少ない中、颯爽とジャケットを身にまとっている方も、ちらちら見かけますね。 ウール素材のジャケットもいらっしゃいますが、特に多いのが麻のジャケット。 見た目にも清涼感のあるリネンジャケットはとても清潔感がありますね。 そんな爽やかな麻のジャケットを今回ご注文頂いたのはWさん。 色は今とても人気のあるライトネイビーの生地でオーダーを頂きました。 なんでもラルディーニ(LARDINI)やボリオリ(BOGLIOLI)などでジャケットを試着・購入して具体的なイメージを固めてこられてのご来店でしたので、スムーズなご注文でした。 が、、、サイズについては、かなりタイト目をご希望とのこと。 待ってました!といわんばかりに挑んだのですが、それを上回るサイジングになりました。 詳細は後ほど、ということで、まずは注文内容からご紹介します。 |
上記が今回ご注文いただいた生地とデザインの詳細です。
ジャケットらしく、脇ポケットをアウトポケットにしつつも、フロントのステッチはジャケットに多い、0.7センチのミシンステッチではなく、ピックステッチという、あまり目立たないステッチを上衿から下衿、フロントステッチのコバ(端)にかけることにより、上品さが生まれます。 (当社ではスーツの場合、標準でピックステッチをコバに入れております。) 今回のご注文の焦点は、“サイズ感”が一番のポイントで、かなりタイトなジャケットをご希望でしたので、サイジングをどのようにするかに一番時間をかけました。 どのような流れでサイズをタイトに設定していったのか... Wさんとのやりとりを含めご紹介させていただきます。 |
<サイズ決定の流れ> | |
Wさん:「いやぁ、痩せる予定なんで、ガッツリ!!タイトにしてください。」
私:「はい、喜んで!!」 と、オーダーではよくありがちな会話?ですが、ここからがオーダーの難しいところでもあり、楽しいところでもあります。 なぜなら、私が思い描いていたサイズよりも3サイズダウンした寸法に決まったからです... そもそもサイズを変えるってどうするの?という話からになりますが、イージーオーダーの場合、ベースとなるのは胸回り寸法を基準にして採寸を行っております。 例えば、胸回りの実寸が94センチの私に対して、胸回り94(+ゆとり約13センチ〜16センチ前後)のサンプルゲージを着せる=その人に合うとされる標準的なゆとりをもった上着になります。 このようにさらっと言ってしまえば簡単なように聞こえますが、ここから大事なのは、その人の感じ方『着心地・見た目』です。 標準のサンプルゲージをきても、 細身のスーツに慣れている方は、大きい! 普段ゆったり目のスーツに慣れている人は、きつい! という風に、その人によって感じ方が異なりますので、この「標準」というのはあくまで目安となります。 そこで、今回はかなりタイトなシルエットをご希望でしたので、この胸回りのサイズを徐々に下げていき、対応させていただきました。 私:「Wさん、ではこちらをお召し下さい!」 胸回り実寸100センチのWさんに98のサンプルゲージを着ていただく。 Wさん:「まだまだ〜!」 私:「こちらは、いかがですか?」 94のサンプルゲージを着ていただく。 Wさん:「も、もうちょい!」 私:「かなりタイトですね〜」 92のサンプルゲージを着ていただく。 Wさん:「おおっ!」 私:「おおっ!?」 Wさん:「もうちょい!」 私:「おおおおっ!!」 90のサンプルゲージを着ていただく。 Wさん:「いいねっ!この感じこの感じ!」 私:「きたーーー!」 と、このようなやりとりを当社のサンプルゲージを使いながら、話を進めていったのですが、2サイズダウンほどを予想しておりましたが、なんと、5サイズダウンでのご注文でした! こうなると胸回りに通常13センチ〜16センチ程あるゆとりは、数センチになり、かなりのタイトなサイジングになりました! (ちなみに私は胸回りに10センチのゆとりで仕立てています。) あまり、イメージしづらい所ですので、画像を参考にご覧下さい。 |
着心地:楽
見た目:大きい |
着心地:普通
見た目:ちょうど良い |
いかがでしょうか?
胸回りの寸法が少なくなる毎に、 肩周りから、胸回り、胴回り、袖周りと全体的にシルエットが変化するのが確認出来ると思います。 もちろんサイズダウンで足りなくなった袖の長さ、着丈はお好みに変更できますし、ボタン位置や、ポケットの位置も着丈によってバランスを保てるよう変更します。 今回は、極端にタイト目なサイジングでしたが、このようにして、ご希望のシルエットに近づけられるよう採寸を行っておりますので、是非参考にしていただければと思います。 Wさん、出来上がりの際に痩せてるといいですね! |